第34話
大分遅れてしまい、申し訳ありません!!
旅行に行っていたので執筆する時間が無くて中々話を進められず今回は短めとなります。
話は変わるのですが、もしかしたら題名を変えるかもしれません。
某アニメと題名が似ていると友達から指摘を受けまして……自分でも少し感じていたのですが流石に変えた方がいいのではと思い至りました。
小ネタ
・この小説で身体能力や魔力量の記載がないのは数値やランクによるインフレを少しでもなくすための処置となっています。
・フレイとの契約はフレイ自身の魔力をアレクに貸し出しているという形で魔力の供給を受けています。
他にも疑問に思ったことがあったら気軽にコメントしていただけると嬉しいです!
時間を潰すために職人街に足を運ぶことにした僕たちは冒険者ギルドから出て露店を眺めながらゆったりと歩いていた。
それにしてもEランクに昇級したというのに実感が全く湧かない。本来ならもっとクエストを受注して経験を積んでから受けるものらしいので僕は少しイレギュラーなのかも知れない。そう考えれば実感がないのも当たり前なのかも知れないな。
そんなことを考えながらぷらぷらしていると後ろから声がかけられた。
「はぁ…はぁ…やっと見つけたわ!!」
振り返って誰か確認するとそこには息を切らして膝に手を置きながらこちらを見つめるアステルがいた。
アルヴィリス家の別荘にお世話になってから交流がなかったのでこんな街中で再開するなんて思っても見なかったのでとても驚いた。
「アステル!?どうしてこんなところに……。」
僕の言葉にアステルは頬を膨らませながらこちらに近づいてくる。彼女の周りにはオーラのようなものが漂っており、その迫力はファンネルさんにも引けを取らないほどだった。
「小僧がなんか怒らせるようなことしたんだろどうせ。」
フレイが心底どうでもよさそうに言葉を漏らす。
「えぇ!?そんなことしたかな?」
僕がこれまでの行動をこれまでにないくらいに脳をフル回転させて思い返す。その速さはもはや模擬戦の時の比ではなかった。
僕があたふたと思い出していると、遂にアステルが僕の目の前にやってきた。一体何をされるのだろうかと目を瞑って構えていると、予想とは全く違った結果になった。
「もう!アレクが酷い怪我したって聞いて心配になって来てあげたのにその態度は何よ!」
どうやらアステルは僕を心配してここまで来てくれたようだ。その事実に少しこそばゆい気持ちになる。僕のために来てくれたという行為がただただ嬉しかった。
「急いでギルドに向かったらもう居ないって言われて探したのよ!!」
「ごっ…ごめん、まさかアステルが来てくれるなんて思わなくてさ。でも、すごく嬉しい!!」
僕の言葉にアステルがぼっと顔を赤くする。
「別に心配はしてないわよ!だってアレクだもの、きっとまた無茶したんでしょ?」
はぁとため息をつきながら横目でこちらを見る。まだ少し照れているみたいだ。その照れ隠しをしている姿がとても可愛らしかった。
「それで、もう体は大丈夫なのかしら?」
「あぁ、黎明の扉のエリナさんって言う僧侶の人に治療して貰ったから普通に動く分には問題ないよ。」
僕の答えにアステルは少しツンとした態度をした。
「ふ〜ん、私以外の人に治療して貰ったんだ…。」
ボソッと発した言葉だったので詳細は聞こえなかったため、どうしてツンとしているのかよくわからなかったが、これ以上余計なことを言ったら藪蛇だと思ったのです黙っておくことにした。
少し気まずい雰囲気を紛らわすために、僕は話題を変えて職人街へと足を運ぶことをアステルに伝えた。
「僕はこれから職人街へ行こうと思ってるんだけどアステルも一緒に来るか?」
僕の誘いにアステルは目をキラキラと輝かしながら頷く。
「もちろん一緒に行くわ!!」
職人街には武具のお店だけでなく装飾品などを専門に取り扱っているお店もあるとケイシーさんが言っていたので、アステルも楽しめるだろう。
僕たちは中央の広場から更に東へ向かった。
少し歩いていると少しずつ街並みが変わっていくのが分かる。
中央通りでは店を中心とした建物と露店が主だったが、職人街では工房の様な建物が多く見られる。
「何か重苦しい空気がするな。」
僕の呟きにフレイが答える。
