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名も無き英雄の冒険譚  作者: オレオル
ダンジョンアタック

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第42.5話

大変長らくお待たせしました。

今回は幼馴染たち勇者sideのお話となります、一話で収める為にかなり駆け足で書いたので少々荒い所があるかもしれませんがその都度ご指摘いただければ直しますのでよろしくお願いします。

これからも時々勇者sideの話を上げていきます。

主人公たちとどのように物語で交わるのかを楽しみにしてくれたら嬉しいです。

追記:キャラ名をアイリスからクレノアへ変更しました

 時はアレクがアルヴィリス伯爵と模擬戦をする数日前



 私、リーネは騎士団長であるゲオルク・オルベルクに呼び出され、朝の支度をしていた。

 今日は非番だったのでゆっくりしようと思っていた矢先、同僚から団長が呼んでいると伝えられたのだ。


 貴重な休日を邪魔する団長に恨めしいと思う気持ちもあるが、上司である以上逆らうことはできない。

 この国では第一から第五までの騎士団があり、私が所属しているのは第一騎士団で第一の団長は騎士団全体の代表でもあり、一介の騎士でしかない私が断ることなどできないのだ。


 まぁ恐らく団長はそれを承知で呼び出したのだろうが……本当に良い性格をしているものだ。

 ため息をつきながら、素早く身支度を済ませ髪を1つに結ぶ。

 髪を結ぶシュシュは私の同郷であり幼馴染のアリエから貰ったもので、いつも大切に使っている。

 私とアリエは魔族の襲撃のせいで家族を失ってしまったので、今では互いに家族の様に協力しながら生活しているのだ。


 手入れをした鎧を身に纏い宿舎を後にする。

 いつもよりも鎧が重いと感じつつ、徒歩三分ほどで詰所へとたどり着く。

 騎士団の詰所の城壁には王国の国旗が備え付けてあり、程よい風が国旗を揺らし、パタパタと音を立てていた。

 王都に設置されている本部なだけあって貴族の屋敷ほどの大きさがあり、この国で騎士の役割が大きいことが分かる。

 門番を務めている同僚に会釈をして詰所へと入り団長室へと向かい、ドアをノックした。


 「第一騎士団所属、リーネです。」


 ドアの向こうから低く響くような渋い声色が返って来る。


 「入り給え。」


 ドアを開けて中に入ると、中年の無精ひげを生やした男が正面の椅子に座っていた。


 「()()の私に何か御用でしょうか。」

 

 少し嫌味ったらしく言ってみる。

 どんな言葉を返してくるのかと内心気になった私に団長は少し間を開けてからゆっくりと口を開いた。


 「いや~申し訳ない!非番の君を呼び出したこと、すまないと思っている。この通りだ!」

 

 顔の前で両手を合わせて謝罪する。

 拍子抜けもいいとこで、この人のフランクさには毎回困惑されてばかりだ。 

 強面な顔してこんなお調子者のような態度なのに、この国最強の騎士なのだからもはや詐欺だ。


 「謝罪は結構です、それで何か御用ですか?」


 「全く冷たいな~君は。コホン、今回君を呼んだのは王宮から急な仕事が来てね。」


 「急な仕事…ですか。」


 「王都にとある人物を護送して欲しいとのお達しだ。」


 団長からの話を聞き、騎士団ではよくある護衛依頼だと思ったが、それならば私を敢えて招集したのは何故だろうか。


 「そのとある人物とは?」


 もし私が受請け負う仕事であれば、護衛対象の素性は知っておきたいものだ。


 「それが少し厄介でな……詳しいことは俺から言えないんだ、なんでも極秘らしくてな。」


 「それじゃあ正体の分からない誰かを王都へ護送しろと?それに私である必要は……。」


 「君が抜擢されたのは王宮からの直接的な指名だ。すまないが引き受けてくれるか?」


 こんな聞き方をしているが、実際は形だけで強制のようなものだ。

 王宮からと言うことは、恐らく王族か或いはそれに匹敵するほどの人物なのだろう。

 私はこんな貧乏くじを引かされたことに内心ため息を吐きながら返事をする。


 「了解しました。」

 

