23話 たいやきと今川焼き
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
金髪のハーフツインをなびかせながら、いつものように中庭へと向かう宇ノ中さん。
中庭にあるベンチには遠目から見てもわかる銀髪の女の子、伊勢川さんが座っている。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座り、話し始める。
「そう言えば伊勢川さん」
伊勢川さんを見ながら宇ノ中さんは話しかける。
「ん?」
そんな宇ノ中さんに伊勢川さんが反応する。
「たいやき好き?」
「好き」
宇ノ中さんが聞くと同時に食い気味で伊勢川さんが答える。
「たいやきをどこから食べるかで性格診断出来るらしいんだ」
宇ノ中さんは携帯で調べながら伊勢川さんに説明する。
「私はね〜」
「頭から食べるかな」
宇ノ中さんは伊勢川さんを見ながら話す。
「ほぅほぅ」
「頭からだとどんな感じの性格に?」
ちょっぴり興味ありげに宇ノ中さんに聞き返す。
「ぇとね〜」
「明るくて細かいことは気にしない、一所懸命で行動派だって」
携帯を弄りながら伊勢川さんに説明する宇ノ中さん。
「……なるほど」
「宇ノ中さんっぽい」
性格診断の結果に納得する伊勢川さん。
「じゃあ……」
「伊勢川さんはたいやき、どこから食べる?」
ニヤニヤしながら伊勢川さんに問いかける宇ノ中さん。
「私はね……」
「あんこから食べる」
前を真っ直ぐ見ながら真面目な顔で話す伊勢川さん。
「あんこ!?」
「……あんこ?」
携帯で調べるも宇ノ中さんが悩んだ顔に変わる。
「あんこから?」
再び伊勢川さんに問いかける伊勢川さん。
「ぁ〜、真ん中から割って」
「食べる感じ?」
伊勢川さんは詳しく食べ方を説明し始める。
「なるほど!」
「えとね、じゃあ〜」
再び調べて話し始める宇ノ中さん。
「真ん中から割るタイプもあるから」
「割った後、頭側と尻尾側どっちから?」
そう言って伊勢川さんに質問する宇ノ中さん。
「ほう、えっとね……」
「どちらかと言うと尻尾側?」
伊勢川さんは考えた後、宇ノ中さんに答える。
「どれどれ……」
伊勢川さんの答えを聞いて再度調べる宇ノ中さん。
「半分に割って尻尾から食べる人は……」
「コツコツ慎重派で、真面目な優等生タイプ!」
「うん、伊勢川さんだ」
性格診断の結果に満足気な宇ノ中さん。
「ほうほう」
診断結果を聞きながら相槌を打つ伊勢川さん。
「ちなみにたいやきの起源は今川焼きからなんだって」
宇ノ中さんはそう言って伊勢川さんを見る。
すると伊勢川さんの顔が真剣になり、呟く。
「……その話を出すと、戦争になる」
「ぇ?」
「どゆこと?」
宇ノ中さんが驚いて伊勢川さんに聞き返す。
「……この日本では、今川焼きの呼び名論争があるんだ」
前を見ながら真面目な顔で話す伊勢川さん。
「呼び方……?」
伊勢川さんを見ながら話す宇ノ中さん。
「東京とかの関東は今川焼き」
「名古屋とかの中部は大判焼き」
「大阪とかの関西は回転焼き」
「他にも二重焼き、太鼓焼き、おやきに御座候」
「日本以外だと、チョールンビン、オバントク」
伊勢川さんが流暢に説明をする。
「そ、そんなにあるんだ」
宇ノ中さんは感心しながら伊勢川さんに相槌を打つ。
「宇ノ中さんはなんて呼んでいるの?」
伊勢川さんが宇ノ中さんを見ながら問いかける。
「えと、私?」
「丸いし、なんだか形状からして……」
「UFO焼き!」
なぜか自信満々に答える宇ノ中さん。
「ふふっ」
「宇ノ中さんらしい」
宇ノ中さんを横目で見ながら微笑む伊勢川さん。
「じゃあ、伊勢川さんはなんて呼んでいるの?」
伊勢川さんを見ながら問いかける宇ノ中さん。
「私はね……」
「ベイクドモチョチョ」
前を見たまま真面目な顔で答える伊勢川さん。
「ベイクドモチョチョ!」
予想外の答えに驚いて笑う宇ノ中さん。
「ふふっ」
そんな宇ノ中さんにドヤ顔する伊勢川さん。
「ニヒっ」
伊勢川さんが笑って嬉しそうな宇ノ中さん。
今日も平和に二人の笑い声が響く。




