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無色の英雄~凡才が英雄へ至る道~  作者: オレオル
始まり
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第8話

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 アレクたちが家にいる間、村の警備や狩りをしている大人や力仕事をしている大人たちが村長の家で話し合いをしていた。その中にはアレクの父であるアルガンや猟師のキース、そして村の自警団の団長をしているブレットも出席していた。


 「最近、森に出没する動物や小型の魔物が全く姿を現さなくなったんだが、森がざわめいていて不穏な感じがするんだ。」


 キースが重い空気の中切り出した。


 「我々も、最近になって森から出てくる魔物が全くいないことに違和感を覚えたんだ。魔物がいないのはいいことだが、ここまでいないのは妙だ。」


 ブレットもキースと同じ意見だった。森に動物や魔物が一匹も見当たらないことは今までで一度もなかったため、殊更に異様さを感じさせた。


 「二日ほど前に森で小動物を見かけたんだが、なんだか様子がおかしかったんだ。まるで何かに怯えて逃げているような感じだったんだ。」


 ほかの猟師がした発言から皆に悪寒が走った。森の動物たちが逃げるように去っていくこと、そして魔物が一匹もいないこと、これらが指し示す事実はただ一つ。


 「まさか……魔族か!?」


 「しかし、こんな辺境に魔族がなんで……。」


 動物は人間よりも危機感を感じ取る能力が発達しているという。この村の近辺では凶暴な魔物は生息していない、つまり魔物ではない第三者を感じ取り、動物たちは逃げたということだ。


 「杞憂であればいいが……とにかく急いで避難の準備をするんだ!」


 村長の指示で避難を開始するため家から出た時、森の周辺から爆発音が鳴り響いた。

 そして、森からおぞましい魔物が大量に押し寄せてきた。魔物たちは手当たり次第に民家を襲い破壊していた。


 「魔物が攻めてきたぞ!!」


 「急いで馬車の用意をしろ!避難は女と子供を最優先にするんだ!!」


 村長の声で大人たちが動き出す。

 家に行き避難をする旨を伝えた大人たちは、護身用の武器を持ち、時間を稼ぐために魔物たちに立ち向かう。自警団を中心に、魔物を村の入口に近づけさせないように立ち回っていた。






 「アレク、アリエお前たちは最低限の荷物を持ち次第急いで村の入り口の馬車に向かうんだ!!」


 家でアリエと夕食の準備をしていたら、親父が息を切らしながら避難するように言った。

 僕とアリエは状況を飲み込むことができず、親父に質問した。


 「どうしたんだよ親父そんなに慌てて、さっきの話し合いで何かあったのか?」


 僕はいつものようにあっけらかんと聞いた。アリエは親父が急に大声で言ったため少しびっくりしている。


 「時間がないからよく聞け、村に魔族が攻めてきて民家を襲っているんだ、この家もいつ襲われてもおかしくない、だから二人で村の入り口まで向かうんだ。」


 親父は僕たちがパニックにならないように努めて冷静に指示をだした。しかし、僕は親父が発した言葉の中に違和感を感じた。


 「二人でってどういうことだよ、親父も一緒に行くんだろ。」


 僕は親父を睨みつけて言った。親父の発言だとまるで自分は避難しない言っているように聞こえた。

 僕たちには母親がいない、親父がいなくなってしまったらもう身寄りがないのだ。

 それに、母の記憶がないアリエにとっては世界でただ一人の親なのだ、僕はアリエが親父を失って悲しむ姿を見たくない。僕は親父に一緒に避難しようと提案した。


 「だめだ、俺はブレットたちと一緒にお前たちが隣町まで逃げ切れるように時間を稼がないといけない、お前たちならわかるだろ。」


 親父は優しい顔で僕たちを抱きしめて、頭を撫でた。

 

 「アレク、本当はもっと後に渡すはずだったんだが事が事だ、お前にはこれをやる。」


 そういって親父が僕に渡したのは、子供が片手で振れる大きさの短剣だった。とても丁寧に手入れがされており、僕の目から見てもこれがかなりの高価なものであるとわかった。


 「これは昔俺が使っていたものだ、魔物の牙を加工したもので動物の皮くらいなら軽々切れる代物だ。これでアリエを守ってやってくれ。」


 親父は僕に短剣を渡して僕にアリエを守るように言った。親父は覚悟を決めた顔をしていて、とても僕が説得できるとは思えなかった。


 「アリエ、お前にはこれをやろう。これはお前の母さんが使っていた髪飾りだ、大切にするんだぞ。」

 

 アリエに渡した髪飾りは、生前に母さんがよく付けていた髪飾りだった。

 アリエは髪飾りをキラキラした目で眺めていた、どうやらとても気に入ったようだ。

 

 「こんなものしか残せなくてすまないな……馬車に付いたらカリナがいるはずだ、しっかりということを聴くんだぞ。」


 親父が髪飾りと短剣を見て懐かしそうな顔をしていた。親父と母さんの馴れ初めは聞いたことがなかったため、親父が今どのような気持ちなのかを考えることができなかった。


 「絶対に死ぬなよ、アリエが悲しむから。」


 「あぁ、後で必ずお前たちを追いかけるさ、約束する。さぁ行くんだ!」


 僕たちは親父と別れて村の入り口に向かって走り出した。アリエとはぐれないように手をしっかり握る。親父に託された以上は命に代えてもアリエを守る。僕は決意を固め、短剣を握りしめた。






 「エリアス……どうか二人を守ってくれ。」


 アルガンの顔を風が優しくなで、アレクとアリエの方向へ吹き抜けた。

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次回でまたお会いしましょう!!


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