 渋々返事をして私は部屋を後にする。

 折角の休養日がつぶれてしまったことに不満しかないが、文句を言っていても仕方がない。

 団長から渡された詳細が書かれた紙に目を通して肩を竦めながら廊下を歩く。


 取り敢えず今回の護衛任務を一緒にこなす団員と合流するために王都の正門に馬車で移動する。

 団員たちはすでに今回の任務の為の準備をしており、豪華な馬車と自分たちが乗る馬の世話をしていた。


 「待たせたな、今回の任務を指揮する第一騎士団所属のリーネだ、よろしく頼む。」


 今回の任務は私がリーダーとして指揮を執るので、他の団員にはリーダーらしく振舞う。

 部下に一々敬語を使うような上司に命を預けることなど出来ないのが人と言うものだ。

 だからこそ余り得意ではないが毅然とした態度で接するのだ。


 「早速だが準備出来次第、目的の村まで出発する。各自装備の確認と食料の確認を忘れないように。」


 今回の任務で向かう村は、王都から山を三つほど超えたところにある辺境の村なので、往復できる分の食料と水を用意しなければならないのだ。

 しかし、余分に用意してしまうと、馬への負担が増えて行軍する速度が落ちてしまうので適切な量をもっていかなければならないので、その見極めが重要だ。

 今回は往復で四日の予定なので、その分の食料と水を馬の左右に乗せていくことになる。


 「よし、各自準備が出来たみたいだな。ではこれより目的の村へと向かう、行軍開始!」


 私の合図と共に客人用の馬車と今回の任務に同行する部下六人が進む。

 私たちの行軍を見にそれなりの数の民衆が集まっていて、皆手を振って私たちの出発を見送ってくれた。

 急な任務で非番が消えるのはブラックで、騎士団を辞めたくなる時もあるが、こうして市民が騎士団を尊敬して応援してくれるとこの仕事を続けたいと思うものだ。

 

 ルーメンス王国では戦争が起きておらず、平和な治世が続いているので、騎士団が表立ってその武力を発揮することは極端に減ったものの、巡回や王都だけでなく各地域との連携を通して騎士団を必要としてくれることは我々にとってとてもありがたい。

 おかげで騎士団の縮小も大規模にはされず、国民が協力的で活動がしやすくなっているのだ。


 そんなことを考えながら、地図を見て進行状況を確認し、行軍のスピードを保ちながら村へと向かう。

 道中では整備されていない森を通ることになり、魔物の襲撃も何度かあったが、馬車の御者以外は戦闘のスペシャリストなので迅速に処理することが出来た。

 騎士団に所属している団員はどの団であろうと皆武器の扱いと魔法の心得があるのでどのような状況にも対応できるように訓練されているので、そこら辺の魔物では相手にならないだろう。

