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目が覚めた時、僕の傍に居て  作者: 松井 美和
1/3

Prolog

時々、夢を見ることがある。


真っ白で何もない世界、上下どころか、前後左右の感覚機能さえも狂わせるほど何もない空間。


最も古い記憶は、確か夏やった。


半袖を着ていたから、それは覚えている。


その空間の中に、ただ一人大人の男が立っていた。


ーーそれが、志樹(しき)やった。


志樹は、なんでも話を聞いてくれた。


“兄”という人が、ほとんど家に居ないから、いつもは家政婦さんが来てくれていること。


時々近所のお姉ちゃんも、遊んでくれること。


一緒に行った遊園地や水族館、キャンプ場、プール。


兄たちは、俺に惜しみ無く愛情を注いでくれた。


交通事故で亡くなった、両親の代わりに……。


兄たちの話を聞いている時の志樹は、殊更興味深そうやった。


逆に、悲しい顔も見たことある。


身体が弱くて、体育や身体を使う授業には参加できず、いじめに遭っていたことを話した時。


「俺なんか、生まれて来やんかったら良かったんやっ」


こんな自分の身体がイヤで、愚痴った時には大きな手が肩を抱いてくれた。


「そんなん言うたら、お母さん悲しむで?」


泣きそうな顔をして言ったのを今もよく覚えている。

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