5話 引っ越しと近所
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
教室でこの後の予定を話し合ったり、部活に行く生徒もいれば、バイトや塾などの用事でそそくさと帰る生徒も居る。
金髪のハーフツインをなびかせながら、いつものように中庭へと向かう宇ノ中さん。
中庭にあるベンチには遠目から見てもわかる銀髪の女の子、伊勢川さんが座っている。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座る。
すると伊勢川さんが話し始める。
「今日から歩いて下校するんだっけ」
「うん」
宇ノ中さんが返事する。
「迎えのUFOが来ないなら中庭に来る必要は無いんじゃ」
伊勢川さんが前を見ながら話す。
「そだね〜」
宇ノ中さんも前を見ながら話す。
「でも」
「このベンチで伊勢川さんとお話したかったから」
そう言って伊勢川さんに微笑む。
「……そう、なんだ」
ちょっぴり照れくさそうに横目で宇ノ中さんを見る伊勢川さん。
「引っ越したって言っていたけれど」
「なぜ地球に住むことになったの?」
伊勢川さんが素朴な質問をする。
「まさか地球を侵略しに来たってわけでは無いよね」
そう言って宇ノ中さんをチラ見する。
そんな伊勢川さんを見て宇ノ中さんはニヤリと笑う。
「フッフッフ」
「そうだったらどうする?」
亜空間収納から光線銃を取り出して伊勢川さんの方を見る宇ノ中さん。
「だったら」
伊勢川さんもアイテムボックスから杖を取り出し
「私が阻止するよ」
そう言って宇ノ中さんを見つめる。
「……」
「ふふっ」
伊勢川さんが微笑む。
「ぁははっ」
宇ノ中さんが笑い出す。
「宇ノ中さんはそんなキャラじゃないよね」
伊勢川さんが微笑みながら宇ノ中さんの方を見る。
「まぁね〜」
「普通に親の仕事の関係で、こっちに引っ越しする事は前から決まっていたんだ」
「だからこの高校を選んだの」
「手続きにちょっと時間がかかってて、その間はUFOで送り迎えしてもらう事になって」
宇ノ中さんが前を見ながら説明をする。
「へぇ〜、そうなんだ」
伊勢川さんが返事する。
「人の少ない中庭で送り迎えして貰っていたら」
「ベンチに座っている伊勢川さんを見つけて」
「今に至ると」
そう言って宇ノ中さんはニコリと笑う。
「そう言えば伊勢川さんは、なんでいつも中庭に居るの?」
宇ノ中さんは伊勢川さんを見て質問する。
「私は」
「UFOじゃなく、転移ゲートで帰っていたから」
「人目のつかない中庭に居た理由は宇ノ中さんと同じかな」
そう言って手に持った杖を構える。
「ぉ〜、亜空間ワープみたいなものか」
宇ノ中さんが嬉しそうに話す。
「じゃあ伊勢川さんは異世界から通っているのか〜」
「次元転移をそんな簡単に出来るなんて異世界人って凄いんだね」
宇ノ中さんは感心した顔で伊勢川さんを見る。
「ぁ〜」
「流石に私単独じゃ世界を渡るのは無理かな」
「私の使っている転移ゲートは、時空転移しない近距離移動魔法」
そう言って伊勢川さんはアイテムボックスに杖をしまう。
「じゃあ伊勢川さんもこの近所に住んでたりするの?」
宇ノ中さんも光線銃を亜空間収納にしまいながら話す。
「宇ノ中さんと同じで最近引っ越してきたばかりだけどね」
伊勢川さんは前を見ながら伊勢川さんを横目で見る。
「へぇ〜」
「あれでもなんで近所に住んでるのにワープゲートを使っていたの?」
宇ノ中さんが伊勢川さんに問いかける。
「それは」
「この中庭に」
「UFO来ていたからつい気になって」
「それを見ていたら宇ノ中さんが乗って帰っていた」
伊勢川さんはそう言いながら宇ノ中さんを見る。
「まあ、そうやって見ていたら中庭の居心地がよくなっちゃって」
「今に至る……と」
伊勢川さんはそう言って宇ノ中さんと同じフレーズを喋り、ニコリと笑う。
「ぁははっ」
宇ノ中さんが笑い出す。
「ふふっ」
伊勢川さんが微笑む。
「ちなみに伊勢川さんの家はどっち方面?」
宇ノ中さんが問いかける。
「ぇと、商店街のある辺り」
伊勢川さんが答える。
「ぉ〜、私もその辺りなんだ」
「じゃあ」
宇ノ中さんはベンチから立ち上がり、
「途中まで一緒に帰らない?」
そう言って微笑む。
「……そうだね」
ちょっと嬉しそうに伊勢川さんは返事する。
「やった〜」
伊勢川さんの返答に無邪気に喜ぶ宇ノ中さん。
こうして二人は一緒に下校することになった。