 私が出る幕も無く今回の部下たちがあっさりと討伐してくれるので少し肩透かしではある。


 夜になり、進行が難しくなるので野営をして一夜明かし、二日かけて目的の村までたどり着くことが出来た。

 その村は私が幼少期に過ごしていた村と比較しても同じくらいの規模で、何か特別な雰囲気は感じなかった。

 任務の詳細が書かれた紙を確認して、今回の護衛対象である人物を探す。


 「少し伺いたいことがあるのだが……。」


 「騎士様がこの村に何の御用でしょうか。」


 村の入り口付近にいた気のよさそうな老人に話しかけると、驚きと戸惑いを浮かべた表情をしながらこちらを向いた。


 「この村にクレノアという人物はいるか?」


 「クレノアですか……今は畑にいると思いますよ。」


 老人に会釈をして、今回の護衛対象の家へと向かう。

 大勢で行くと相手を驚かせてしまうだろうから私一人で向かうことにした。

 目的の民家はいたって普通であんな豪華な馬車に乗るような人物がいるのか疑いたくなって来る。

 家の横にある畑へと向かうとそこには私よりも年下な空の様な深い青色の髪をした少女が農作物を収穫していた。


 「あなたがクレノアか?」


 「そうだけど、あなたは?」


 そう言って振り返ったクレノアは、青い瞳を宿した真っすぐな眼差しをこちらに向けていた。

 ただの民間人のはずなのに、彼女の一挙手一投足にはどこか迫力があるように感じる。


 「私はルーメンス王国第一騎士団所属のリーネと言います。王宮の命によりあなたを王都へと護衛するために来ました。」


 なるべく柔らかい口調で喋りかける。


 「お…王都に!?一体どうして……。」


 「私共も詳細は知らされていないんです。クレノアという人物を王都へ護衛せよとだけ…。」


 私が団長に頼まれた事を話して何とか理解を得てもらう。

 話を聞くと、クレノアは一人暮らしだそうで家を離れる為に少し時間が欲しいとの事。

 クレノアは家から出ると、村の皆に挨拶をしていた。

 いつ戻るかも分からないのでもしかしたら今生の別れになってしまうかもしれない、そう心の中でつぶやき、クレノアは良くしてくれた住人達と抱擁を交わしていた。

 私が馬車の近くで待っていると、大きなカバンを持ったクレノアがこちらへ走ってきた。


 「お待たせしました!」


 「構いませんよ、ではこちらへ乗車してください。」


 クレノアが来るまで部下たちと話し合った結果、一人でいるのは酷だろうという事で私も一緒に馬車へ乗車することにした。

 王都へ向けて出発すると、クレノアは少し名残惜しそうに村を見ていた。


 「名残惜しいですか?」


 「そうですね、母が亡くなった後も良くしてくれた人たちだったから……もっときちんとした挨拶をしたかったわ。」


 「そういえば貴女の天職を聞いてもいいですか?」


 私がそう言うと、クレノアは少し考えた後何かを考えた後にゆっくりと言葉を発した。


 「私の天職は『()()』です。」


 『勇者』と言われて、彼女が王都へ呼ばれた理由が分かった気がする。

 確かに勇者の情報なんてそう簡単に言えないわけだ。


 「貴女が今代の勇者だったんですか……。」


 「余り驚いていないみたいね、村の人たちが知った時は大騒ぎだったのに。」


 村の人間が私たちによそよそしかったのは、恐らくクレノアが王都へと連れていかれてしまうとわかっていたからだろう。

 きっと勇者であることを王都へ報告をしなかったから彼女の発見が遅れたのだろうと推測した。

 それから来た道を二日かけて戻り、王都へと帰還した。

 王都の正門を過ぎると沢山の民衆が物珍しさに馬車を見ていた。

 私はいったん馬車から降りて先頭に立って馬車を先導する。

 王城へと向かう途中、どこからか視線が向けられていることに気づいた。

 敵意は感じずむしろ温かい好意の様なものだった、辺りを見回してみてもそれらしき人影は見当たらず、少し心の中で雲がかかるような気持ちだった。

 それから王城に到着すると、正装をした団長が私たちを出迎えてくれた。


 「任務ご苦労だったな。これからお前と馬車の中にいる嬢ちゃんには王と謁見してもらう。王に何か聞かれたら簡潔に聞かれたことだけ答えるんだ、いいな。」


 一息つく暇も無く、私たちは玉座の間へと案内される。 

 横にいるクレノアは緊張しているようで、手が少し震えていた。


 「とりあえず私が喋るから貴女は私の真似をしてればいいから。」


 そう耳打ちして私たちは国王と謁見する。

 玉座の間は荘厳なつくりになっていて、この空間にいるだけでプレッシャーに押しつぶされそうになる。

 周囲には王宮に仕えている高官や貴族たちが並んでいて私たちを値踏みしているような目線を向けていた。

 玉座の前まで歩き、右足の膝をつき目線を下へと下げる。


 「第一騎士団所属、リーネ、任務により彼女を王宮へと護衛してまいりました。」


