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居場所 1

 

 ――役立たず。

 そう言われて、彼が一族を追い出されたのは、彼が生を受けて間もない頃だ。

 生まれた時から、体が他の者に比べて二回りは小さく、また妖術も上手く使えなかった彼は、すぐ爪弾きにされた。

 そして――彼は孤立した。

 行く当ても無く、彷徨い歩く日々が続いた。

 体が小さく、身を護る術を持たない彼は、日々生き延びる事に必死だった。

 相手を一撃で焼き払うような術もなければ、あらゆる物を噛み砕く強靭な顎がある訳でもない。

 彼の身を護る唯一のモノ――それは、皮肉にもその小さな体だった。

 小柄な体は、木々の間や、岩影に素早く隠れる事が出来る。

 そして幸いにも、彼の足は遅くなかった。

 小さな体と駿足が、今日まで彼の命を護ってきたのだ。


 その小さな妖狐――久遠は、今日もひとりで森を彷徨い歩いていた。



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