ごめんなさい。
朝起きた、見知らぬ天井がある。
「あっ、学校か。」
現在俺達は一部屋に二つある二段ベッドに寝ている。
今何時だ、時計を見ると、5時になっていた。
「えーと…試験っていつあるんだっけ?」
鞄の中から昨日渡された紙を取り出す。
「8時~14時か。」
「ウィル、おはよう。」
「あ、ブラット、おはようございます。」
ブラットが起きてきた、寝起きだからなのか、眼鏡を取っている、眼鏡が無いほうがイケメンだ。
「二人とも、おはよう。」
「ファ~おはよう。」
ガロンとジョーカーも起きてきた。
ジョーカーはまだ眠そうだ。
皆で歯磨きに行く。
「このブラシは俺には合いません…。」
「そう?」
「うむ、私もだ、この固いブラシをどうにかしてくれ。」
「て言うかさ、なんでウィルは同い年の俺達にまで敬語使うんだ?貴族って訳じゃなさそうだし。」
「(生前の)母に口を酸っぱくして言われてたんです。」
生前、俺の母親はマナーや礼儀に厳しかった。
「それで、癖になったのか?」
「はい。」
「ちょっと敬語使わずに話してみてよ。」「それいいな!ちょっとやってみろ!」
えー…、出来るかなぁ?
「わかっ、た。」
「なんかつっかえちゃうね。」
「そう、で、かな?」
「もう意味わかんねぇな。」
「お主は敬語のほうがいいな。」
「解りました。」
「おう、それそれ、それがいい!」
「俺もこれがいいです。」
『一年生の起床の時間です、起きて歯を磨いて、各自部屋で待っていてください。』
「今起床の時間かよ。」
「ちょっと早起きしちゃったね。」
「ちょっとじゃないような…。」
「まぁとにかく戻ろう。」
途中で何人かとすれ違った、歯磨きをするようだ。
部屋に戻ってきた、する事がなくて暇だ。
「あ~暇だ~。」
「じゃあしりとりでもしますか?」
「しりとりとはなんだ?」
「僕聞いたこと無いよ。」
「しりとりと言うのは…
俺はしりとりのルールを教えた。
「面白そうじゃねぇか!」
「よし、誰から行く?」
「じゃあ俺からで、しりとりのりから、リンゴ。」
「じゃあ次は僕、ゴマ。」「次は私だな、マ、マカ。」
「よし、俺か!カ、カ、カレイ!」
「イカ。」
「カカオ。」
「オレンジ。」
なんだろう、さっきから食べ物ばっかな気がする。
『一年の飯の時間だぁ!さっさと飯食って試験に励め!』
「お、飯か。」
「行こうぜ!」
食堂にいってもまだしりとりは続く。
「カシューナッツ。」
「ツマ。」
「マグロ。」
「ロ、ロ、ロ、ロイヤルミルクティー。」
相変わらず食べ物ばかりだ、ちなみに俺はサンドイッチ、ブラットはパンケーキ、ジョーカーは色々な菓子パン、ガロンはホットドッグだ、また量が多い。
「ガラムマサラ。」
「ライス。」
「スルメ。」
「目玉焼き。」
しりとりは白熱していた。
「黄身。」
「味噌。」
「そうめん。」
「あっ。」
「ガロンの負けだぁ!」
「しまった…。」
「これ面白いね。」
「はい、そうですね。」
そんな風に話していると。
「あ、あのぉ~。」
髪が紫色の少女が俺に話しかけてきた。
「なんでしょうか?」
「え、ええと、ここでは話しにくいので、食堂の外で…。」
「あぁ、はい、いいですよ、ちょっと待ってて下さい。」
「おう。」
食堂の外に来た、なにかモジモジしている。
「なんでしょうか?」
「はい!?///」
見れば、少女は耳まで真っ赤だ。
「いや、貴女が話があるって言ったんですが。」
「あぁ、はいそうですよね、えっと…///」
「あの、いつも敬語で話してる所とか、その白髪とか、謙虚なとことか、大好きです!!付き合って下さい!!///」
愛の告白だった。
どうしようか、顔は可愛い、胸は小さい、髪は長くて俺好みの髪だ。
だが、俺は恋愛をするためにこの学校に来たのでは無い、よって無理だ。
「…えっと、俺は恋愛をするためにこの学校に来たわけじゃないので、無理です、ごめんなさい。」
「……。」
少女はかなりショックと言う顔で俺を見ていた。
「そ、そうですよね、私なんかじゃ全然釣り合わないですよね。」