 国王は私を見た後にクレノアの方へと目線をずらしジーッと凝視している。

 クレノアは粗相のないように、私と同じ体勢を取り、視線を床に向けている。


 「楽にして良いぞ。おぬしがクレノアか?」


 声をかけられたクレノアは緊張しながらも目線を王へと向けて重たい口をゆっくりと開く。


 「はい、私がクレノアです。」


 「ワシはルーメンス王国の国王を務めておるアルフレッド・ロワ・ルーメンスじゃ。おぬしが今代の勇者で間違いないかの?」


 「はい、私は天職として勇者を授かりました。」


 「ふーむ……ではクレノアとリーネよ、勇者の責務として仲間を集めて魔王を討伐してもらいたい。こちらとしても最大限の支援は約束しよう。」


 アルフレッド国王の口から出たのは、私たちに魔王を討伐せよというものだった。

 確かに私は勇者の仲間としてスカウトされて王都にやって来たが、まさかこんなにあっさりと決まるなんて思ってもみなかった。

 横にいるクレノアなんて未だに状況を理解できていないようだった。


 「準備する時間として一週間の猶予を設ける。その間に仲間を募り、魔王軍の侵攻が激化している神聖国家ディリシャンへと向かってほしいのだ。」


 魔王軍の侵攻が表立った時から大陸の国々が集まり会議を開いたそうだ。

 そして、その会議では各国総力を挙げて勇者を見つけること、勇者を見つけた国は即座に情報を共有して魔王軍の侵攻が激しい地域へと向かわせることを取り決めたという。

 よって現在魔王軍の侵攻が最も激しい神聖国家ディリシャンに旅立つ事が決まった。

 こうして私たちは勇者一行として世界を救うことになった。

 あまりにも唐突なこと過ぎてまだイマイチ理解が出来ていないが、とりあえず玉座の間を退出した後、クレノアと話し合う場を設けることにした。

 王城にある一室を借りて、クレノアとこれからについて話し合うことにした。


 「急に世界を救うことになったわけだけど……これからどうしようか……。」

 

 私が深くため息を吐くと、クレノアは見かねて話し出す。


 「私、武器なんて扱ったことないけど大丈夫かな……。」


 「勇者の加護が働くから武器を握れば戦闘の仕方は自然と身に着くはずよ。今はとにかく仲間を集めないと……。」


 私たちはこれからの方針について話し合った結果、まずは魔法使いを仲間に入れることに決めた。

 優秀な魔法使いとして白羽の矢が立ったのが私の幼馴染であるアリエだった。 

 魔法学園に訪れてアリエに事の顛末を話すと、驚いていたものの喜んで引き受けてくれた。

 アリエは魔法学園に休学届をだしてすぐに準備に取り掛かり、後見人である貴族の養父母に別れの挨拶をした。

 養父母は寂しそうにしていたが、私が一緒という事もあり安心して任せられると言ってくれた。

 次に回復魔法を使える僧侶に関しても話し合ったが、ディリシャンには当代の聖女がいるので、聖女に協力してもらう方針で決定した。

 いきなり仲間になってほしいというわけにもいかないので王宮の協力を得て手紙を出すことにした。

 手紙には魔王軍を打倒するために協力してほしいこと、そして仲間になってほしい旨をしたためてディリシャンの大聖堂宛てに送った。

 それから一週間で装備や食料などを揃えて旅の準備に奔走していた。

 私とアリエはある程度の装備があるがクレノアは元々一般人だったので一から装備を見繕う必要があった。

 防具は最初から最高品質のものだと上手く動けないと判断したので魔鉱石が使われている軽いチェストプレートを買うことにした。

 武器はとりあえずは鋼鉄のショートソードを見繕った。

 クレノアは勇者なのでディリシャンへ向かう途中にある聖剣の祠へと赴き聖剣を入手することにした。

 最後に団長へと挨拶をするために騎士団の詰所へと向かう。

 団長は私が居なくなることに寂しそうな表情をしていたが、私がしっかりと役目を全うできるように激励をくれた。


 「これから先、沢山の苦難がお前たちを襲うだろう、だが決して諦めるな!お前たちの両手には無垢な民たちの命が乗っている、それを忘れるなよ。無事に帰ってくることを願っている。」


 こうして私たちは勇者一行として聖剣の祠と神聖国家ディリシャンへと向かうことになった。

 世界を救う旅と聞いて心が躍らないわけではないが、私にそんな大役をこなすことが出来るのかと心の中で疑問を投げかけていた。

 これから先にどんな出会いや出来事が待ち受けているのか思いを馳せながら私たちは馬車を走らせた。

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私のやる気が猛烈に上がります。

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アドバイスや誤字は優しく教えてください。

次回でまたお会いしましょう!!


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