これは復讐の火種だ
これは、二度目の人生を迎える前の『引きこもりの王妃・リナフィア』の結末。
一度目の人生、自分は何もできなかった。
日々の仕事に忙殺され、ルーベントの気持ちがマリアに傾いていくのを止められなかった。気が付いたら夫に離婚を突き付けられ、自分の味方になってくれる者もおらず、一人寂しく王宮を去ったものだ。
そうして、自分はこのまま一人で死んでいくのだろうなと貧民街で終わろうとしていたところ、意外な者達から手が差し伸べられた。
リナフィアは前触れもなく笑顔で現れた教会関係者達に手を引かれ、訳も分からず教会の地下講堂へと足を踏み入れた。
見たこともない場所と、講堂中央にそびえるソレに言葉を失っていた時だった。
「あ、あのこれは一体――んぐッ!?」
突如背後から口に布を噛まされたのは。
優しく引かれていた手も、後ろ手に拘束される。
「んん――っ! ん――ッ!?」
抵抗に足を止め声を上げようとも、長らくの貧しい生活で弱ったリナフィアの力では抗うことなど無謀だった。ズルズルと引きずられるようにして、中央に築かれたソレ――断頭台がそびえる処刑場へと投げ捨てられる。
「んぐッ!」
「皆様、やっとサウザード王国の憂いを払う機会がやって参りました。リナフィア様御自ら、人柱となってくださるとのことです」
(は? 人柱……?)
「救国の聖女とはまさに彼女のことでしょう。今、我が国は王都から発生した流行病に冒されて――」
大司教の言葉が理解できなかった。どこか別の大陸の言葉でも喋っているのだろうか。よく見れば、周囲には教会関係者だけでなく見知った貴族達もいるではないか。
すると、リナフィアの視界に綺麗なドレスの裾が割り込んできた。
「リナフィア様ぁ、すみませぇん」
この甘ったるい喋り方には覚えがある。
(マリア……ッ!)
「王都で流行病が出ちゃってぇ、それが段々と周辺領にまで広がって国が滅ぶみたいなことが、とうとう神託で出たようでぇ、避けるには聖女の力が必要って言うんですよぅ。凄いですね、聖女の力って。なんかぁ、聖女って天寿を全うせずに死ぬと、残っていた力が一気に溢れ出すそうで、奇跡を一つ起こせるんだとか」
さっすがファンタジーの世界、などと意味の分からないことを呟いている。
マリアは突然、地に伏したリナフィアに抱きつくようにして顔を近づけた。
『くたばれぇぇぇぇぇ!』という思いを詰め込んで書いたので
同じように理不尽に憤っている方は下部から★★★★★を入れて
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今日はあと、16時台、21時台に更新します




