婚約破棄の後始末
「この度は本当に申し訳ありませんでしたっ!」
私、アレミア・ライシュは現在土下座の真っ最中である。
本音としては『どうして私がこんな目に?』と思っている。
それもこれも動こうとしない母国のせいである。
「あ、義姉上……、一体どうされたんですか?」
戸惑いを隠せないのは隣国カルバナ王国の王太子であるレオン様である。
因みに此処はカルバナ王国の王宮の大広間で私は前触れも無くやって来て土下座をしている。
だって、こうでもしないと母国がとんでもない事になってしまうから。
「実は我が愚妹シルビアと結んでいた婚約が無くなってしまいました……」
「えぇっ!? 彼女とは良い関係を築いていた、と思っていたのに……、理由はなんですか?」
「我が国の王太子と婚約する事になりました……」
「……は?」
えぇ、そういうリアクションになりますよね 気持ちはわかりますよ。
「確かサリューナ王国の王太子は義姉上と婚約している、と記憶していますが」
「はい、先日一方的に婚約を破棄されました」
私の告白を聞き周りにいた貴族の皆様方はざわついていた。
そう、1週間前に私は公の場で婚約を破棄されたのだ。
しかも、元婚約者である王太子はシルビアとの婚約を宣言したのだ。
私は顔面蒼白になり説得をしようとしたのだが聞き入れて貰えなかった。
だって、シルビアはレオン様と婚約していて、それを破棄しようとするものなら外交問題待った無しになる。
レオン様とシルビアの婚約は両国の友好関係を築く為の大事な話でその重大さを私や両親はシルビアに言って聞かせていた。
しかし、残念ながらあの子の中では『遠くの王太子より姉の婚約者、しかも王太子』の方が魅力的に見えた。
王太子も満更でもなく『姉妹に好かれる俺ってなんて魅力的』と自惚れを強くさせる結果に。
私、呆れて何も言えませんでしたよ。
両親は倒れてしまうし国王様や王妃様は甘いから『それもありか』とお花畑の考えで止めなかったし貴族も事の重大さに気付いている者は少なかった。
私は取り急ぎすぐにサリューナ王国に向かい現在に至る。
だって誰かが動かなきゃダメでしょ。
「そういう事でしたか、義姉上も大変でしたね……」
レオン様は私の肩をポンと叩いた。
涙がポロリと出た。
初めて優しい言葉をかけられた。
「……サリューナ王国の大使をすぐに呼び出してくれ、これは立派な契約違反だ」
その一言が終わりの始まりだった。
その後、母国の大使は説明を求められたけど上手く説明出来る訳がなく、サリューナ王国はカルバナ王国との国境を一時的に封鎖。
その後も何回も交渉を重ねカルバナ王国は漸く事の重大さに気付いたけど時既に遅し。
結論として王太子様とシルビアが全ての原因であり2人を処分する、という事になり2人の身柄はサリューナ王国に送られ処刑される事になった。
更に今後の関係もサリューナ王国が優先となりカルバナ王国は経済的に衰退する事になる。
私はそのままサリューナ王国に亡命して、現在はレオン様の相談役をさせて貰っている。
「実は義姉上、いえアレミア嬢の優秀さには注目していたんです」
「買い被りすぎですわ、今回行動したのも我が身が可愛いのもありますから」
「でも、あの場で土下座するのは勇気がいるものです」
そう言ってニッコリと笑うレオン様に私は顔を真っ赤にした。