「いや、そう言う訳じゃ…」
「いきなり告白して、ごめんなさいでしたぁぁぁぁあああぁぁウワァァァァン!!!」
意味の解らない事を言って、少女は去って行く、ウザい事この上ない。
食堂に戻ると、少女が倒したであろうイスとテーブルがあった、俺のせいみたいなものなので、ちゃんと立てておく。
「お前、何したんだ?さっきの奴が泣き叫びながらテーブル倒していったんだけど。」
「告白されたから振りました。」
「振ったのか?」
「俺は恋愛をするためにこの学校に来たわけじゃないので。」
「まぁ、そうだよね。」
なにか女子がニヤニヤしながらこちらを見ているが、無視だ無視。
「試験って何するんですかね?」
「さぁな、『ピッーーー!』とかじゃねぇの。」
「…ジョーカー、下ネタは止めてくださいよ……。」
「悪い悪い。」
「ねぇ、『ピッーーー!』って何?」
「うむ、私も知らん。」
「…知らなくて良いです。」
『一年生の食事終了の時間です、食事が終わった後は、各自部屋で待っていてください。』
「よし、戻ろうぜ。」
次の放送があるまで、しりとりをする。
「モッツァレラ。」
「ラーメン。」
「ブラットの負けだ!」
「あ、負けちゃった~。」
終わった。
「あ、そうだウィル、これ知ってるか?」「知りません。」
「まだ何も言ってないよ…。」
「どうせ知らない事なので。」
「この学校には1年~7年生要るのは知ってるだろ?」
「はい。」
「何か1~7年全員試験を受けて、ランキングを作るらしいぜ。」
「ランキング?」
「あぁ、でも階級毎に1位が変わるらしいぜ、例えばA級1位とかC級1位とか。」
「そうなんですか。」
「僕も知らなかったよ。」
少し尿意がしてきたな…。
「ちょっとトイレに行ってきます。」
「いってらっしゃい。」
トイレに続く廊下を歩いていると、エルフの女子がいた、ここは男子寮なのにだ。
女子寮と男子寮は隣なので、来れない事はないが、立ち入り禁止のはずだ。
どうやらあの女子は俺に気付いていないようだ、ので。
「ここは男子寮ですよ。」
「え?ひゃぁあ!?///」
肩に手をおいて男子寮だと教えてあげると、女子は変な声をあげた。
「あ、すみませ、え?なんでわかって…、うわぁぁ///」
訳が解らない、よく見ると、この女子は先輩だった、2年の証の黄色い羽をつけている、背が小さいから解らなかった。
「どうしたんですか?先輩。」
「え、えぇっと…///」
「どうしたんだ?ウィル。」
「ホワァァァ!?///」
「なんだお前。」
「ジョーカー、先輩ですよ。」
「あ、本当だ。」
「なんで来たんですか?」
「お前が遅ぇからだよ。」
「おーい、ウィル、ん?そっちの男の子はだれ?」
「ウワァァァァァ!?///」
「なんだお主は。」
「ちょっと待って下さい、男の子?女性じゃないんですか?」
「え?あ、よく見たら胸がある!」
「気付かなかった。」
「何で女がここにいるんだよ!」
「う…えっと、それは……///」
「間違えたんじゃないですか?」
「そ、そう!間違えたの!///」
「じゃあとっとと戻れよ。」
「う…はい。」
「ジョーカー、失礼ですよ。」
「ごめんなさい…帰ります……。」
「次は間違えないで下さいね、先輩。」
「はい…。」
そう言って、先輩はとぼとぼと去って行った。
「あれ本当に間違えたのかな?」
「様子がおかしかったな。」
「顔も赤かったですし。」
「解らん…だが考えてもしょうがないだろう。」
『一年の試験の時間だぁ!試験会場に集まれぇ!せいぜい気張れよ!!』
「まるでヤクザみてぇな奴だなあいつは。」
「速く会場に行きましょう。」
体育館よりは小さいが、とてもデカイ建物に来た。
「それでは、試験を始めます、呼ばれた方は前に出てください。」
「ナマエ・ナンテ・ナイヨ君。」
「はい!」
ここにいるのは、一年生と、生徒会長と副会長、教師が二人だ、どうやら教師に向かって攻撃をし、それを教師が防いで階級を決めるようだ、相変わらず副会長が俺を見ている気がする。
「ジョーカー・エース君。」
「は~い。」
