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無色の英雄~凡才が英雄へ至る道~  作者: オレオル
始まり
2/35

第1話

拙い文章でスミマセン

 衝撃の事実になにも言えなくなっていると、教会の中の誰かがふと呟やいた。


 「無職なんて聞いたことがない。」


 その一言を皮切りに様々な言葉が教会の中で飛び交った。

  

 「無職だって。」


 「聞いたことないね。」


 「俺無職じゃなくてよかった。」


 嘲笑うもの、哀れむもの、様々な目線が僕に向けられる。

 

 『無職』と聞くと一見普通の様に聞こえてしまう。

 だが、『無職』と他の天職では、天と地ほどの差が生まれてしまう。

 例えば、『無職』の人が剣の特訓して一週間でスキルを習得したとする。

 それに比べて『剣士』の人が剣の特訓をすると2日~3日でスキルを習得してしまう。

 それ程までに天職があると無いとでは成長速度が違うのだ。

 更に天職は身体に大きな強化を施す。

 つまり、『無職』と『剣士』が力を比べれば、『剣士』が圧勝してしまうのだ。

 そして、この世界は天職で仕事が回っている。

 故に『無職』には居場所がないのだ。


 「大丈夫?アレク‥‥」


 ただ唯一幼馴染みのリーネだけが僕を慰めてくれた。

 でも、そんな言葉をかけられるほど惨めになってくる。

 僕はガラスが砕けたような、世界に否定されたかのような気持ちになった。

 僕は何故『無職』なのか、そんな答えの出ない問題に自問自答していた。

 僕がうつむき、暫くして騒ぎが収まると、儀式を再開するように司祭様が咳払いをした。


 「では、儀式を再開しましょう。」


 「次、リーネは前へ出よ。」


 リーネが司祭様に名前を呼ばれた。


 「はっ、はい!!」


 元気よく返事をして祭壇まで走った。


 「我らが崇める創造神ヴァルマー様、リーネをその御手でお導きください。」


 司祭様が言葉を言うと、いきなりリーネの身体が光始めた。


 「光った!?」


 僕は呆気に取られていた。

 まさかリーネが光り始めるなんて全く想像すらしていなかった。

 もしかしたらリーネもなにかが起こるのかもしれないと思いとても焦った。

 光が収まると司祭様は瞬きをした後、表情を明るくしてこう言った。


 「な‥‥なんと!!リーネの天職は『剣姫』です!そして、ユニークスキルは『剣神の寵愛』です!」


 「へ?」


 リーネは自分に何が起こったのか良く分かっていないようだった。

 そんなリーネを余所にそれを聞いた大人たちは皆歓喜していた。


 「こんな辺境の村でこんな逸材が誕生するなんて!」


 「素晴らしい!この村の誇りだ!」


 大人たちは大騒ぎをしていた。

 言っていることはよく分からなかったけど皆が喜んでいたからリーネは凄い『天職』だったのだろう。

 僕とは違い、凄い『天職』を授かったリーネに心の何処かで妬ましいと思っている自分がいた。


 それからは何事もなく儀式は進んでいった。

 後から聞いたが、この村で『無職』がでたのは初めてだそうだ、もちろんリーネの『剣姫』もだ。

 僕は目を輝かせている幼馴染みのリーネを見て改めて自分がなにも出来ない無能だと思った。

 



 

 リーネと別れて家に帰る途中、落ち込んでいる僕に親父は笑いながら話しかけた。


 「そんなメソメソしてんじゃねえよ、ったくよ~男だろ?男なら涙流さず前を向け。」


 親父は気を遣うつもりはないらしく、僕の背中を叩いた後、頭をくしゃくしゃに撫でた。

 その手は農業で鍛えられた男の手だった。

 ゴツゴツしていたけど、とても温かくて優しくて荒んだ気持ちが少し晴れたような気がした。


 「なぁ親父、親父は『無職』の俺の事なんとも思ってないのか?」


 前代未聞の『無職』が自分の息子だったのだ、何も思わないという方が無理な話だ。

 本当は僕のことを良く思っていないのかもしれない。

 そう思い親父に聞いてみた。


 「そりゃ最初は驚いたけどよ、そんな事で自分の息子を悪く思うのは父親として失格だろ?」


 当然だと言わんばかりの態度に僕は戸惑った。

 そして、親父は珍しく真剣な顔をして言った。


 「自分の価値を決めるのは他人でも家族でもねぇ、アレク自身だろ?」


 「たとえ『天職』が無かろうがそれはお前が冒険者の夢を諦めていい理由になんてならねぇよ。」 


 その言葉を聞いて僕は思わず泣いてしまった。

 

 「俺、冒険者を目指しても良いのかな?」


 「当たり前だ!俺はお前を応援するぞ。」


 親父の言葉で俺は改めて冒険者になることを決心した。

 涙を拭いながら僕は家に帰った。

 

 

 

 

 

 

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次回でまたお会いしましょう!!


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