1-3《スーパー1年生》
タッタッタッタッタッ、、。
青いゴムでできたタータントラックを8人が各々走り出す。
特待生が5人しかいない・受験数が多いこの学校はかなりお金があり色々な所にお金を分配することができる。
レーンの中にある芝生は短距離が使っておりサッカー部は隣にあるグラウンドを拠点としている。
そして今走っているこの8人が今回青葉伝統_今年からだが_1年生実力テストを走る者だ。
1人2年生が混じっているがそれはまた主将に考えがあってのことだろう。
「どーゆーことだよ。」
「ん?あー、伝統のやつ?」
「ちげーよ。承馬だよ。あいつの相手になる奴なんかいんのか?」
「いるさ。この中には今のところ2人はいるのさ。」
「それって…。」
「うん、俺と晃樹と同じ能力持ちが。」
「まじかよ。そりゃ楽しみだ。」
武者震いというやつなのだろうか、今自分は震えていると晃樹は自覚する。
だからかその言葉には少しワクワク感があった。
「誰かは聞かねーぞ。見ながら楽しむ。」
「そーしてくれ。まぁ実際どんな能力かは知らないけど。」
《青葉学園トラック\15:45》
「5分後始めるぞー!」
龍介の声がトラック中に響き渡る。
1年生_承馬も含め_全員がアップを終え青葉学園の練習用ユニホームを着始める。
並ぶ順番は龍介が勝手に決める。
内から友和、光、公平、正樹、秋、慎之介、駆そして承馬と自己紹介の順になっている。
部室とは真反対のところにある200m地点に8人が横1列に並び芝を少し抜けた辺りで他3人がいる。
スターターは藤長だ。
「それではいきまーす。よーい、ごっ」
当たり前だがみんなが走り出す。
先頭は承馬その後ろに友和、公平と続いている。
距離は3000m、高校は5000mが基本だが今回は実力を知るためのものなので走ったことのない距離を走っても仕方がないという事でこの距離だ。
「承馬との間が開き始めたな。」
「あぁ、友和の持ちタイムも速いがあいつの持ちタイムは8分25秒だからな。」
「はえーな。」
「去年のお前に勝つかもね。」
「あ、1000m通過しました。2分45.6.7、47秒です。」
ここまでの順番は承馬少し離れて友和、駆だ。
そして1200m通過からその差は縮まっていく。
「あーあ、追いつかれてるぞ。」
「そーだな。」
かなり集中している龍介は晃樹の話には興味がなさそうだ。
それでも晃樹は話しかける。
「駆って言ったっけ?あいつあんま目立たないな。お前のお気に入りだろ。」
「そんな言い方だと贔屓しているみたいじゃないか。それと違うよ、俺の本命は。」
「ふーん。」
2000mで2人が追いつき3人で走っていく。
友和も駆も出て行く様子はない。おそらくはラストスパートで勝負するつもりなのだろう。
「承馬の勝ちだ。いいところまで行ったんだけどな。」
「そうだね。あいつの能力はこの状況に強いからな。。。お、ラスト合戦が始まるぞ。」
承馬の能力_スタートとスパート 150mの勝負強さ。
体力関係なしに自分のフルスピードが出せるこの能力はラスト150mまでついていけば高校日本一とも言える能力だ。この能力を知らなければほとんどのものが今回のように負けるだろう。
「能力がない奴にはね。」
龍介の小さな声で呟く。
(勝ったな。所詮は1年、俺が負けるはずがない。)
友和の姿はもうなく、承馬についているのは駆だけだ。
(能力発動!!!!)
とその瞬間。
「あ?れ?」
承馬の体が急に重くなった。
能力の発動は上手くいかず体も重くなりスピードが段々落ちていく。
20.1.2.3......
駆が通過してたすぐ後に承馬がゴールする。