27話 言葉とおじいちゃん
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
教室でこの後の予定を話し合ったり、部活に行く生徒もいれば、バイトや塾などの用事でそそくさと帰る生徒も居る。
金髪のハーフツインをなびかせながら、いつものように中庭へと向かう宇ノ中さん。
中庭にあるベンチには遠目から見てもわかる銀髪の女の子、伊勢川さんが座っている。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座る。
すると珍しく伊勢川さんから話し始める。
「そう言えば、宇ノ中さん」
「ん〜?」
宇ノ中さんは伊勢川さんを見て相槌を打つ。
「宇宙人なのに日本の言葉上手だよね」
「宇宙的な超技術で翻訳とかしているの?」
伊勢川さんは宇ノ中さんに素朴な疑問を投げかける。
「ぁ〜」
「それね」
宇ノ中さんが口元に手を当てて少し考えた後、答える。
「宇宙的な超技術の翻訳的な物は存在するけれど」
「私は普通に日本語喋れるのだ!」
伊勢川さんに向かってドヤ顔をする宇ノ中さん。
「ほぅ」
そんな宇ノ中さんに感心する伊勢川さん。
「いっぱい勉強した……の?宇ノ中さんが?」
ちょっぴり疑いの眼差しで問いかける伊勢川さん。
「いっぱい勉強したのはしたけれど……」
「昔から、日本語に馴染みがあったから」
「割と慣れるのは早かったかな〜」
宇ノ中さんが前を見ながら伊勢川さんに話す。
「へぇ~」
「馴染み……?」
そう言って聞き返す伊勢川さん。
「うん」
「実はおじいちゃんが」
「地球人だから」
宇ノ中さんが伊勢川さんを見ながら話す。
「ほぅほぅ」
伊勢川さんが宇ノ中さんの話に喰い付いて来る。
「だから、いわゆるクォーター?」
「四分の一地球人な宇宙人なのだ!」
「だから、小さい頃には結構話せていたよ」
なぜかドヤ顔をする宇ノ中さん。
「……なるほどね」
宇ノ中さんの話に納得する伊勢川さん。
「伊勢川さんも言葉上手だけれども」
「超魔法的な翻訳スキルとかなの?」
今度は宇ノ中さんが伊勢川さんに問いかける。
「異世界にも翻訳的なスキルとか魔法はあるけれど」
「……私も使ってない」
静かに話す伊勢川さん。
「異世界って転生者が良く来るから」
「日本的な言葉や文化、文献はそれなりにあって」
「そこで勉強したかな」
伊勢川さんは前を見ながら宇ノ中さんに話す。
「伊勢川さんいっぱい本とか読んでいて、頭良さそうだし」
「私より早く覚えていそう」
ちょっぴり嬉しそうに伊勢川さんに話す宇ノ中さん。
「……そうでもないよ」
伊勢川さんは前を見ながら横目で宇ノ中さんに話す。
「そうなの?」
伊勢川さんを見ながら話す宇ノ中さん。
「うん」
「小さい頃はそんなに上手では無くて」
「同じ位の歳で日本語が上手な子に教えて貰ったりしていた」
静かに宇ノ中さんを見ながら話す伊勢川さん。
「へぇ~」
「……そうなんだ」
「同じ位の子……」
口元に手を当てて宇ノ中さんが伊勢川さんを見る。
「うん」
再び前を向きながら宇ノ中さんに返事する伊勢川さん。
「……」
「……そうだ」
「伊勢川さんこの後、時間ある?」
宇ノ中さんが伊勢川さんに問いかける。
「……」
「うん」
少し考えた後、宇ノ中さんに答える伊勢川さん。
「じゃあ!」
「一緒に公園に行かない?」
急に宇ノ中さんがベンチから立ち上がり、伊勢川さんに聞いた。
「……」
「うん、いいよ」
宇ノ中さんの言葉に何かを察した伊勢川さんが返事する。




