28話 リンちゃんとひとみ
ガヤガヤ
授業が終わりみんなが思い思いに帰宅してゆくそんな中、静かな中庭のベンチで談笑する宇ノ中さんと伊勢川さん。
「じゃあ」
「一緒に公園に行かない?」
宇ノ中さんがベンチから立ち上がり、伊勢川さんに聞いた。
少し考えたあと伊勢川さんが口を開く。
「……うん、じゃあ」
「公園に」
学校の近所にあるこの公園は古墳があり、そこから出土された埴輪などのレプリカが置いてある展示館などがある比較的大きな公園だ。
その公園内を宇ノ中さんと伊勢川さんは歩いている。
公園内にベンチを見つけ、二人はそこに座る。
「この公園懐かしいな〜」
宇ノ中さんが嬉しそうに話す。
「宇宙人なのに?」
そんな宇ノ中さんを見て伊勢川さんが返す。
「私ね昔ここで良く遊んでいたんだ」
宇ノ中さんが微笑みながら話し始める。
「おじいちゃんがこの辺の人だったから、夏休みとかに遊びに来ていて」
「その時に、この公園で遊ぶのが好きだったの」
喜んで話す宇ノ中さんを伊勢川さんは横目でそっと見つめる。
「宇宙にも夏とかあるんだ」
伊勢川さんは軽くツッコむ。
「地球が夏って事ね〜」
宇ノ中もサラッと返す。
「前も言ったかもだけど、私って結構人見知りで」
「小さい頃は凄く大人しかったんだ」
懐かしそうな目で話す宇ノ中さん。
「今はすっかり元気っ子だよね」
伊勢川さんが答える。
「伊勢川さんの前だけ、かも」
珍しく謙虚な宇ノ中さん。
「こんなに元気っ子になったのは」
「夏の間ずっと遊んでいた友達が居たんだ」
「その子のおかげ」
宇ノ中さんが話すのを伊勢川さんは静かに聞いている。
「その子は私と同じ歳位なのに大人っぽくて」
「元気で明るかった子」
優しげに微笑む宇ノ中さん。
「とっても楽しかった」
「でも、その夏が終わって次の夏にまた来た時には」
「その子はもう居なくなっていたんだ」
そう言って伊勢川さんを横目で見る宇ノ中さん。
「そうなんだ」
伊勢川さんが相槌を打つ。
「……私も」
「今でこそ大人しく見えるけれど」
「私も昔は違っていたんだ」
伊勢川さんも話し始める。
「昔はもっとヤンチャで」
「グイグイ人と話すタイプだった」
静かに話す伊勢川さんを見つめる宇ノ中さん。
「でも、かわいくて大人しい子を見て」
「いいなって、憧れていたんだ」
そう言って宇ノ中さんを見る伊勢川さん。
「伊勢川さんって私の送り迎えUFO見ていたって言っていたけれど」
宇ノ中さんが話し始める。
「何時から見ていたの?」
そう言って伊勢川さんに問いかける。
「……」
少し間が空いた後、伊勢川さんが答える。
「最初に見たのは」
「10年前」
「親の仕事の都合で、夏の間だけこっちの世界で暮らしていたことがあって」
「その時に一緒に遊んでいた子が、乗って帰って行った」
「その子の苗字は知らないけれど」
「名前は【ひとみ】って言っていた」
伊勢川さんが前を見たまま話す。
「私も一緒に遊んでいた子の苗字はわからないけれど」
「名前は覚えてる」
「リンちゃん」
宇ノ中さんも前を見たまま話す。
「ふふっ」
伊勢川さんが微笑む。
「あははっ」
宇ノ中さんも笑う。
宇ノ中さんと伊勢川さんはお互いを見て一言。
「リンちゃん」「ひとみ」
「何時から気づいていたの?」
伊勢川さんが宇ノ中さんに問いかける。
「そりゃあもう、入学式の時から」
宇ノ中さんが答える。
「伊勢川さんはいつから?」
宇ノ中さんが質問する。
「10年前、と言いたい所だけれど」
「入学式前の登校の時にUFOを見かけて」
「中庭に着陸したのを見た所かな」
伊勢川さんが嬉しそうに答える。
「ほぼほぼ最初からじゃん!」
宇ノ中さんが嬉しそうに話す。
「まさかリンちゃんが異世界人だったとはね〜」
満面の笑みで伊勢川さんに話かける。
「私は10年前にすでに驚いていたから」
謎に誇らしげな顔をする伊勢川さん。
「じゃあ私達は最初から、蚊帳の外でも何でも無く」
「知り合いだったって事ね〜」
宇ノ中さんがそう言うと、
「知り合い?」
「でいいの?」
ニヤリとする伊勢川さん。
「いや、友達!」
「いや!親友で!」
宇ノ中さんか笑顔で答える。
宇ノ中瞳 宇宙人
伊勢川凛 異世界人
こうして宇ノ中さんと伊勢川さんは再び親友となった。




