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リバティアスダイヴ ~カレナとナレカの仮想世界 カレナはナレカの世界を救うためゲームを作る~  作者: リバティ
第1章 ティアマーズ編 ~カレナの魔物討伐シミュレーション~
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第12話 ナレカの提案


「構いませんが――。前に聞きそびれてしまっていたのですが、賢者会って何なんです?」


「賢者の集まりでできた参謀本部みたいなものかな。

さっきも言った通り会議室で座ってるだけの役に立たない連中ね」


廃れた作戦司令本部らしい。自分もそこに所属しているのに結構辛辣な物言いだった。

この1ヶ月の間に廃村以外のデモンオーガを討伐したという話をしないところを見るに

精力的に活動してはいなさそうだ。


「はぁ……お嫌いなんですね賢者会」


とぼけた返事をしてしまった。


「妹を廃人にした連中だし。そういえば話してなかったね」


ナレカは掻い摘んで話してくれた。

帝国に急かされて異界交信で力を求めて別世界に行ったら戻って来なくなったと。

そんな状況なのによくナレカさんはホイホイこちら側に来るなぁ。怖くないのかな。


「アナタを賢者会に入れた方が有用そうね。って考えはアイツ等と同じかもね」


そんな簡単に入会できるものなんだろうか。

でも会議室に缶詰になってずっと作戦考えたりするのは嫌だな。


「これらの動画があれば、その賢者会の方々は動いてくれそうなんでしょうか?」


「さぁね。賢者会の長は情けないことにアタシが持ち帰る情報に縋ってるみたいだけどね。

自分でどうにかしようと考えない、どうしようもない奴が長をやっててね。

まぁ仮に賢者会がやる気になっても兵の数が足りるかどうか」


賢者長のことは嫌いらしい。上司って下からは嫌われる運命だよね。


「王国の兵士って数万人単位でいるものじゃないんですか?」


「単純に非戦闘員も含めて人数だけカウントすれば、そうかもしれない。

だけど、野獣でも数人がかりで倒すのがやっと。魔獣と戦える奴なんかほとんどいないよ」


作戦本部も手詰まりで、兵力も足りない様で、道は険しい。


「さて――、これを使うとして、勝率はどれくらいだと思う?」


ナレカが勝率を聞いてくる。廃村のデモンオーガの時の様な想定外の事態を心配してるのだろう。

廃村のデモンオーガ戦の時に生じた現象はリバティが大体取り込んでいるので、作戦がハマれば問題ないと思うが。

物質の劣化も返り血も弱った時の動きの違いも再現している。前回の様な事態にはなりづらいはずだ。


「正直現実世界は不確定要素が多いので、まだ不安がありますが、現状で想定し得る対応はしました。70%ぐらいでしょうかね」


「アナタはかなり心配性ね」


「そうかもしれません。不確定要素は潰しておきたい性分なんです。

後は廃村の奴の討伐で想定より被害が出たのもあって慎重になってるんだと思います。

ナレカさんはあまり心配してなさそうですね」


我ながらメリットにもデメリットにもなりそうな性分だ。

逆にナレカは自信があるようだった。


「対策は十分だと思ったからね。じゃあ賢者会に行くから、ちょっと待っててね」


ナレカの本体は賢者会に向かっているようだ。


「あーそうそう、もう一体デモンオーガが現れちゃってね。

今透視するから悪いんだけどそれも討伐クエスト組んでくれる?」


ナレカの意識体は振り返って追加の依頼をしてきた。


「え? もう補充されたんですか? 分かりました」


たまたまだろうか?


「補充? 何を言ってるの?」


「いえ、廃村のデモンオーガが倒されたので、新しいのが補充されたのかと」


「は? ふざけてるの?」


ナレカは不快感を露わにした。ゲーム感覚で言ってしまった。失敗失敗。


「すみません、言い方が悪かったかもしれません。

ですが、タイミングが良すぎると思いませんか?」


「……」


 ナレカは黙ってしまった。

 次のデモンオーガが倒されたら、また補充されるのではないか?

