第三話 『失却乃銃』
ギィン!!!!
「くっ!!早すぎる!追いつけない!」
最近、この前のような世界に連れてかれ、少女と戦うことが続いていた・・・・。
地面を踏みしめる、ダンッ!それに伴い、少女は俺の倍近い速さですでに俺の目の前にいた。
「くそっ!!」
みぞおちに、強烈な蹴りが炸裂した。こいつ・・・ほんとに女の子なのか・・・・?
考えてるうちに次の攻撃。そしてもう一発、さらに一発、もう一発・・・・・・。
「ごぉぉ!ヤバっ・・・死ぬかも・・・・」
でも正直言ってこの前から毎回こんな感じだ。みちるは思った・・・またこないかなぁ・・『あの子』。
そしたら来た。『あの子』が・・・・。やっぱり願ったらくるんだなぁ・・・あとで神社でもいこっと。
この謎の女の子は、俺が危険なときに絶対くるんだ・・・そして助けてくれる・・・で、それで無言で立ち去っていく・・・・・。今日はちょっと頼るかな?
「いつもありがとね。ごめん・・今日は疲れたんだ・・・頼めるかな?」
・・・・・・・無言・・・・・・。そんなに俺が嫌いか!!!!
そしてその子はつぶやく・・・・。
「撃ち抜くは、己の心・・・自らが思うままに・・・・」
この呪文を唱えると、外国人が護衛用に使うぐらいの銃がその子の右手に現れた。なんか・・・この子が銃持つと、やけに大きくみえる。
ガンッ!ガンッ!その銃から緑色の魔法弾のような物が発射される・・・。
あっ!そういえば、「自らが思うままに」って俺と一緒か・・・まぁどうでもいいや!
少女がそれを避けながら、刃物を操っている。俺より苦戦してんのか・・・俺ってそんなに弱いの!?
「守備的空間創作・・・・」
あぁ・・・やっぱ俺弱いんだ・・・。結構今ので落ち込んだな・・・・・。
「魔激弾・・・リロード・・・」
ガンッ!ガンッ!次の弾は青色だ。少女の近くに行くと、その弾は破裂し、爆風となって少女を襲った・・。
煙が舞い上がる・・・そして煙が去ると少女はすでにいなくなっていた・・・。念のため、周りを確認したが、どこにもいなかった。
「ああ、ありがとう。いつも来てくれるね?それより君の魔法銃強いね?」
「・・・・し・・し・・まえ・・」
「えっ?今なんて言ったの?」
「・・・死んでしまえ・・・」
「・・・・・・はい?」
みちるは、その子をなだめようとしたが、遅かった・・・。みちるの腹部に銃を突きつけられた・・・。
「邪魔だ・・・死んだ方がいい・・・」
「ちょ・・ま・・・!」
俺はこのままではホントに走馬灯を見るところまでいきそうだったので、まだ手の中にあった双剣の腹で、銃を叩いた。
カンッ!簡単に弾けた。やっぱり女の子の力か・・・。俺がほっとしていると、次は腹部に拳が入った。
「グフッ!」
薄れゆく意識の中、銃を拾う女の子の姿を見た。やっぱ・・・俺どっちにしろ死ぬんじゃん・・・。
あぁ・・・とその時、俺を襲ったのは、銃の弾でもなく、拳でもなく、「何かがのしかかった・・」
みちるは瞼を開ける・・・・・。
「えっ?はいぃぃぃぃ?」
そこにいたのは、みちるが入会・・というのより無理やり入れられた、会・・・秩序のかみの会の会長である、そう・・・心斬かのみだった。
「ダメだよぉ?みーちゃん。この子はねぇ、新しい会員さんだよぉ?」
ん?みっみっみーちゃん!!!??こんなに強くて、冷酷な子が?みーちゃんだとぉ?そんな話あるかい!!
