シーツ
白いシーツを洗って干した。シーツの素材から考えると昼くらいには乾くだろうかな、今日天気いいしなと思って様子を見ていると、案の定、昼くらいにはもうすっかり乾いてしまった。
「よーしよし」
取り込んでにおいを嗅いだりすると柔軟剤のいい匂いがしたし、あとシーツの素材が故に焼いたベーコンのようにカリカリになったのでなんかそれでテンションがぐーんと上昇した。
「うおおお」
ってなってきた。朝に立てた予定通り事が進んでいるのがうれしいのかもしれないし、あるいは思ったよりも早く乾いたシーツと天気に浮かれてしまったかも知れない。
「ちょっと巻いてみよ」
テンションが故に洗って干して乾いたばかりのシーツを体に巻いてみたり、巻き付けてみたりした。
「おおお」
姿見で確認してみるとまるで、
「僧みたい」
詳しくないから知らねえけど、でもこういう感じ僧みたい。僧ってこういう感じでしょう?袈裟?法衣?よく知らないけど、でもとにかくそういう感じ。
「こいつはなんだろうか?」
何でテンション爆上げしてるんだろうこいつ。なんかシーツを体に巻いてるだけでテンションが天井知らずだけど何この人?
そう思う自分もいたが、でも、止められない自分もいた。同期していた。
たかだか洗った白いシーツを体に巻いただけで、こんなにテンションが上がる人いるんだろうか?
でも、実際姿見に移ってるそいつは白いシーツを体に巻きつけて、飛んだり跳ねたりしている。
「おおおお!」
って言ってる。
午前中に予定通りに洗濯して、それを干して、天気が良かったからシーツは他の洗濯ものに比べて早く乾いて。だからさっさと取り込んで場所空けて、他のものも干せるようになって。
で、今その洗って干して乾いたばかりの白いシーツを体に巻きつけてテンションが上がってる自分が姿見に移っている。
「スカラー波!」
「パナウェーブ!」
テンションが上がってる。明らかに上がってる。おかしな方向に上がってる。
「パナウェィーブ!」
パワーウェイブを出す感じでパナウェーブって言ってる。
やばいんじゃねえかなあ。
少しすると家のチャイムが鳴った。
「はい」
「警察ですが」
警察来た。
テンション上げすぎたらしい。