22話 イカとクラーケン
サワサワ
そよ風が優しい季節の学校の中庭。
お昼ご飯の時間に中庭のベンチでランチをしている宇ノ中さんと伊勢川さん。
モグモグと小倉マーガリンサンドを食べる伊勢川さん。
「今日はタコ以外にもこれがあるのだ」
宇ノ中さんはそう言ってお弁当箱を伊勢川さんに見せる。
「……これは、フライ?」
宇ノ中さんのお弁当箱を見て伊勢川さんが呟く。
「うん、イカフライ」
微笑みながら伊勢川さんに話す宇ノ中さん。
「タコさんウインナーの他にイカもあるんだ」
不思議そうな顔で宇ノ中さんのお弁当を見る伊勢川さん。
「そう!」
「タコもイカも宇宙人!」
再び謎理論を語り始める宇ノ中さん。
「タコは宇宙人ぽいけれど、イカも宇宙人なんだ」
伊勢川さんは宇ノ中さんのお弁当箱のイカフライを見ながら話す。
「うん」
「タコもイカも宇宙人!」
宇ノ中さんはなぜか自信満々に答える。
「その自信がどこから来るのかはわからないけれど」
「宇宙人の宇ノ中さんが言うんだから」
「イカも宇宙人?」
伊勢川さんは訝しげな顔をしながら宇ノ中さんを見る。
「うん!そう!」
宇ノ中さんは満面の笑みで答える。
「そう言えば異世界にもイカとか居るんだっけ?」
宇ノ中さんは伊勢川さんに問いかける。
「あ〜」
「イカのようなタコのような……クラーケンとかが居るかな」
真面目な顔で伊勢川さんは宇ノ中さんに答える。
「ほぅほぅ」
宇ノ中さんが興味津々に食いつく。
「フライにしたり、茹でたり焼いたりモンスターで割と美味しいやつ」
伊勢川さんが横目で宇ノ中さんを見ながら話す。
「じゃあ、これはクラーケンフライで」
「宇宙人飯と異世界グルメのコラボだね!」
宇ノ中さんの謎理論が炸裂する。
「ぇ、あ、うん」
その勢いに伊勢川さんがつい納得してしまう。
「異世界も色々美味しい物があるんだねぇ」
宇ノ中さんはそう言って伊勢川さんを見つめる。
「そうだねえ、他には……」
「シーサーペントの蒲焼き?」
伊勢川さんは口元に手を当てながら宇ノ中さんに話す。
「ほうほう、どんなの?」
宇ノ中さんは興味ありげに聞き返す。
「シーサーペントよりは小さいけれど」
「あれが一番近いかな」
「鰻の蒲焼き」
伊勢川さんはそう言って宇ノ中さんをチラ見する。
「ぁ〜、商店街にあるね」
「鰻の蒲焼きのイイ匂いがするお店」
宇ノ中さんが匂いを思い出しながらヨダレを垂らす。
「そう、そんな感じ」
「タレは商店街のお店の方がいい匂いしているかも」
伊勢川さんも匂いを思い出しながら話す。
「あとは……」
「コカトリス、とか?」
再び伊勢川さんが考えながら話す。
「ホトトギス?」
宇ノ中さんが軽くボケる。
「コカトリス!」
「こっちで言う鶏肉かな」
「丸焼きとか串焼きとか、唐揚げ」
「ちょっと筋肉質で、こっちの世界の方が柔らかくて美味しいけれどね」
伊勢川さんは前を見ながら宇ノ中さんに話す。
「あと、ドラゴンとかあるけれど……」
「珍しすぎてあんまり食べた事は無いかな」
伊勢川さんはそう言って宇ノ中さんをチラ見する。
「へぇ~」
「色々あるんだねえ」
宇ノ中さんが感心する。
「ちなみに一番美味しいのは?」
宇ノ中さんはそう言って伊勢川さんを見る。
「一番美味しいのは……」
伊勢川さんが溜めてじらす。
「一番美味しいのは……!?」
宇ノ中さんもつられて同じ台詞を喋る。
「あんこ!」
伊勢川さんがドヤ顔で宇ノ中さんを見つめる。
「やはり!」
伊勢川さんの返答を聞いて宇ノ中さんはなぜか嬉しそうに笑う。
「ふふっ」
それを見て伊勢川さんも笑う。
「ニヒっ」
宇ノ中さんも嬉しそうに笑う。
二人共笑い合い、いつものお昼の時間が過ぎてゆく。




