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名も無き英雄の冒険譚  作者: オレオル
始まり
1/40

プロローグ

『代償魔法』それは、古の時代に人々が悪魔や神に匹敵する力を得るために行使したと言われる失われた古代魔法である。



















AD1649年 4月


 この世界では、8歳になると天の神々から『天職』と『ユニークスキル』を授かることが出来る。

 それは、辺境の村ソラルに住んでいる僕、アレクも例外ではない。

 僕の住んでいる村はルーメンス王国の王都から遠く、住人も数百人に満たない小さな村だけど皆助け合いたくましく暮らしている。


 「行ってきまーす!!」

 

 「行ってらっしゃい!お兄ちゃん!」


 僕は最愛の妹アリエに見送られて家を出た。年齢は僕の4つ下の4歳だ。

 アリエは母のエリアスに似て、とても可愛らしい容姿をしている。

 母はたいそう美人だったそうだが、僕らが小さい頃に病死しているため、殆ど覚えていない。

 覚えているのは、母に優しく抱っこされていた事くらいだ。

  

 今日は、人生で一度の『神託の儀』が教会である。

 儀式で、授かることが出来る『天職』や『ユニークスキル』はランダムな為、誰もが思いを馳せながら授かる。

 僕は冒険者になって村の皆を幸せにしたいと思っているので、冒険者に向いている戦士系統の『天職』が欲しいと思いながら教会に向かった。

 すると後ろから大きな声が聞こえてくる。

 

 「おーーーい!!」


 振り向くとそこには幼馴染みのリーネが立っていた。燃えるような赤い髪に、深紅に染まった瞳は吸い込まれそうだ。

 天真爛漫という言葉は彼女のためにあるとと言っていいほど似合っていた。


「今日は念願の神託の儀だね!」


 明るい笑顔でリーネは言う。

 整った顔つきは幼いながらも誰もが振り返るほどだ。

 彼女もアリエと同じく将来は美人になっているだろう。


 「そうだな!」


 僕は彼女に笑顔で返す。


 「所で、リーネはどんな天職がいいんだ?」


 ふと、興味が湧いたので聞いてみる。

 僕と一緒で冒険者向きの天職がいいのだろうか。


 「私は魔法使いの天職を授かって、アレクと一緒に冒険者になりたいな!」


 「そっか。」


 そっけない返事をしてしまったが、その返事を聞いた時とても嬉しかった。

 彼女と一緒に冒険が出来たらきっと楽しいだろう。

 彼女と冒険をする日々を頭の中で描いてみると、不思議と笑みがこぼれた。

 それから僕らは他愛もない会話をしながら、教会へとかった。

 王都にある教会に比べ、かなり規模は小さいがしっかりとした造りになっている。

 教会のなかに入ると沢山の子供がいた。

 きっとみんな『神託の儀』を受けに来たのだろう。

 後ろでは大人たちが自分の子供がどんな『天職』と『ユニークスキル』を授かるかソワソワしている。

 そのなかで一際目立っているのは僕の父親のアルガンだった。


 「アレク、俺はお前を信じてるぞー!!」


 何の躊躇なしに大声で言うものだから周りの人の視線が集まってきた。

 普段はしっかりしているが、こういう時に限って空気が読めないのだ。

 僕は恥ずかしさのあまり他人のフリをすることにした。

 

 「それでは神託の儀を始める。」

 

 司祭様が儀式を始める合図をした。

 それまで騒がしかった教会内が静かになった。

 儀式は滞りなく進められた。中には歓喜するもの、悔しがるものと様々だった。

 僕の前の子が儀式を終えた。


 「次、アレクは前へ出よ。」

 

 僕の名前が呼ばれた。僕は期待を胸に祭壇に向かって歩き始めた。

 

 「それじゃあ行ってくる!」

 

 リーネにそう言い、僕は司祭様は所に足早に行く。

  

 「我らが崇める創造神ヴァルマー様、アレクをその御手でお導きください。」

 司祭様がそう言うと急に僕の身体が光始めた……と思われたがなんの変化も起きなかった。


 「こ、これはいったい……。」


 司祭様はどこか慌てていた。

 何度も何かを確認したあと、僕の方を向いた。


 「あ、あり得ない…」


 司祭様は汗をかきながら呟いた。

 すると、


 「司祭様!俺の息子はどんな天職なんですか!!」


 父親が興奮混じりに聞いてきた。

 司祭様は一息つくと困惑した顔をして告げた。


「アレク・シュバルツに職業の記載はありませんでした…。そしてユニークスキルは、『折れない志』です…。」


 僕も含め教会にいた人たちは唖然としていた。

 記載がない、つまり無職(・・)というのは聞いたこともなかった。

 誰もが何であれ必ず『天職』が与えらるはずなのに無職(・・)になるとは思っても見なかった。

 

 「え、僕…無職なんですか?」


静かな教会に僕の震えた声が響いた。

 



 そして、この出来事が僕の人生を大きく変えるきっかけになるとは、この時は知るよしもなかった。


 

 

 

  

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次回でまたお会いしましょう!!


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