「そりゃここには鍛冶屋の工房が沢山あるからな。武器や防具、装飾品に限らず鍛治師の仕事っていうのは熱気があるし集中力を必要だ。その空気感が自然と漂ってるんだろうよ。」
フレイの言葉に納得がいった。
ここら周辺で感じる重苦しい空気は居心地の悪いモノじゃなかったからだ。
寧ろ背筋が伸びるというか、職人の気持ちがここまで届いている様な気がしたのだ。
「僕は防具を新調しようと思ってたんだけど、少し付き合ってくれる?」
僕の誘いにアステルはニコッと笑って答える。
「勿論よ!一緒に似合う装備を探しましょ!」
それから僕たちはいくつかの防具屋を訪れて、新しい装備を探した。
しかし、王都で店を構えているだけあり、高い品質である一方で値段が高く、今の僕に払える様な額でいい装備はなかなか見つからなかった。
「中々予算内でいい装備が見つからないなぁ……。」
「一流な装備である分、値段もかなり張るわね……。」
僕たちは職人街を歩きながらどうしようかと思案する。
どのお店の装備もミスリルを使用した鎧だったり、ドラゴンの鱗を使ったプレートだったり、今の僕たちには縁遠い品ばかりだった。
今日はもう帰ろうかなと考えていると、ふと脇道の奥に佇んでいる店が目に入った。
「あのお店は……。」
「なんだかボロ……趣のあるお店ね。」
今ボロいって言おうとしたな。
「とりあえず中に入ってみようか。」
僕たちは少し不気味な店に入ることにした。
店の看板に「コーナーの鍛冶屋」と無骨な字で書いているので、ここも防具が売っているかもしれない。
そう思いながら店の扉を引くと、僕の目の前にハンマーが物凄い勢いで迫ってきた。
僕は突然の出来事に理解が追い付かず、そのハンマーをもろに食らってしまった。
「ぶべふっ!!」
投げられたハンマーが僕の顔面に直撃し、鼻血が勢いよく出てくる。
「アレク!?ちょっと鼻血が出てるわよ、じっとしてて。」
僕の鼻から血が出たのを見たアステルが急いで回復魔法をかけてくれた。
そしてアステルに回復魔法をかけてもらっている傍らで、僕にハンマーが直撃した光景を見ていたフレイが爆笑していた。
「小僧、お前コントでもしてるのか?面白すぎるぞ!!」
フレイのケケケッという笑い声で、僕の額に青筋が浮かび上がる。
いつか覚えて置けよ……ってかハンマーを投げたの誰だよ!
僕が犯人を見つける為に店の奥を凝視していると、奥から赤い鉢巻を巻いて、ゴーグルをかけ、手入れされていない髭を生やしている老人が出てきた。
「いや~スマンスマン、金槌がすっぽ抜けてしまったわい。」
お茶らけた様子でこちらに来た老人は、僕が鼻血を出しているのを見て初めて事態を把握したのか、少し目を開いて驚いていた、そして。
「まさか人に当たっていたとは……許してちょ!」
なんの悪びれもしない態度に我慢の限界だった僕は、右手を握りしめて左足を踏み込み、ストレートを放つ。
「ふざけんなクソ爺~!!」
僕のストレートは老人の左頬を正確に捉え、パンチの衝撃で回転しながら地面に倒れた。
「ちょっとアレク!!ご老人相手に何てことしてるのよ!!」
僕の治療を終えたアステルが急いで老人の元へ駆け寄り、回復魔法をかける。
「だってこの爺全くもって悪びれてなかったんだぞ!!」
「まぁ言動はちょっとアレだったかもしれないけど……それでも手を出しちゃダメよ!!」
アステルに説教をされて、しぶしぶ納得していると老人がむくりと起き上がり、何事も無かったかのように立ち上がった。
「最近の若いもんは暴力的じゃなあ。」
「急に殴って悪かったな、あんたの態度にムカついてつい。」
僕の謝罪(?)に老人はガハハと笑いながら気にしていないことを伝える。
「原因を作ったのはワシじゃ、何も気にしておらんわい!!」
「あなたはこのお店の店主さんですか?」
アステルが質問をする。
老人がアステルの方を向くと、目を見開いていた。
「こりゃ別嬪さんだなぁ……おっと失礼。ワシはコーナー、しがない鍛冶師じゃ。」
コーナーと名乗った老人はニヤッと笑って店の奥へ案内してくれた。
「あんたら防具を探してるんじゃないか?ワシが見繕ってやろう。」
そう言われ僕たちはコーナーさんについて行き、鍛冶屋の中へ入っていくことにした。
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次回でまたお会いしましょう!!