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内側に入り込まなきゃ何も知ることができない会社

実はこの話、かなり前から書き始めていたのですが、今年の7月末にSSDが寿命を迎えたため無事データ全損となり、初回の投稿すらしてないのにエタるという出来事がありました。

カッとなって書き直し始めたのですが、文量が増えるごとにガバってる箇所が目立ち始め、ガバを覆い隠そうとすると更なる別ガバが旗揚げで御座るとかいうバグフィックスにも似た何かを感じる羽目になりました。

なおガバは実力不足と割り切ってある程度はあきらめた模様(開き直り


やはり、何事であれ経験値稼ぎというのは必要みたいです。

「オイオイオイ、マジっすかこの物量……あ、雇用契約に関してはよろしくお願いいたしますという立場は変わらないっす」

「お、気づいちゃった?じゃあパパパッと契約進めていこうか。物量的には死ねるけどね」


HAHAHAと軽いノリで言われるが、これは契約専門の法律家でも連れてこないと対応できねぇ奴だ。

目の前のマッチョマンは「ちゃんとガイドするからヘーキヘーキ」などとのたまうが……ああそれで朝からなのか、1日がかりでやらせるつもりだなこいつ。


まずは雇用期間、半年間の研修生活があるので、今回ここで結ぶ雇用契約はそれということになり、次に給与形態。

研修期間の半年間については円もしくはドルで支払いが行われ、研修1種類につき何円という形式のようだ。

本採用後の給与も、大雑把に言うと請けたお仕事に対しておいくら万円といった感じで、請負かなにかのアトモスフィアを感じる制度となっている。

給与等級は最低ランクのH-1からスタート、研修後にH-2に昇進しその後H-3からG-1って感じになるらしい。

H-1は俺のようなズブの素人研修生枠で、3Mみたいな元軍人なんかはH-3からスタートする。


この辺は、ゲームに脳をファックされたファンタジーマン(ゲーム脳)どもならば、理解しやすいシステムと言えるだろう。


勤務地は火星軌道ステーション(!)で一人一室、シャワールームとトイレがある専用部屋付き、それとは別に地球拠点用としての会社指定マンション1室、どちらも無料。

俺の場合、勤務地への移動は種子島宇宙センターから月面基地を経由して火星ステーションになり、打ち上げ費用含む交通費も会社持ち。


あまりの好待遇にケツからボブやらジョニーが飛び出てきそうになるが、必死に耐える。


補足として、研修はH-3が1-2名のH-1が3-4名で最低4人から6人まで揃ったらスタートされるらしく、火星ステーションの場合はあと一人という状況で来たのが俺だったらしい。

等級3段区切りだがちょいと軍っぽくも感じる、初期メンバーを考えると軍人が多かっただろうから、そっちのほうがわかりやすかったというオチかもしれない。

スタートがHってことは上にものすごい数の段階があることが予見されるが、ぶっちゃけA~Cあたりは経営や上級管理職クラスなので気にせんでいいとのこと。

ごもっともでございます。

 

なお当たり前の話だが等級トップにSなんてアルファベットが紛れ込むはずもなく……Aの上がSだなんてマイナーな風潮を考えた古代人は誰なんだよマジで頭おかしいんじゃねえか。


「てぇことは今回の研修、俺のほかにも日本人が?」

「いないよ!おかしいよね、もっと来てもいいのにジャパニーズ!」


聞いといてなんだが来るわけねぇだろと思わずツッコミを入れてしまった。


有給捨て去って速攻で宇宙なのかと思ったらそうでもないらしい。

現実問題として人類(底辺)一匹送るためだけにロケットを飛ばすわけにはいかないしあちら(JAXA)さんにもスケジュールってのがあるワケで。

俺がため込んだ有給日数でも消化可能っぽいので速攻で退職手続きしてくれると嬉しいとのこと。


ちなみに日本って国は昔から宇宙事業に足を突っ込みまくっている国家である。

確かに、もっと宇宙が感覚部分だけでも身近であるべきなんだろうけど、存外遠い世界扱いだ。


もっとも、現代における"宇宙開発"に本格的に日本政府が名乗りを上げたのは結構遅く、2189年という時期になる。

その翌年には航空宇宙軍を発足させ、アメリカと協力して――未だに同盟関係は維持されている、宇宙マフィアを気取るのかと思ったら……というか一般的には今もそうやっていると思われているわけだが。


JAXAは地道に功績を積み重ねているわけだが、日本国政府としての実績を聞くことはほとんどない。

数時間後の俺の情報となるが、NDA条項に同意することで知ることができたものの一つとして、日本国による宇宙開発の貢献を発見できた。


やった、というかやらかしたことは、"天文学級"にまで膨れ上がったアメリカ国債を原資として株式会社ディスカバリーを設立するというわけのわからない行動。

これが非公開株式、という理由のうちの一つであるらしいが、経営に口は出してこないという契約らしく、マジでアメリカ国債ぶん投げただけだったりするようだ。

そのおかげで給与支払いに円という選択肢があるようだが、正直意味がない部分で主張しなくてもいいと思うんだよね……ドルでいいじゃん。


ちなみに現代でも未だに、コツコツとアメリカ国債を買い増しているのが我が国、日本だ。


その他色々俺の質問もあったが雇用契約部分だけでだいたい昼までかかったので、一旦メシ休憩ということになる。

なぜかアフリカ系アメリカ人の全部がクソでかい超絶マッチョマンと並んで牛丼食う、とかいうシュールなことを相模原でやることになるとは思わなかったって言うかなんでついてきたこのおっさん。