「始め!」
「炎の連弾!!!」
「水の壁」
ジョーカーの炎の連弾を水の壁で軽々と防ぐ教師。
「ふむ、ジョーカー・エース、S級。」
「よっしゃ!」
ジョーカーはS級のようだ。
「ガロンパプア・グラドフアスラ・アースグレイドル君。」
「はい!」
ガロン名前長ぇ。
「ガロンパプア・グラドフアスラ・アースグレイドル、S級。」
ガロンもS級か。
「ブラット・アクア君。」
「はい!」
「炎と水と風の玉(ファイヤ&ウォーター&ウィンドボール)!!!」
「炎と土の壁(ファイヤ&アースウォール)!」
「うむ、ブラット・アクア、S級、君は良い魔術師になれる。」
「はい、ありがとうごさいます。」
ブラットすげぇ、教師に褒められたよ。
「ウィル・ホワイティ・リオン君。」
「はい!」
俺の番だ、俺だけS級になれなかったらどうしよう。
「本気で来なさい。」
「え?良いんですか?」
「あぁ。」
「ウィル、頑張ってーー!」
杖を構え、弾を作る、速さなんて関係無いからでかくでかく。
「え…?」
その場にいる全員が驚愕と言う顔をしている。
弾は縱10m、横15m位になった。
それに属性をつける、もちろん全属性だ。そして、全力で、撃つ!
「炎と水と氷と雷と風と土の弾丸!!!」
撃った瞬間に物凄い衝撃がした。
「炎と水と氷と雷と風と土の壁!!!」
壁と弾丸がぶつかり合い蒸発した。
見ると、教師は汗を大量に流していた。
「ウィル…ホワイティ・リオン……S級…。」
「ワァァァアアアアァァァァ!!!」
その瞬間、歓声が沸き起こった。
「え?え?」
「こりゃあ……すげぇな。」
生徒会長に褒められた。
「ウィル、凄いよ!」
「え?」
「あんな魔法見たことねぇ。」
「うむ、友として誇らしいぞ。」
「はぁ、ありがとうごさいます。」
こうして、俺の試験は終わった。
部屋に戻るまでに物凄く人が話しかけてきた。
「あの魔法どうやったの?」「友達になろうよ。」「付き合ってください!」「ねぇ、魔法教えてよ。」
そんな声が俺を囲む。
「えっと…ハハ……クッ!!!」
逃げた、同じ部屋のやつらをつれて、全力で。
部屋についた時、皆息が上がっていた。
「ハァハァ、何だありゃ!?」
「ハァ、解りません、ハァハァ。」
「ゼェーハー、もう、巻いたよね?」
「もう、疲れたぞ、ハァハァ。」
皆アホみたいにハァハァ言っている。
「ちょっと、休もう。」
皆ベッドに倒れ込む。
『一年生の食事の時間です、一年生は食堂に集まって下さい。』
その放送で、みんな目を覚ます。
「ファ~良く寝た。」
「お腹空いた~。」
「俺もです。」
「私もだ。」
皆で食堂へ向かう。
「美味しい!」
「お腹が空いていると余計美味しいですね。」
今日は皆でガッツリステーキだ。
他の生徒がチラチラと俺達を見ている。
「あの!リオンさん!///」
角が生えている、恐らく魔族の少女が俺に話しかけてきた。
「好きです!付き合って下さい!///」「お断りします、ごめんなさい。」
「そ、そうですか…。」
少女はしょんぼりして元の席に戻り、テーブルに突っ伏した。
こう言うのを見ると、何か悪いことをしているような気分になる。
「またか…なんか俺達引くぐらい告白されてるな。」
そうだ、ここに来るまでに、俺が6回、ブラットが5回、ジョーカーが3回、ガロンが3回告白されている。
「悪いが正直言って迷惑だ。」
『ウィル・ホワイティ・リオンさん、ジョーカー・エースさん、ブラット・アクアさん、ガロンさん、生徒会室まで来てください。』
呼ばれた、ガロンは長すぎて省略されたようだ。
生徒会室につくと。
「おう!おせぇぞ!」
生徒会長が元気な声で喋ってきた。
「用は何ですか?」
「早く言えよ、飯中だったんだぞ。」
「あぁ?先輩に対してその態度は何だ?」「あぁ?やんのかコラァ!」
「上等じゃゴラァ!!」
見てて面白いので止めない。
「オラァ!!」
ジョーカーが生徒会長を殴ろうと振りかぶる。
だが。
「う、ぎゃ!?」
ジョーカーが一回転して倒れた、デコピンで、そうデコピンで!