「かのみさん・・・か・・・じゃあ仕方ない・・・」
「仕方ない・・か・・・なんか腑に落ちない感じだ・・・・」
「ああ、紹介まだだったねぇ~この子はぁ、みーちゃんて言うのぉ」
はい来たー!やっぱこの人はおかしい、初めて行った日から何度か行ったけど、俺の名前覚えてくれないし・・・なんか、鍵開けてるくせに下着姿にYシャツを一枚はおっただけという、マニアにはたまらない格好してるし・・・あっ、俺は違うよ?そして?挙句の果てに?人の紹介にみーちゃんだとぉ?
「あの・・・みーちゃんだけじゃわからないんですが・・・」
「えっ?やっぱみちる君はダメだなぁ、え~とぉ・・この子の名前はぁ・・・名前はぁ・・・名前はぁ・・なま・・名前・・・・・・てへっ♪忘れちゃったぁ」
「なんで忘れんだよ!名前忘れるって前代未聞だろ!!」
「えぇ~みちるんきびしーーよぉ」
「当たり前ですよ!ってかみちるんってなんですか!」
この、赤の他人に「この人宇宙人ですよーー」とか言っても信じられるような人とムダな会話を過ごしている間に、女の子が名乗った。
「ミオ・・・ミオ・ロゼック・・・ミオでいい・・・言いたいなら、みーちゃんでもかまわない・・」
「ミオ・・か・・じゃあ、みーちゃんで行かせて・・・ッ!」
俺は頭に銃を突きつけられた。全然かまわなくないじゃねーかよ!
「わかった・・ごめん、ミオ」
「そうか、お前がそれがいいならそれでいい・・」
「そうじゃない気もするけど、それでいいよ。ありがとう。俺は彩乃みちる、みちるでいいよ」
「わかった・・・みちる・・・」
「あれぇ?二人とも私を置いていいカンジぃ?らぶらぶだねぇ」
「・・・殺しますよ、かのみさん・・・みちるを・・・」
そうだそうだ!勝手にそんなん決め付けられてたまるか!って、なんで俺になってんだよ!!おかしいだろ!!
「なんで俺だよ・・・」
「みちるが、誤解を招くようなことしたから・・・・」
「そんなこと全部かのみさんのせいだろ!怒りは向こうに向けるべきだよ!」
「・・・・・・ッ!」
また銃を突きつけられた。次は違った、本気の目をしていた。
やべぇ・・ホントに撃たれるかも・・・。
「やめてぇ、みーちゃん。ダメだよぉ」
「・・・・・うん」
あれ・・・さっきから思ってたけど、ミオってかのみさんに頭が上がらないな・・・なんかあるのだろか?まぁ、いつか聞き出すか・・・。
「あっ、そういえば、ミオのその魔法銃ってなんていうの?」
「失却乃銃・・・・」
「あと、俺らが言う、「自らが思うままに」ってどういう意味なの?」
「私に聞かれたってしらない・・・」
まぁ、そんなにあせることないか・・・いずれわかるだろう。
ちょうど、沈黙が起こる前に普通の世界へ戻った。
今日はこのまま、秩序のかみの会の所へ行くとしよう・・・・・。
「みちるん♪、今日はみちるんの歓迎ぱーてぃー開くからぁ、来てねぇ?」
はい、そのつもりですが?というわけもなく、適当に返事を済ませた。
「では・・・私はこれで・・・・・」
「ダメだよぉ、みーちゃん?ずっとみーちゃん待ってやらなかったんだからぁ」
そーだったのか!なんで言ってくれないんだよ!って、待てよ?てことはミオは前からいる。でも、外見の年は中1ぐらいだ・・・。つまり!中1が高校2年のセンパイぃ?
「・・・わかった・・・あと、みちる・・私は先輩だから・・・・」
だから、なんでこいつら俺の心の中わかんだよ!!!!!もしかして、超能力者?SFファンタジーかよ!なんて言う、自分でも聞き覚えのある二度目のツッコミをした。心の中で・・・・・。
まぁ・・・パーティーでも楽しみますかな・・・・。
☆★☆★
「ついに、神と双剣と銃が重なりあったか・・・・・・」
暗闇に染まるその目は、赤い目をしていた・・・・・・・・。
まだまだ、続くよん♪
赤い目の登場です