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失楽園(1)

胸の奥で ただ一度だけ

かすかな 悲鳴に似た音をたてて 扉がきしみ

楽園の門は 私の背後で 永遠に閉ざされた


それは 何千何万年もの昔 生まれる前の記憶なのか

それとも つい三日前のできごとだったのか

それすらも 今は思い出せない 遠い痛み

誰も知らない ひそやかな

私の 失楽園

(ああ いかなる罪がこのような罰に値しようか)


たぶん ひとはみな 一人づつ 

こうして 楽園を失い続けてきたのだ

すべてのにんげんたちが 歴史の限り 繰り返す 

決して分かち合えない ひとつの 喪失



それから長いこと 地上を旅して


今 腕の中 おまえが眠る

過ぎた夏の 草の匂いがする

小さな やわらかな いのちが眠る

夢の底深く息づく 遠い日の歓喜の歌を

静かに たゆみなく 奏でながら


猫よ

冬枯れの街角で ある日 出会った

おまえは 楽園のかけら

木枯しの路地の暗がりを

ふいに横切る 遠い夏のひかり


私は 知っている

おまえの目の中に

失われた楽園の 黄金の輝きが

今も ひっそりと 宿っていることを――

二部構成の詩の一つめです。

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