「先輩には敬意を払えっつってんだろが!!!」
「く…そ…。」
「ジョーカー、ここは従っときましょう。」
「チッ。」
「で、結局用は何ですか?僕たち食事中だったんですけど。」
「おぉーそうだったな、お前ら、生徒会に入らねぇか?」
「生徒会ですか?」
「おぉ、今人手が足りなくてな、S級のお前らなら実力もあるし、良いと思ってな。」
「生徒会に入ったらこき使うんじゃないですか?」
「おう!そのつもりだ!」
「じゃあ入りません。」
「誰が入るか。」
「僕もこき使われるのは嫌だなぁ。」
「私もだ。」
「そうか、まぁ別に期待してなかったしな、もう帰っていいぞ、ジョーカーとか言ったな、お前は残れ。」
「え?は?」
「「「失礼しました~。」」」
俺達が扉を閉めた直後、ジョーカーの叫び声が聞こえた。
さぁ、それは気にせず飯だ飯。
食堂に戻ると、女子が俺達の席に群がってキャーキャー言っていた、ウザい。
「あの、俺達が食べられないので退いて貰えませんか。」
「キャーーー!?///」
ウザい、やっぱり可愛いのはローズだけだ。
「来た~///」「バレてないよね?///」「あれ、ジョーカー君居なくない?」
「えと…本当に退いてくれないかな。」
「私達は腹がへっておるのだ。」
「はい!すみません!///」
俺達は席に座る、女子たちがチラチラこちらを見ている。
「何だと言うのだ。」
「解らない。」
「あれ?」
「どうしたの?」
「確かフォークにソースが付いてたような…。」
俺の記憶ではフォークにたっぷりデミグラスソースがかかっていた、今はきれいだ、ソースは一滴もかかってない、女子を見ると、顔をそらした。
「気のせいじゃない?」
「…そうですね。」
「早く食べようではないか。」
「いただきます。」
フォークで肉を刺し、三人同時に口に入れる、入れた瞬間、女子共が沸いた、見ると、3人だけ机に突っ伏していた。
「うるさいなぁ。」
「ゆっくり食べたいものだ。」
「本当ですね。」
聞き耳を立ててみると。
「ウィル君と間接キッスした気分はどぉお?」
「い、言わないでよ!///」
と言う会話が聞こえてきた、頭沸いてんのか。
「た、ただいま。」
ジョーカーが帰ってきた。
あれ?傷や殴った痕がない。
「あれ?何もされなかったんですか?」
「いや、副会長が治療魔法をかけてくれた。」
「あぁ、成る程。」
「ねぇ、どんな事されたの?」
「…思い出させないでくれ。」
どんな事をされたのだろう?
『一年生の入浴の時間だぁ!あとジョーカー・エース!!スッキリしたぜありがとなぁ!!』
女子共がまた沸いた。
やれ会長はジョーカー君と何をしただ、やれ会長め、許せんだ、頭沸いてんのか、あ、沸いてんのか。
ジョーカーがビクビクしている、本当に会長は何をやったのだろうか。
風呂に行くまでにも告白された、言っちゃ悪いがウザい。
風呂に入る、やはり風呂は気持ちいい。
「ウィル、お風呂入る時もそのペンダントしてるね。」
「はい、妹がくれた一番大事な物です。」「本当に?僕も妹が1人いるんだよ。」
「俺は弟ならいるけどなぁ…。」
「ガロンは?」
「私に兄弟はいない、妹が欲しいがな。」「学校の女子達よりうちのローズのほうが何億倍も可愛いです。」
「まぁ確かに学校の女子達は五月蝿いね。」
「何故だろう、あんな猿(女子)共よりお前らの妹のほうが可愛いと断言できる。」
ジョーカーが良いことを言った。
そのあと、風呂から上がり、すぐに寝てしまった。
4人の順位は
ウィル S級4位
ブラット S級7位
ジョーカー S級15位
ガロン S級16位
です。