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Re/O  作者: たま。
第1章・異世界ヴァーニス
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第1話・1stプロローグ

創世暦1208年4月

「ねぇ、国王様」

「ん~、何?」


 淡い色で統一された部屋、調度品は年代物で貴重な物が揃っている。

部屋の一番目立つ所には、肖像画があり玉座にチョコンと座ったボクを中心に現在五大老なんて大層な名で呼ばれている五人の若者と最初で最後の近衛騎士団団長と副団長が描かれいる。

「ほんとアノ頃が一番充実していたな」なんて思いながらメイドの膝枕で寛ぐ。

肖像画は今から八百年前ぐらいに描かれた物で、今と寸分の違いもないボク以外は、年老いているかすでに他界している。

ボクだけが変わらない訳は所謂、長命種族と呼ばれているエルフ族の中でも寿命がないと噂される古代エルフ族の血が混ざっているからだ。

自分の種族の事なのに噂されるという表現をしたのかと言うと、自分は勿論、純血古代エルフである母もまだ寿命を迎えていない為だ。

ボクは、純粋な古代エルフ族という訳ではなくヒューマの血も半分入っており俗にいうハーフエルフだ。

その割りには、生まれて一千年以上経っているにも関わらず全盛期と変わりなく衰えが一切感じない。


 ボクの両脇に二人、向かい側にも二人、奥のテーブルに四人のメイドが部屋にいる。

この部屋は、通称、団欒室と呼ばれ簡単に言えば寝室以外でボクの為に用意されたプライベートルーム。

利用するのは、大体ボクと専属メイド達で後は個人的な知人が稀に訪れる程度。

メイドだけで警護する騎士もおらず無防備だと思うかもしれないが、実はここにいるメイド達こそがボクの警護でもある。

彼女らは、メイドでありながら近衛騎士と同じ役割を持っている。

七百年ほど前、ボクを暗殺しに来た暗殺者を出来心で懐柔しボク付きのメイドに仕立て上げたのが最初となる。

また、見所のある若い傭兵を勧誘し加えたり、本当のメイドとして雇った者を鍛えたり、十数年毎に送り込まれてくる暗殺者を懐柔したりと気づいたら三百人規模の集団となっていた。


「国王様って昔は何をされていたのですか?」

「色々していたよ。 傭兵となって世界を旅して戦争にも参加した」

「ハイッ、もっと詳しい話を聞きたいデス」

「詳しい話? え~と、どの辺から?」

「じゃあ、国王様になる前のお話聞かせて下さい」

「あ、私も興味あります」


 私も私もと賛同するメイド達。

ここにいるメイドは、長くても三百年ほど前にここへ来た者でボクの昔を知っているものはいない。

先ほども言った通り最初のメイドでも七百年ほどだ。

そもそも、この国にいる者でボクの昔を知っている者は、今や両手で数えられる程度にしかいない。

国王になる前なんてもう一千年も前の話になるのだから・・・。


「じゃぁ、長くなるけれど”最初”から話してあげよう」


◆◆◆



――幾多の属性魔法・銃弾・矢などが雨霰の如く飛び交う中、立ちはだかる敵兵を薙ぎ倒し一騎当千の如く戦場を駆け抜ける。

苛烈で過激な戦場で一度も死ぬ事なく生き残れるのはほんの一握りでしかない。――



 OasisSpace社が開発運営をしているVRMMORPG-Evolution Online-で、サービス開始から二年目最後の大規模イベントとして大国同士の戦争が企画された。

ユーフォリア大陸を上下に二分するロードグリアード帝国・華朝連邦間戦争だ。

ロードグリアード帝国は、龍騎士を擁し豊富な鉱物資源を持っているが、過酷な環境により人口はあまり多くない。

逆に華朝連邦は、広大な領土の半分以上が砂漠であるが、数多くの民族と数多の流派が混在し世界で一番人口が多い。

その両国の間に聳え立つ山脈の麓に貴重な鉱石オリハルコンの大規模な鉱脈が見付かったのが戦争の発端ととなった。

しかし、両国の国力・戦力差は、ロードグリアードが四で華朝連邦が六と開きがある。

そこにプレイヤーが、傭兵及び同盟国の騎士として参加し戦力のバランスを取る。


 傭兵の報酬は倒した人数に比例し、戦勝国となると倍掛けとなる。

そうなると当然、傭兵はより優位な方へ参加するのが定石である。

MMORPGは、無双ゲームでも主人公が一人という訳でもなく、プレイヤー全員が主人公だ。

一人の強力なプレイヤーが戦局を大きく左右されるなんてそんな御伽噺がある筈はなく、結局は物量つまり兵数が物を言う。

でも、そんな定石をも覆してしまったのが、後にOS社から二つ名『八迅』を与えられる事になる八人の廃神(重度廃人ソロプレイヤー)である。




 魔眼のアスタロッテ――銃使いでありながら、敵集団の真っ只中に飛び込み一度も攻撃を喰らう事なく全滅に追い込むハーフエルフ。


 極炎のクラウディア――炎属性の魔術を極め、最上位魔術の連続掃射で大部隊を壊滅させたハーフリング。


 慈愛のリセリア――舞踊剣と法術で戦場を駆け巡り、多くの味方を癒し鼓舞したエルフ。


 刀神のヤグモ――イスカ刀を極め疾風の如く戦場を駆け抜ける自他共に対個人最強と謳われるアキレウス。


 破塞のアーネスト――繰り出される脚技は、要塞のぶ厚い壁をも穿ち抜く獣人。


 暴虐のヴォルト――剣という領域を超えた広範囲攻撃と回避も防御も出来ない怒涛の神速攻撃を得意とするヒューマ。


 超運のアヤカ――チート級に運があり、Epic級以上のレアアイテムで装備を固めたハイエルフ。


 棄人のイグニス――全身を呪術で強化し人という種を棄てた禁呪使いのダークエルフ。



 彼らは、純粋な戦闘狂だった故に戦力の少ないロードグリアード帝国側へ参戦し華朝連邦を大敗へと追い込んだ。

その一人、暴虐のヴォルト改め雷迅のヴォルト――それがアキラとなる前のボクだ。

今からする話は、アキラ・ローグライトとなったボクが傭兵となりこの国を建国するまでの長い話となる。

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