第17話
最近バタバタしていてなかなか書く時間が取れず遅くなってしまいました。
この世界のお金のシステムで何か案があったらコメントで教えてくれると嬉しいです。
馬車に揺られて僕は王都に向かっている。ジルバから王都までは遠いため、道中で町に1,2回ほど寄りながら今日を含めて3日ほどかけて向かう。出発してしばらくすると道の舗装もされなくなっていて、馬車が揺れるため座り心地が悪い。ずっと座ってるだけなのでお尻が痛くなってきた。
「お前は浮いてるだけだから楽そうだな……。」
僕はフレイに元気なくボソッと愚痴を零す。
「小僧は馬車に揺られて大変そうだな、ケツが痛いんじゃねぇか?」
「他人事だからって呑気にしやがって……。」
次の町に着くまで時間があったので、僕は他の乗客と他愛ない話をしながらのんびりと過ごした。
僕と同じ冒険者の人や出稼ぎに王都に行く人、王都で商店を開くために来た人など様々な目的を持った人がいた。様々な人の馴れ初めを聞いていると、一つ目の町に着いた。
「出発するまで時間があるから少し辺りを散策しようかな。」
僕は馬車を降りて御者さんに挨拶をした後、町の中心部に足を運んだ。人がたくさんいたわけではないが、それでもお店などで話している人は笑顔であり、人同士の距離が近いように感じた。
大通りの串焼き屋さんに訪れて、僕は鳥の串焼きを注文する。少しして屋台の店主が焼きたての塩焼きを僕に渡す。焼き鳥から香ばしい匂いが漂ってくる。口に運び咀嚼すると中から肉汁が出てきて、熱い口の中を細かく動かしながら食べる。
「オレにも一口くれよ。」
フレイがおいしそうに焼き鳥を食べている僕を少し羨ましそうに見ている。
「その姿って食べ物を食えるのか?」
一口あげるのはやぶさかではないが、炎の塊のフレイは果たして食べられるのか疑問に思う。
「やってみないとわからないだろ、いいから一口寄越せよ。」
そういってフレイは僕が持っている焼き鳥を一つ食べる。焼き鳥が焦げないかどうか気になりフレイを見てみると、フレイはつまらなそうな表情で不満を口にする。
「口の中でなくなったわ、チッつまんねぇの。」
僕は焼き鳥を食べるのに失敗したフレイを放置して、町を散策する。
「そういえばジルバで買い物をしてた時に女の子に会ったっけ、名前は確か……アステル。また会えるといいなぁ」
「案外すぐ会えるかもしれねぇぜ、お前は厄介ごとに巻き込まれやすそうだからな。」
「なんだよ人を疫病神みたいに言いやがって……。」
僕が当時10歳だったころにジルバで出会った少女アステルのことを思い出しながら僕は馬車に戻る。
ちょうどいい時間になり、馬車が再出発する。護衛の冒険者たちも補給を終えて準備万端に見える。ここらへんで強い魔物や賊がでたということも聞かないので、そこまでの危険はないだろう。僕は呑気なことを考えながら、馬車の旅を満喫する。
「そんなに気が緩んでると痛い目に合うぞ。」
「大丈夫だよ、護衛の冒険者もいるんだからッ……!」
フレイが僕に注意するが、僕は冒険者が護衛についているため問題ないと返そうとした時に馬車が急に停車して、僕は前のめりに倒れ顔から馬車の床板に激突する。
「ほ~らオレの注意を聞かなかったから痛い目をみたじゃねぇか。」
「いてて……うるさいなぁ、何かあったのか?」
フレイにからかわれ少しムッとなったが、何が起こったのか確認するために僕は馬車から降りて御者さんの方へ向かった。そこにはDランクモンスターであるフォレストウルフの群れが行く手を阻んでいた。護衛の冒険者たちは慣れた動きで馬車を守る陣形を組みフォレストウルフが馬車を襲えないようにする。
「御者さんよ、危ないから馬車の中に隠れてな。」
そう言い残すと冒険者たちはフォレストウルフと真正面から戦う。彼らは苦戦する様子も無くフォレストウルフを倒していく。数分後、冒険者たちはフォレストウルフの解体を済ませて御者さんや乗客に安全になった旨を話す。乗客たちも落ち着き、少し休憩を取ってから僕たちは再出発した。
「やっぱ冒険者はかっこいいよな~さっきのフォレストウルフも全く慌てず対処してたし。師匠の座学でどんな魔物かは知ってたけどやっぱり実物を見ると少し怖いな。」
さっきの冒険者についてフレイに話す。
「あのババアに修行つけてもらったくせになにビビってんだよ、小僧でも全然勝てる相手だろ。まぁあんな魔物オレ様からしたらカスも同然だけどな。」
フレイはフフンと鼻高々に言う。フレイが実際どういった悪魔なのか分からないので僕はただも妄言として扱う。
「はいはい分かってるよ。」
「おい小僧また信じてないな、オレ様は魔界で名を馳せた大悪魔なんだぞ。」
フレイが不満げな声で僕が適当にあしらったことに対して抗議の声を上げる。師匠の元を離れた僕にとってこんなに気楽に話せる存在はフレイだけなので、このやり取りが思いのほか楽しかったりする。
そんなこんな話して次の日、僕たちは二つ目の町に到着した。王都に近いこともありなかなか活気のある町だった。僕は少なくなった水と食料を補給しに市場に行くことにした。保存食を購入していると、中年ほどの気のいいおばさん店主から話しかけられた。
「お前さん冒険者かい?もし王都に向かってるんなら気を付けな、近頃ここらで賊が出たって噂があってね、小さな商団が複数の被害にあったって話題になってるんだ。」
「そうなんだ、じゃあ用心していかなきゃな、おばちゃん話してくれてありがとう。」
その他にもあちこちで賊の話が出てきた。ここら近辺では珍しいようで、町の人たちは少し不安そうな顔をしていた。もうしばらくすると王都の騎士団が派遣されるそうで、そうなればこの件も解決したも同然と町の人は話していた。なんでも騎士団はかなりの実力者がいるみたいで、みんな騎士団の話をするときは笑顔だった。どうやら相当信頼されている組織みたいだ。
補給が終わりいよいよ次は王都だ。子供のころから憧れていた王都がもうすぐだと思うとなんだか感慨深いものがある。それに師匠の話だとアリエは王都の魔法学校に通っているらしい。きっと母譲りの魔法の才能があったのだろう。リーネも王都に居るはずなので二人との再会も楽しみで仕方ない。そんな考えを巡らせていると僕たちの進行方向から悲鳴のようなものが聞こえた。
「誰か~~!!誰か助けてください!!」
護衛の冒険者は御者さんとどうするか話し合い、その結果助ける選択をした。急いで現場に向かうとそこには貴族が乗っていそうな豪華な馬車の周りを身なりの悪い賊が10人ほどが取り囲んでいた。お忍びなのか護衛の騎士が数人しかいなく、実力では勝っているが如何せん盗賊の数が多く苦戦していた。冒険者の人たちは一人を馬車の護衛として残し、他の人は騎士たちに助太刀しに行った。
馬車から身を乗り出して外の様子を確認すると、一瞬だけ貴族の馬車から女性の顔が見えた。その顔と特徴的なピンクの髪は見覚えがあった。
「あれは……アステル!?」
そこには昔ジルバで出会った少女がいた。
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