7話 魔導具と宇宙携帯
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
教室でこの後の予定を話し合ったり、部活に行く生徒もいれば、バイトや塾などの用事でそそくさと帰る生徒も居る。
金髪のハーフツインをなびかせながら、いつものように中庭へと向かう宇ノ中さん。
中庭にあるベンチには遠目から見てもわかる銀髪の女の子、伊勢川さんが座っている。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座る。
「やっと伊勢川さんと話せる〜」
「そんなに話したい事があったの?」
伊勢川さんが横目で見ながら話す。
「そだよ〜」
そう言って宇ノ中さんは伊勢川さんを見る。
「今日の朝」
「一緒に登校しようとしたんだけど」
「出来なかった〜」
ほっぺを膨らましながらふくれる宇ノ中さん。
膨れ顔がちょっと可愛らしいなと思いながらチラ見する伊勢川さん。
「まぁ、私も宇ノ中さんの家の前を通った時に」
「一緒に登校したいのかな?とは思ったけれど」
「そのまま素通りした」
前を見ながら冷静に話す伊勢川さん。
「ガーン」
「なんで〜(泣」
伊勢川さんの話を聞いてショックを受ける宇ノ中さん。
「ん〜、だって」
「宇ノ中さんの登校時間知らなかったし」
伊勢川さんは宇ノ中さんを横目で見ながら話す。
「なにより」
「宇ノ中さんのお家って」
「宇宙船だからピンポンが無かったから」
伊勢川さんはそう言って前を向く。
「くぅ〜ぉ」
「そうだったのか〜」
宇ノ中さんは分かりやすく悔しがる。
「ならば!」
「伊勢川さん」
宇ノ中さんは伊勢川さんを見つめる。
「連絡先交換しよう!」
そう言ってスマホを目の前に出す。
「……」
「いや、出来ない」
伊勢川さんがつぶやく。
「ガーン!」
再び宇ノ中さんがショックを受ける。
「しくしく」
「伊勢川さんは私とは連絡先交換したくないのか〜」
分かりやすくシクシクする宇ノ中さん。
そんな宇ノ中さんを見て伊勢川さんは口を開く。
「ぁ、いや交換したくない訳じゃ無くて」
「出来ないと思って」
「???」
宇ノ中さんが頭の上に?が出た様な顔をする。
「私の携帯」
「普通の携帯じゃ無くて」
「魔導具なの」
伊勢川さんがそう話す。
「ほぅ?それはどういう?」
宇ノ中さんが喰い付いてくる。
「多分、この世界の携帯とは規格とかが色々違うから連絡とか出来ないかなと」
伊勢川さんが説明する。
それを聞いて宇ノ中さんがニヤリとする。
「そういう事ね」
宇ノ中さんはベンチから立ち上がり叫ぶ。
「それなら大丈夫!」
伊勢川さんが少しキョトンとした顔で宇ノ中さんを見る。
「私の携帯も宇宙携帯スペホだけど」
「使えるアプリがあるのだ!」
宇ノ中さんが自慢気に話す。
「ほぅ」
伊勢川さんがちょっと興味ありげに返答する。
「このアプリ、色々なものに対応しているから」
「伊勢川さんのマドホにもいけるはず!」
宇ノ中さんがそう叫ぶ。
「まどほ?」
伊勢川さんが聞き返す。
「まどーぐフォンでマドホ!」
自信満々に答える宇ノ中さん。
「まぁ取り合えす入れてみて〜」
そう言って宇ノ中さんは、そのアプリを勧める。
「ぁ、うん」
伊勢川さんは半信半疑で手に持ったスマホ型魔導具にアプリを入れてみる。
「……」
「インストール出来たし」
ちょっと驚く伊勢川さん。
「……」
「ちゃんと動く……どころか」
「普通にコミニケーションツールとして使えて」
「宇宙人相手でも異世界人相手でも、あまつさえ神様とか悪魔相手でも連絡できる!?」
「なにこの ハライン ってアプリ!」
伊勢川さんは驚いた表情で宇ノ中さんを見る。
「すごいでしょ〜」
「と言っても親が仕事で使っているアプリを教えてもらっただけなんだけどね」
「このアプリはね〜」
「みんな、というか地球人が普通に使っているコミニケーションアプリと同じ感じで使えて」
「なおかつ、私みたいな宇宙人とか伊勢川さんみたいな異世界人、色々と特殊な人達にも対応している便利アプリなんだ」
「……って、親の受け売りだけど〜」
そう言って伊勢川さんに微笑む。
「まぁ、昨日教えて貰って」
「喜んで色々アプリをいじっていたら」
「夜更かしして今日は危うく遅刻する所だったよ〜」
宇ノ中さんは嬉しそうに話す。
「だから今日はあんなに時間ギリギリだったのね」
伊勢川さんが宇ノ中さんを見ながら話す。
「これで連絡先交換出来るよ!」
笑顔でスペホを見せる宇ノ中さん。
「ぁ、うん」
照れながらちょっと嬉しそうな伊勢川さん。
「これでOK」
伊勢川さんと連絡先交換した宇ノ中さんは嬉しそうに微笑む。
「よし、明日からは夜更かししても安心だ〜」
宇ノ中さんがそうつぶやくと、
「いや、私はモーニングコールじゃないぞ」
伊勢川さんがツッコむ。
「そっか、ニヒっ」
宇ノ中さんは嬉しそうに伊勢川さんを見る。
「ぁ、あと宇宙船にピンポン付けておかないと」
宇ノ中さんがそう話すと
「ピンポンの付いた宇宙船……シュール」
伊勢川さんがつぶやいた。
そうして今日も日が暮れる。