ゲームの世界ではそうするけど、現実でそうなるとは思えないんだろう。

そうなった場合、人為的にデモンオーガを仕向けてる何者かがいるということになる。

もう少し検証した方がよいが、これは現実世界で検証しなければならない。


ナレカの意識体はいったん魔法陣を抜けてリアルリバティアスに戻っていった。



◇リアルリバティアス◇


 アタシの本体は再び王室に赴き、デモンオーガ討伐の提案を始めた。

これまでの戦闘シミュレーションの有効性を証明するべく、

万能鏡に録画した討伐のプレイ動画を順番に投影した。

プレイヤー達が各地のデモンオーガ討伐している状況が映し出されている。


王室がざわつく


「こ、これは?いつの間に残りのデモンオーガ達を討伐したのか?」


賢者長キーユは食い入るように映像を見ながら聞いてきた。


「まだ討伐はしていないよ。最初に説明したけどこれは戦闘シミュレーションね。

理論上10人前後のパーティがいればデモンオーガを討伐することができるということね」


そう、これはあくまで検証の結果だ。

実際にやってみて討伐できたということの証明ではあるんだけどね。


「し、信じられない。ならばすぐにこの者達を呼んできてくれ!」


キーユはプレイヤーをこちら側に連れてくるよう依頼してきた。

そうしたいところだけど、それが出来れば苦労はしない。


「残念だけどそれはできない。彼らは彼らの世界からこちらに移動することは不可能なの。

彼らが拒絶してるわけではなくて技術的にね。これと同じことを我が国の兵でやるしかない」


ここまでお膳立てしたんだから、後は上手くやってもらいたいんだけど。


「陛下!ここまで戦術は組み上がってるんだ!もうやるしかないでしょうよ!」


またしても騎士団長のガウロは今にも出陣しそうだ。

しかし、マーズ王はまた静止する。


「待て、お主は城の警護が仕事だと前にも行ったであろう。

無論、十分な効果がある作戦であることはワシも理解した。様子見するつもりはない」


「し、出陣されるのですか!いけません。万が一にも討伐などできたら帝国が……」


サールテ大臣がまた制止してきた。まぁコイツは反対するだろうと思ったよ。


「帝国の対応は後で考える。だが民に被害が出ているのだ。これ以上何もしない訳にもいくまい

賢者ナレカよ。兵は10人いれば十分なのだな?」


「前回8人だったのは、それしか集まらなかったからです。当然多いに越したことはありません。

多すぎても邪魔になるでしょうけど。個人的には6人パーティ×2の12人が現実的なラインと考えております。

ただ、映像にもある通り前衛、後衛、回復のバランスは場所によって異なりまし、魔獣相手なので、それなりの練度が必要です」


単純に戦士を10人を揃えればよい訳ではない。マーズ王もそれくらいは理解しているはずだ。

まぁ、魔戦士なら役割分担ちゃんとすれば、ある程度行けるかもしれないけど。


「魔術師は、賢者会が責任を持って頭数揃えてみせます!場合によってはこの私も出陣いたしましょう」


賢者会は賢者長キーユを筆頭にやる気を出していた。だけど賢者長は出陣しちゃダメでしょ。

またとない名誉回復のチャンスに飛びついているようだけど、冷静になってもらいたい。


「まずは王室より直々にクエストを発注する。筆を持って参れ。傭兵達にも声をかけよ。

見事打ち取ったものには褒美を用意するとな」


マーズ王は側近の者達に指示を送る。

またまたサールテが静止してくる。


「そ、そのようなお約束をされては!国の財政も潤沢ではありませんし」


「サールテよ、いい加減にせぬか!このままでは国そのものが滅ぶやもしれぬのだぞ!」


「うぐっ、しかし……」


サールテはそれっきり黙ってしまった。



 王室よりデモンオーガ討伐のクエストが発注された。

女神術もしくは闘気を扱った武術に覚えのある者、魔獣を相手にできる者という条件で。

しかし、当たり前だけど名乗りを上げるものは決して多くはなかった。


「ま、今の王室じゃ人は集まんねーわな」


ジンギはため息交じりにつぶやいた。

長いこと現状維持で動けず、危険が及べば王族を守ることを優先して

城内に籠城するのを続けてきたのだから、国民の不信感は相当なものだ。


金を積んでやってくれるのは傭兵ぐらいか。冒険者達は立ち上がるものは少ない。

この国のためにという理由で動く者はあまりいない。


取り合えず、騎士団、賢者会から10人、傭兵から20人、あと冒険者が気まぐれで数人集まった。


「これだけなのか?」


マーズ王は、またため息交じりに答えた。

一気に全個所に攻め入るつもりだったようだが、明らかに人数が足りない。

3箇所が限界だろう。


「やはりもう少し騎士団から出すべきでは?」


ガウロが提案したが、マーズ王は首を縦には振らなかった。

続けて賢者長キーユが作戦を提案してくる。


「今はこれしか集まらないのであれば、仕方ありません。取り合えず3箇所潰しましょう。

今後のことはその状況次第で動きましょう」


討伐を進めるのはひとまずアタシも賛成だけど

冒険者達の理解も並行して得る必要がある。


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

面白いと思った方は、いいね、評価、ブクマ、感想、誤字ご指摘、何でも結構ですので、いただけますと幸いです。

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