17話 地球とスライム
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
金髪のハーフツインをなびかせながら、いつものように中庭へと向かう宇ノ中さん。
中庭にあるベンチには遠目から見てもわかる銀髪の女の子、伊勢川さんが座っている。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座り、話し始める。
「フッフッフ」
真面目な顔で不敵に笑い始める宇ノ中さん。
「……どうしたの?」
いつもと違う雰囲気の宇ノ中さんに心配して声をかける伊勢川さん。
「いよいよ」
「地球を手に入れる日が来たんだよ」
ニヤリと笑い伊勢川さんを見る宇ノ中さん。
「……え!?」
「とうとう宇宙人が地球侵略を始めるの?」
真面目な顔で宇ノ中さんを見つめる伊勢川さん。
「フッフッフ」
再び不敵に笑い、伊勢川さんを見つめる宇ノ中さん。
「……それが本当なら、私が……止める」
「地球人……というより、あんこの為に!」
鋭い目つきで宇ノ中さんを見つめる伊勢川さん。
「……残念だけど」
「地球はもうすでに私の手の内だよ」
そう言って右手に何かを握りしめて前に突き出す宇ノ中さん。
「な、なんだって〜!」
驚き方がなんだか、わざとらしくなってきた伊勢川さん。
「じゃん!」
「とうとう地球を手中に収めたよ!」
宇ノ中さんが握った拳を開くと、そこには地球が……、
「って、ちっちゃ!」
と伊勢川さんが叫ぶ。
宇ノ中さんの手のひらには、ピンポン玉ほどの地球が乗っていた。
「……それはおもちゃ?」
小さな地球を見て伊勢川さんが宇ノ中さんに問いかける。
「これはね〜」
「地球グミ!」
そう言って伊勢川さんに微笑む宇ノ中さん。
「……グミって」
「ぁ〜、あの食べれるスライムだね」
伊勢川さんが宇ノ中さんにそう答える。
「なるほど」
「異世界的にはスライムなのか!」
伊勢川さんさんの台詞に宇ノ中さんが感心する。
「うん、食べられるスライムってのは斬新だったけれど」
「食べてみると結構美味しい」
ちょっと嬉しそうに宇ノ中さんに話す伊勢川さん。
「そう!」
「だからこの地球もきっと美味しいはず!」
微笑みながら伊勢川さんに力説する宇ノ中さん。
「ささ、伊勢川さんもお一つ地球をどうぞ」
そう言って地球を一つ伊勢川さんに手渡す。
「あ、ありがとう」
お礼を言って受け取る伊勢川さん。
「私も地球を手に入れちゃったよ」
手に乗った地球を見て呟く伊勢川さん。
「宇宙人の私が地球を手に入れると」
「地球侵略になる」
「異世界人の伊勢川さんが地球を手に入れると……」
「世界征服?」
そう言って伊勢川さんを見つめる宇ノ中さん。
「それじゃあまるで魔王だよ」
「ふふっ」
宇ノ中さんに優しくツッコむ伊勢川さん。
「ニヒっ」
そんな伊勢川さんに微笑み返す宇ノ中さん。
「それじゃあ魔王さん」
「いただきますか」
ニヤニヤして伊勢川さんにそう言う宇ノ中さん。
「そうですな侵略者さん」
宇ノ中さんにニヤニヤ返しする伊勢川さん。
「「いただきます」」
伊勢川さんと宇ノ中さんは勢い良く地球を食べる。
モグモグ
「う〜ん、これが地球の味」
「なかなかに美味ですな」
悪役風に喋る伊勢川さんと宇ノ中さん。
「スライムってこんな味なのかな」
地球グミを食べながら喋る宇ノ中さん。
「いや、さすがに生のスライムは食べられないかな」
「グミがスライムっぽいってだけだから」
そう言って宇ノ中さんにツッコむ伊勢川さん。
「そっか、あはは」
嬉しそうな宇ノ中さん。
「ふふっ」
伊勢川さんも嬉しそう。
今日の午後も平和な時間が過ぎてゆく。




