第五話 『漆黒の輪』
気づけば俺は、木で作られた洋式ベットの上で寝ていた。
「あれ・・・ここは・・・あっ!あいつは!?戦わないと・・・・」
何かと予想はついたが、無理やり身体を起こそうとしたが激痛が身体をベットへ押し戻す。
「ダメだよ・・・死にたいの?」
この天使のような透き通った声は・・・ミオか・・・・。
「みちるは、一度仮死状態にまで陥ったんだよ?・・」
「そうなのか!?俺は生きてんのか!?」
「生きてるからこうして喋ってる・・・わからない?」
「おい・・・人生的に俺の方が先輩だぞ?」
「漆黒の輪のおかげ・・・あと事実上私のほうが先輩・・・」
「ほう・・・なら俺と戦うか?先輩を決めようじゃないか!」
「いいの?・・・一度仮死状態にまで陥って、体力もゼロに等しいのに・・・私と戦うの?」
・・・これ以上言い返せないな・・・でも、俺は大人だからな!譲ったんだ!大人だからな!お・と・な!
「あっ、そういえばあいつはどうなったんだ?赤い目のやつ」
「みちるが倒した・・・」
「えっ?俺が?どうやって?」
「それも漆黒の輪のおかげ・・・・・」
▽▼▽▼
「今までの仕返し・・・させてもらうよ!」
俺が『生死双刃』を持てば、何千という敵がかかってきても勝てるだろう・・・多分・・・・・。
「ん?さっきまで持てなかったのに・・・まぁいい!雑魚は何を持っても雑魚だからな!」
「雑魚だから、何かを持つんだよ・・・・・!」
ダンッ!一歩目の加速。この武器を持つと身体能力も上がるようだな・・・・・。
一歩で赤い目の男の目の前に迫る・・・・。
「おぉぉぉぉ!!!」
回転を加え、120%の力で光の剣を振るう・・・ちなみに闇は殺意に満ちた、独裁の剣で、光は愛に満ちた、救済の剣。光の剣で人が死ぬことはない。
「そんな玩具で何が出来る!!!」
そのまま強烈な蹴りが腹部を襲う・・・・・。回転したせいで隙が出来たようだ。あぁ・・・ミスったな・・・・。
「さぁ!彷徨う人形よ!我に従え!!」
くっ!また・・・身体が自由を・・・・・かと思った。だが、それは一瞬で立ち去った・・・。
赤い目の男の足から赤い血が流れる・・・・。
「くっ!またあの女か!!!」
「ミ、ミオ!!」
「みちる・・・この空間には無理やり入っていて・・・下手に攻撃は出来ない。でも・・・出来る限りのカバーはする!」
初めてミオが取り乱したように思えた。それになんか苦しそうだ・・・。やはり外からの侵入は難しいのか・・・・。
でも、これであいつがおれを操ることが出来なくなった・・・。もう、勝ちは見えたな・・・・。
「終わりだぁぁぁぁ!!!赤目!」
「俺には帝加羅という列記とした名前がある・・・それに!まだ終わらない!!」
帝が手を広げるとそこに二体の人形が現れた。ケラケラと笑いながら、走り向かう俺を迎え撃つ。
「くそっ!なんだよ!操れるのは人だけじゃないのかよ!」
双剣を振るいながら、不規則な動きをする人形を目で追う。
あれ?そういえばもう一体いたハズじゃ・・・・まさか!
気づいたときには遅かった・・・・・。俺の背後へ回られていた・・・・・。
「動きが読めない!!」
人形が、俺の顔面を蹴り飛ばす。なかなか、いい蹴りするじゃねーか・・・・。
「でもなぁ・・・人形は人形なんだよ!!!」
蹴り飛ばされた勢いで加速がスムーズに出来た。ありがとよ!
そのまま、攻撃動作を終え、動きが止まった人形に剣を振るう。
「ハァァァァァ!!!!!!」
真っ二つに裂く。そして黒い闇に包まれていく・・・・。一体やったか・・・・。
だが、黒い闇に包まれた人形は消えた。消えたというより「移動した」・・・。
「ま、まさか!!!」
俺はとっさにある方向へ振り向く。それは、ミオが立っている場所!
