補足:金貨の重量について ~oz(オンス)表記の罠~
いくつかの御作品を読ませていただいていた中で、少々気になりまして。
簡単ながら。
インターネットの検索エンジンなどで「金貨」に関して検索した場合、その重量に対してoz(オンス)表記でずらっと一覧表が出てくるものが一番目につきやすいかと存じます。
これ、罠ですから。
ファンタジー作品書くための資料としてお調べになったのなら、ですけども。
現代の金貨っていうのは、いわば「記念硬貨」なんですよ。
実用すること(一般流通すること)は想定にない設計のもとに製造されています。
1oz金貨って、約31.1g(グラム)もあるわけです。
1/2(ハーフ)oz金貨だとして、約15.5gもあります。
比較して、現代日本の五百円玉、これが7gとされています。
五百円玉、イメージしてみてください。あの大きさと重さですら、表記上はたったの7gなんです。
つまり1ozの金貨は、五百円玉と比べて約4.4倍も重ったいわけです。
そんな金貨を5枚も持ち歩いたら、五百円玉を22枚以上持ち歩いている程度にはお財布が重くなります。
五百円玉が22枚以上に相当て。そんなんジャラジャラにお財布に入れてたら、穴があくとまではいかなくとも、革製だとしたらびろーんと伸びちゃいそうなくらいに邪魔っ気が満点じゃないですかね?
実用上の金貨を想定する場合、持ち運びの重量と嵩張り、そして細かな金額にも応じた決済が行える小割りする上の扱いやすさといった面も重要になってきます。
地球の歴史上の実用された金貨を例にとった場合、金含有量は1g前後のものが多く、そこから範囲として4g程度までのものが多く見受けられます。(実物としては銀や銅が混ぜ足されるので貨幣重は10%~50%ほど割り増しになります。)
もちろん、もっと大型の金貨も発行されていた時代はあるのですけども、額面が大きい金貨は目的が異なるものが大半もしくは製造されても少量であったりしました。このあたりは調べれば妥当な理由がすぐ判るお話ですのでここでは割愛させていただきます。
ということで改めて結論なのですけども、検索してすぐ目に入る「金貨のoz(オンス)」はそのまま信じちゃイケないぜ!
あれは近現代の金相場と実用性度外視の記念硬貨としての区分(扱い)なのだぜ。
ファンタジー系小説作品に適用するための知識としては、古代ローマあたり~大航海時代(前期)にかけての貨幣に関して調べてみると吉なのだぜ。
あとは自分が実際に手にとってみれる硬貨がせっかく実在しているのだから、比較してみるといいのだぜ? 五百円玉が7gだよ!
ちなみに一円玉なら1g、十円玉が4.5g、百円玉が4.8gらしいぜ?
以上、以上。
すんごい殴り書きで申し訳ないんですけども、どなたかのご参考になるところありましたら幸いにござるござる。にんにん。
(あとがき)
ちなみに、3Dグラフィックスなゲーム類などだと、おそらく意図的に視覚的インパクトを優先して、大きく重く描画されています。一例としてスカイリムのセプティム金貨とか。
こうしたあたりも「思い込みやすいイメージ」を我々に送りつけている「なにげない罠」であったりしますので、改めて自作品にて取り扱われる際の情報源としては、意識して分別をつけるよう心がけておいたほうがいいかなぁ、と存じます。
ただし、さらに逆の手として、一種のメタ的ジョークとして用いるといった手法ならばありえます。コメディ系作品ならば思いきりブッ込んでみるのもいいかもしれませぬぞ?(笑)