第14話 ナレカと敵増援
◇リアルリバティアス◇
一通り訓練で動きを覚えたパーティ達は討伐のため、それぞれのデモンオーガの住処へ向かっていた。
王都の正門を出てまっすぐ行った先に広大な平原がある。
そこにデモンオーガが穴を掘って潜んでいる。冒険者の一行はここに向かっていた。
「奴はいるか?」
「間違いないね。醜悪な気配がするよ!よし、各自展開しな!」
戦士キズミはパーティメンバーに指示する。
「ぐぉぉぉっ」
戦士の声に反応したのか巣穴からデモンオーガが出てくる。
「ここには障害物はない。広く陣取りな。アタイは足元だ」
「本当に作戦通りうまくいきますかね?」
「そのために訓練したんだろう?やる前から弱気になってんじゃないよ!
ほら来るよ!向こうは待っちゃくれないんだ」
デモンオーガは剛腕を振ってくる。
キズミはセオリー通り足元に向かって走り出し、脹脛を攻撃する。
攻撃が届くギリギリのところまで下がった後衛たちは次々と術を放つ。
やがてデモンオーガは尻餅を付く。
「はっ!こうもアッサリやられると張り合いがないね!地衝撃!」
地面を衝撃波が走る。彼女の得意技だ。
その後も執拗に尻餅を付いた状態のデモンオーガに攻撃を加える。
やがてデモンオーガは絶命した。
◇
王都から東に進んだ先には大森林がある。ここにもデモンオーガが潜んでいた。
騎士団と賢者会の混成部隊はデモンオーガを取り囲んで応戦していた。
「2名吹っ飛ばされた! 回復を!」
「活性!それは女神の鼓動! ヒール!」
賢者会2名の回復担当がすぐに傷の回復をする。
騎士団は交代で2名向かい足元にたどり着いたものはひたすら剣を振る。
残りの賢者は中級女神術を詠唱する。
「氷結!それは女神の吐息!ミドルアイス!」
尖った氷の塊が次々とデモンオーガを襲う。
デモンオーガの背中側を抜けて騎士団はいったん距離を置き、
中級女神術命中と同時に再度足元へ戻り剣を振る。
山火事の可能性があるため、炎系や雷系の女神術ではなく、氷系を選択した。
ゲームでは実際に山火事になっていたからである。
仰け反ったデモンオーガは怒りで手を振るが、自分の体を中心に振り回すので、
足元に被害はほとんどない。また、ここは森なので、その剛腕は木に阻まれる。
「こんな簡単なことに気づかないとは」
足元にいた騎士団は己の愚かさを嘆いていた。
今までは絶対に倒せないと言われていた恐怖が思考を狭めていたのだ。
「避けろ! 木が倒れるぞ!」
デモンオーガの剛腕で木が崩れてきた。間一髪で木の真下にいた弓兵はこれを交わした。
続けて剣を振り、中級女神術を当てて、また剣を振る。これを繰り返すこと10数分。
途中倒れてくる木に何度か阻まれたが、デモンオーガを倒すことができた。
◇
王都から西に行った先には荒野があり、岩山にデモンオーガが潜んでいる。
ここに赴いたのは賢者会と冒険者の混成部隊だった。
「あんたらは基本的に信用していない。だがちゃんと指示を出してくれるなら
その通り動いてやる」
冒険者の剣士の男は賢者会に向かってそう言い放った
「感謝する。デモンオーガを討伐したいという思いは同じはずだ。では展開!」
デモンオーガが岩陰から現れる。
広いところにおびき出す。
そしていつものように足元へ行って剣を振り回す。
賢者会はデモンオーガより一段高い岩山から女神術を当てる。
弓使いもこれに続いて弓を大量に当てる。
この陣形もプレイ動画でやっていた戦法である。
「いいぞ!完全にハマっている。剣士殿!大丈夫か!」
賢者会の一人がデモンオーガ足元の剣士に呼びかける。
「問題ない! 攻撃を続けてくれ。俺に女神術当てるなよ!」
バキバキッ!
「まずい!離れろ!」
崖崩れが起きて一段上にいた賢者達が何人か下に落ちてしまった。
しかしデモンオーガも巻き込まれ混乱している。
足元にいた剣士は無事だった。奇しくもデモンオーガの巨体に守られる形となった。
「へっ、悪いな守ってもらって!だが、あんたも運の尽きってことだ」
構わず攻撃を続ける。
デモンオーガは足元の剣士と残りのメンバーで討伐が完了した。
しかし、生き埋めになったメンバーの救出に時間がかかってしまった。
◇
「平原のデモンオーガは被害はほぼありません。
森林の奴は倒れてくる木に阻まれることがあったようですが、
こちらも被害自体はそれほど多くありません。
荒野の奴は運悪く崖崩れに巻き込まれたため、捜索中です」
王室にて各パーティの討伐状況が透視投影で映し出されている。
「行けるぜコイツは! 平原と森林に向かった部隊はまだ戦える!
くそぉ自分も討伐に参加したかった!」
騎士団長ガウロが悔しがっている。
この騎士団長なんでこんな血の気が多いのか。傭兵みたいだ。
「ひ!奴らを本当に全滅させられるのか! また新しいのが現れるのではないかー?」
あ、いや、て、帝国が! 帝国が来てしまいますぞ!」
「サールテよ静かにせい!」
サールテ大臣が騒いでいる。
「!?これは?」
王国領土内を透視投影で監視していた賢者の一人が驚きの声を上げる。
「何事だ?」
マーズ王が声を上げた賢者に問いかける。
「新たなデモンオーガが現れたとの報告が! 3体です!」
「バカな!まだ潜んでいたというのか」
カレナの言っていた補充とはこのことだろうか?
「それと……」
憔悴した賢者は言いづらそうにチラチラ王の方を見ていた。
「なんだ?早く申せ」
マーズ王がイラつきながら聞いてくる。
「は、はい。それと、先ほど隣国の国境を監視している者から伝令が来ました!
デモンリザードの集団がこちらに向かっているそうです。その数、約1000!
このままでは数日後に王都まで来てしまいます」
どうなってるの?全然気がつかなかった。
王都ティアマーズからティアジピターまでは数日かかる距離だ。
王都の南側には大きな川があり、ちょうど隣国のティアジピターとの国境になっている。
川の挟んで王都側はデモンオーガを最初に討伐した廃村、向こう側はティアジピターである。
川を渡るのは大変だけど、相手は水辺が得意なデモンリザードだ。
しかし、デモンリザードはティアジピター国内に入り込んだと聞いている。
国が滅んだという話は聞いてないし、それにしてはデモンリザードの数も減ってない。
途中でティアジピターを攻めるのをやめてこっちに来ているということになる。
「ナレカ、デモンリザード討伐の映像はないのか?」
憔悴したキーユが助けを求めてきた。
「あるにはあるけど数体程度の奴だからあまり役に立たない。
どう乗り切るかはアナタ達も考えて!」
「天罰がぁ、天罰がぁ……」
サールテ大臣はブツブツ言いながら部屋へ戻って行った。
カレナ、アタシはどうすればいい?
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