「ミオ!!!!!」
人形に抑えられている。人形の手がミオの身体へ絡みつく・・・・・。
「キャァァァ!!」
「ミオォォォォ!!!!」
ミオのもとへ駆け寄る。途中もう一体の人形が目の前に現れたが、片目をくれてやった。
「ぐぁぁぁあぁぁ!!」
声にならない激痛が襲う・・・。片方の目にも赤い血が映る・・・・・。
でも今はそんな場合ではない。俺は怒りから痛みを忘れてしまった。
「あぁぁぁぁ!!!!」
俺はミオに当たってもおかしくないぐらい全力で双剣を振るった・・・・。
だが、俺が斬ったのは人形ではなく、空を切っていた。
すぐさま人形を探す・・・・。
「ぐはっ!うっ!ぐっ!」
ミオが人形に殴られている・・・。すでに服もボロボロだ・・・・。身体も傷だらけ・・・・・。
手を強く握った・・・・血が出るほど強く・・・・・。
「やめろ・・・やめろ・・・もういやなんだ・・・やめてくれ・・・うわぁぁぁぁ!!!」
もっと強い力がほしい!欲しい!欲しい!欲しい!強くなりたい!女の子一人も守れない俺に力を!!!これから先、身体が動かなくてもいい!今を乗り越える力!!!
「・・・・・全てを壊す・・・いらない・・・必要ない・・・邪魔だ、邪魔だ、邪魔だ!!!全部消えてしまえぇぇぇぇえぇぇ!!!」
地面が削れて行く・・・。俺はこの力を昔発動させたことがあった・・・・。忌まわしいこの力・・・人を殺すためだけのこの力・・・二度としたくなかった・・・・。
人形が俺に襲い掛かる。
「これで倒そうと?邪魔だ・・・消えてしまえ」
俺は右手を空へ掲げた。それだけで人形が消えた・・・・。さっきと違い、粒子となって・・・。
「な、なんなんだ・・・この力は・・・」
「キエロキエロキエロキエロキエロ!消えろ!!」
さっきまでミオを襲っていた人形が消え去った・・・・。
帝がおびえた表情で、目に見えている「悪魔」を眺めていた・・・・。
「ザコが!消えてしまえ!!」
帝の顔面に拳を叩き込む。帝は3~4M飛ばされる・・・あの威力はもはや人間ではない・・・・。
「やめろ・・・やめてくれ・・・・」
「邪魔だ・・・虫唾が走る・・・消えろ!!」
突然爆発が怒る・・・・。収まったとき、もう帝はいなかった・・・・。
「・・・・まだ消えてないのか・・・!」
「あっ・・・みちる・・・?」
ミオの首を絞め、持ち上げる・・・・。
「あっ・・・けはっ・・・み・・ちる・・・やめ・・・て・・・」
「全てを消す・・・・きえ・・・」
突然、ネックレスが輝きだした・・・。そう「漆黒の輪」が・・・・。
「やめろ・・・消すな・・・俺が消える・・・おぉぉぉぉぉ!!」
ミオから手を離し、頭を抱えながら地面へ倒れこむ・・・・。
「くそっ・・・こんな物・・・・」
ネックレスを引きちぎろうとする・・・。だが、手に銃弾が撃ち込まれる・・・・。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・・・・」
そのまま、眠りについた・・・・・・・。
△▲△▲
「で、ここに運んだの・・・」
「帝の死体は?」
「わからない・・・なくなっていた・・・おそらく・・・」
聞かなくてもわかっていた。また・・・あの忌まわしい力を使ったのか・・・・。
「あっ・・・あと・・それと・・・」
「んっ?どうした?」
顔を赤らめるミオ。熱でもあるのだろうか。
「どうした?風邪でもひいたか?」
「いや・・・あの・・・その・・・」
「いいよ、大丈夫傷つかないから。言って?」
「あっうん・・・あ・・・あ・・・」
「あ?」
なんだよ!早く言えよ!いつもなら俺が傷つくほど貶すだろ!?
「あ・・・ありが・・・ありがとう・・・・」
なんだ・・・ありがとうか・・・そんな言葉、悪魔に必要ないよ・・・・。
ついにみちるの力に触れました♪
これからもよろしくです!!