などと正直に言うと、「そんな寂しいこと言わないでよー!」と甲高い声で抗議された。


ARモニタが示す秘密保持契約(N.D.A.)の物量はシャレにならない感じで、メシ休憩なんぞさっさと切り上げて次行かないと帰るの夜中になっちまうという思いがある。

めんどくさいことこそ勢いつけて最初から全力で、がモットーな俺からすれば休憩自体がいらねぇってレベルだ。

そう彼に伝えると「ジャパニーズってホント真面目だよねー」と笑っている。


NDAに関して端的に言うと、ディスカバリーの事及び宇宙での出来事全てにかかっていた。


地球内でのネットワーク上での活動は監視されるし、なんなら今現在どこにいるかまでモニタリングされることになっている。

メディアからのインタビューなどは会社を通したもの以外はすべて不許可、メディアにうっかり出会ったりした場合はそれが何の目的であれ知らぬ存ぜぬが義務化。

そしてこれは、雇用契約が終了した場合でも、つまり生涯継続される。というか現時点ですでに監視下にあるねこりゃ。

まあAgreeしたのは俺だけどさ。


「どーりでディスカバリーが何やってんのかロクに情報ないわけっすね」

「ぶっちゃけ不本意だけど、ウチが宇宙でやっていくにあたって最低限これだけは必要だったのよ」


それは何故かって、確かに一応聞いてみたけど答えは「き・み・つ」とハートマークつきそうな勢いで答えられた、実際ゴーグルに移る3Mの周辺にハートマークが表示されたキモイ。

この誰がどう見たっておかしい条件――ディスカバリーは資本主義の会社なのだ!――だけども、その答えは「不本意」に凝縮されていると思うしかない。


研修雇用契約の次にNDAが来た理由だが、この雇用契約部分は公開していい情報だからってことらしい。

まあディスカバリーが宇宙で活動しているのは散々っぱら宣伝してるし福利厚生の部分はアピールポイントだろうからなあ。


と、顔を上げて外を見るともう夕方かよ。


「さて、無事やることやったから一つだけ秘密を教えよう。ワタシは"人間"だが、この体は人間じゃない。なんとも表現が難しいけれど、このボディはアンドロイドっていうのが一番しっくりくる奴だ」

「何言ってんだお前」


俺としては至極まっとうな反応なはずだが、3Mが言うにはこれはマジらしい。

一般的なイメージでいうアンドロイドと違うのは知性も魂も入っていない空の人形であること、その人形にI.E.S.フルダイブすることで遠隔操作しているとのこと。

ちなみにご想像の通り、このレベルのアンドロイド製造技術は地球にはない。


「えーと、ツッコミどころしかないけどミスター「3Mね!」アッハイ、3Mの本体は火星ステーションにいるってこと?」

「流石に電波通信はそこまで万能じゃないからね、日本の真上の静止軌道上から操作してるよ!」


してるよ!じゃねぇよ。


なぜこんな面倒なことをしているのか、という問いの答えは納得できるものだった。

地球から宇宙へ、宇宙から地球へ……このクソ単純な移動って奴には莫大なコストとリスクがある。

毎度本体が行ったり来たりしていたらあっという間に地球内の資源を食いつぶしてしまうことになる。

実際問題、現在宇宙で飛んでいる艦艇の9割以上は月面基地や各ステーション内部で直接製造されているものだ。


そして、宇宙を飛ぶためだけに作られた艦艇には大気圏突入能力も重力から離脱する能力もないことがほとんどなのである。


ともかくどっとお疲れ申した。

このさき退職の手続きやら引っ越しの手続きやらが大量に待ち構えることになっている。

嘘かホントかいまだに判断つきかねるアンドロイド宣言は全てわきに置いておくとしよう。

どうせディスカバリー就職しました以外に言えることは何もないんだから、細かいことは特に気にせずさっさと家に帰ってクソして寝ることにした。

統合型拡張システム、あるいは第四世代VR:1


基礎理論の登場は2091年、技術的な意味では中国にとっては2115年からスタートし、それ以外の国軍にとっては2126年からスタートしたシステム。

これは現在でも現役であり、軍用・民間ともに第四世代であるが両者には明確な差がつけられている。

しかし基礎コンセプトは軍用・民用ともに共通で、現実と仮想、ネットワーク空間の同時拡張であり、そこから統合拡張システムと呼ばれている。


民間においては無線接続可能なゴーグル型サングラスサイズのARヘッドセット部分の機能が主体となっている。


AR部の機能は無線形式で一般的なインターネットに接続されており、支払いや通話・メール、WEBブラウジング機能などが搭載されている。

もちろん、後述するAIのサポートはVR機能なしでも受けることができる。


AR部の機能はアプリケーションで自由にカスタマイズでき、知識さえあればいくらでも利便性を高められるようになっている。

ゴーグルのみでもエンターテイメントは提供でき、AR機能を利用したサバイバルゲームなどは人気コンテンツである。

また各企業ごとに必要なアプリケーションを導入したりしていて、たとえば運送業なら最適な配送ルートをリアルタイムで表示するなどの機能を従業員に提供している。

ユーザーインターフェースは脳波、音声、AR拡張ホログラムキーボード入力などと多彩であり、特定の機器を操作するためにこのインターフェースを使わなければならない、という思想自体が過去の遺物と化した。

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