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無色の英雄~凡才が英雄へ至る道~  作者: オレオル
始まり
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第6話

大学って忙しですよね~。少しづつ書いていこうと思います。

 翌日、僕はアリエと一緒にリーネの家に向かった。

 途中ですれ違う人たちは、リーネの動向について話していた。みんなリーネが村に残るのか、王都に行くのか気になって仕方がないみたいだ。

 しばらくして僕たちはリーネの家に着いた。ドアをノックするとデニスさんが迎えてくれた。


 「デニスさん、リーネはいますか。」


 僕が質問すると、デニスさんは少し困った顔をしながら答えた。


 「悪いなアレク、昨日リーネと喧嘩しちまってな、朝飯食ったら口も利かず家を出て行っちまったんだ。あいつのことを探してくれないか。」

 どうやらリーネのこれからを話し合ったときに、喧嘩をしてしまったみたいだ。

 リーネは頑固だから何か譲れないところがあったのかもしれない。


 「あらアレク君じゃない、久しぶりね。」


 奥からリーネの母親であるカリナさんが挨拶をしに顔をだした。

 カリナさんはリーネと同じ赤い髪を腰あたりで伸ばしていて、エプロンを着ているとてもきれいな女性だ。リーネの気の強さはこの人譲りだろうと感じさせるほど勝気な人だ。デニスさんはいつもカリナさんには頭が上がらないらしい。


 「この馬鹿がリーネを怒らせちまってね、私からも頼んでいいかい。」


 「任せてください、あいつの居場所には心当たりがあるので。」


 僕は元気よく返事をしてアリエと一緒に丘にある木に向かった。

 丘の木の下にリーネは小さく座っていた。


 「どうしたんだリーネ、急に家を飛び出すなんてお前らしくないじゃないか。何かあったのか。」


 僕はリーネに話をするように促す。リーネは僕に背を向けながらぽつぽつと昨日の出来事を話してくれた。


 「白い服を着た人たちが来た時に私、怖かったの。だって急に王都に行くだなんて納得できないわ。お父さんは私の為にもちゃんとした教育が受けられるのなら王都に行った方がいいって言うの。私はお父さんに行かないでほしいって止めてもらいたかったの。」


 どうやらリーネは王都に行くことにあまり前向きではないみたいだ。確かに僕たちの年齢で急に王都に行くのは少し不安だろう。


 「アレクは私が村に残ったらうれしい?」


 リーネが僕の方を向いて言った。彼女の顔は泣いた跡があり、まだ頬が少し赤く染まっていた。


 「僕はリーネに村に残ってほしいよ。だけどそれを決めるのは僕じゃなくてリーネ自身じゃなきゃいけないと思うんだ。僕はリーネがどんな選択をしても応援するよ。」


 「それにもしリーネが王都に行っても僕は必ず会いに行くよ、立派な冒険者になってね。」


 僕は努めて笑顔を心がけて言った。リーネの道はリーネが決めるべきだろう。僕の答えがどれだけの影響をリーネに与えたのは知る由もない。それでも…少なくとも今のリーネ表情に不安は残っいてなかった。






 僕は自分の思いを伝えたあとアリエとその場を後にした。アリエが心配そうな顔をしてこちらを見ている。


 「リーネおねぇちゃんはここにいてくれるよね?」


 「そうだなぁ、でもリーネがどんな道を選んでも一緒に応援してあげようぜ。」


 「うん!そうする!!」


 そして正午を過ぎ、リーネの返答の期限を迎えた。






 リーネの家に白い服を着た集団が再びやってきた。リーネとデニスさんは白服の中で豪華な服を着た人と話をしていた。


 「リーネ様、私たちはあなたの選択を尊重いたします。しかし、一つ覚えておいてほしいのは、あなたの力は世界を救う一助を担えるほど素晴らしいものなのです。どうか我々に力をお貸しくださいませんか。」


 白服はそう言って頭を下げた。リーネは俯いており、その表情をうかがい知ることはできない。


 「……ます、王都に行きます!」


 決意を固めた彼女の表情は、とても凛々しくまさしく英雄に名を連ねるにふさわしい表情をしていた。


 「ありがとうございます。その英断がきっと世界を救うでしょう。では迎えの準備をしてまいります。出立は夕方の6時頃になります。」


 白服の集団はそう言うと、足早に村の入り口まで向かっていった。

 デニスさんは心残りがありそうな顔をして、リーネの方を向いて口を開いた。


 「本当にいいんだなリーネ、今ならまだ……。」


 リーネはデニスさんの言葉を遮るように言った。


 「心配しないでお父さん。私、勇者様と一緒に世界を救って見せるわ!」


 そう言う彼女のにぎりしめられた小さなこぶしは震えていた。それはきっと彼女なりの強がりなのだろう。






 そしてついにその時が訪れた。リーネは白服の手引きで豪華な馬車に必要な荷物をもって乗り込んだ。

 村人のみんながリーネの見送りをするために村の入り口まで集まっていた。

 リーネを激励する者もいれば、号泣している人もいた。アリエももちろん号泣していた。


 「リーネおねえちゃんまた会えるよね。」


 アリエの顔は赤くなり、目元が腫れていた。


 「ええ、またきっと会えるわ。」


 リーネは精一杯明るく努めて言った。

 そしてついに出発の時間になった。ついにリーネとのお別れだ。


 「……っ、リーネ!いつか必ずお前に会いに行くから、すごい冒険者になってリーネと一緒に冒険できるように頑張るから、待っていてくれ!」


 僕は気づいたら叫んでいた。僕の言ったことが実現可能かどうかわからないが、今言うべきだと思った。少しでもリーネが安心して王都に行けるようにしたかったのだ。


 「うん!待ってる、ずっと待ってるから!」


 こうして僕とリーネは別れた、しばらくの間アリエは元気がなかったが次第に受け入れ日常に戻ろうとしていた。

 僕は改めて立派な冒険者になることを誓った、リーネに寂しい思いをさせないために。

 しかし僕は知らなかった、これから起こる惨劇を、そして僕の運命を変える出来事を。

 

 


 

 

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