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名も無き英雄の冒険譚  作者: オレオル
修行
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第12話

3000字毎回書ける人ってすごいですよね

 弟子入りを許可された翌日、僕はフォルトゥナさん改め師匠に呼び出された。二階の寝室から降りていくと、リビングに料理を並べている師匠の姿があった。


 「来たか、まずは座れ。」


 師匠に促されて僕はテーブルに並べられた料理の前に座る。


 「お前に先に言っておくことがあってな、食べながらでいいから聞け。」


 僕はパンを手に取り、師匠の料理を食べながら話を聞く。師匠の料理はスープとパンを中心とした消化のいいものが多かった。僕の体調を鑑みて献立を考えてくれたのかもしれない。

 

 「まずアレク、お前の村についてだがお前が寝ている間、あたしは村の周辺や隣町に出向いて生き残りがいないか探した。その結果、お前の妹は貴族の養子になったことが分かった。その貴族は地方の領主なんだが人が良いと評判な人物だ、だから安心してほしい。」


 僕は師匠からアリエが無事なこと知らされる。口に含んでいたパンが少し塩気が強く感じた。


 「ありがとうございます、おかげで安心して修行に取り組めそうです。」


 そして師匠は先ほどとは違い真剣な眼差しで話を続けた。


 「次にお前についてだ。」


 「僕ですか?」

 

 僕はいったい何を言われるのか分からず身構えた。


 「見たところお前には『天職』がなく、戦いの才能が全くない。全力で鍛えたとしても、ヴァンテムのような格上に勝つことは厳しいだろう。お前はそれでも力を欲しいと思うか?」


 師匠に僕が才能がないことを告げられる、自分でも理解していたことだが改めて正面から言われると少し傷つく。


 「それでも僕は自分の手の届く範囲にいる人を守れるようになりたいです。そしていつか、初代勇者のような英雄になって僕の幼馴染のリーネと肩を並べて冒険できるようになりたいんです。」


 「英雄か……アレク、お前は英雄の定義についてどう考える。英雄とは何をもって英雄足りえると思う?」


 師匠は僕に質問する。質問の意図があまりわからなかったが、僕は自分の主観を述べることにした。


 「やっぱりドラゴンを倒したり、世界を救ったり、誰にもできないようなことを成し遂げた人が英雄と言われると思います。」


 僕の意見を聞いた師匠が口を開く。


 「それがお前の英雄像か……。いいかアレク、世の中で救国の英雄と言われている傑物や稀代の天才魔術師と言われている人物たちには一つの共通点がある。それは、全員自分のやりたいことや欲望を突き詰め極めていることだ。英雄とは自分を突き詰めた先に人々から賞賛されるものだ。」


 師匠は僕に英雄と呼ばれる人物が何なのかを説く。僕にとってはただの憧れの対象でしかなかった存在であまり深く考えたことがなかった。師匠の言っていることはまるで自分が直接見たことがあるような不思議な説得力があった。


 「お前はヴァンテムとの戦いの時、そして今も守るための力を必要としている。これはお前極めるべき道としては十分すぎる理由だ。」


 師匠は僕に憧れを追うのではなく、自分の成し遂げたいことに全力を尽くすように言う。


 「そして今のお前に必要なのは、誰にも()()()()()()だ。」


 師匠の言葉はトンチのようなモノで、僕は言葉の意味を理解することができなかった。僕は怪訝そうな顔をして師匠に言葉の真意を聞く。


 「それは相手に勝つ事と一体何が違うんですか?」


 「そうだな……お前の目的は()()ことだ。これは勝つ事とは完全なイコールじゃない。お前のやるべきことは時間を稼ぎ、周りの人間が逃げられるようにすることだ。もちろん勝つ事が出来ればそれが一番だ、だがヴァンテムのようなどう足掻いても勝てないような敵が出てきた時に、お前は玉砕覚悟で突っ込んでいくのか?しかしそれでお前が死んでしまえば本末転倒だ、優先順位を間違えてはいけない。」


 師匠の言葉はとても説得力があった。確かに僕はどんな相手にも勝つ力を欲していた。確かにヴァンテムのようなバケモノじみた強さの敵にはかなわないことは僕が一番痛感している。

 

 「わかりました、僕に師匠の言う守るための術を教えてください。」


 「いいだろう、じゃあ飯を食い終わったらさっそく修行開始だ、死ぬ気で付いてきな。」


 こうして僕と師匠の地獄の修行が始まったのだった。

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