13話 野菜と菌
キーン コーン、カーン コーン
何時ものように鐘が鳴る。
今はお昼時、生徒が思い思いにお昼ご飯を食べるランチタイム。
教室でお弁当を食べる生徒もいれば、購買でお昼ご飯を買いに行く生徒もいる。
金髪ハーフツインの宇ノ中さんは中庭に向かう。
中庭のベンチには銀髪でセミロングの伊勢川さんが居る。
宇ノ中さんは伊勢川さんと同じベンチに座りお昼ご飯を食べる。
「いただきま〜す」
そう言って宇ノ中さんはお弁当箱を開ける。
中にはいつものタコさんウインナーが入っている。
隣に座る伊勢川さんは、それを横目で見ながら自分のお昼ご飯を取り出す。
それを見ていた宇ノ中さんが
「ぉ、伊勢川さん今日はパンなんだね」
可愛らしい笑顔で話す。
「うん」
伊勢川さんはいつも通りに静かに答える。
「……あんぱん」
パンをじっと見つめる宇ノ中さんに伊勢川さんが説明する。
「ぉ〜、美味しそうだね」
宇ノ中さんはニッコリ微笑む。
「宇ノ中さんはウインナーだけ?」
小さなお弁当箱にはタコさんウインナーしか入っていないのを見て、伊勢川さんが問いかける。
「これはね〜、おかず」
「主食はこれ」
そう言って宇ノ中さんが取り出したのは
「とうもろこし」
茹でとうもろこし一本丸々取り出してドヤ顔で叫ぶ。
「ほぅ」
「なかなか攻めたお昼だね」
宇ノ中さんのとうもろこしを見て、伊勢川さんが呟く。
「でしょ〜」
宇ノ中さんはドヤ顔で満面の笑みだ。
「ねぇ伊勢川さん」
とうもろこしを持った宇ノ中さんが伊勢川さんを見て
「とうもろこしって宇宙人なんだよ」
と言い放つ。
「……何言ってるか分からない」
伊勢川さんがクールに返す。
「えとね〜」
「とうもろこしは地球で産まれた野菜では無く」
「宇宙から飛来した!らしいのだ」
目の前にとうもろこしを掲げてドヤ顔する宇ノ中さん。
「どういう事?」
宇ノ中さんの謎説明に伊勢川さんが問い返す。
「とうもろこしは普通の野菜と違って祖先が分からないらしくて」
「原種?は宇宙からこの地球に飛来した植物だと言われているのだ」
「だからとうもろこしは宇宙人!」
宇ノ中さんお得意の謎理論を展開する。
「宇宙【人】では無いと思う、宇宙野菜?」
「というか、宇宙人の宇ノ中さんならとうもろこしが本当に宇宙から来たかどうか知っているんじゃ無いの?」
伊勢川さんが冷静に聞き返す。
「私は地球の歴史、詳しくないからわかんない!」
なぜかドヤ顔で伊勢川さんを見つめる宇ノ中さん。
「そういう所が宇ノ中さんっぽい」
宇ノ中さんを見て伊勢川さんが呟く。
「ニヒっ」
宇ノ中さんは嬉しそうだ。
「さらにね〜」
「じゃん」
再び何かを取り出す宇ノ中さん。
「……それは?」
伊勢川さんが宇ノ中さんに問いかける。
「これは、納豆」
宇ノ中さんは小さなカップに入った納豆を掲げてドヤ顔をする。
「ほぅ」
「とうもろこしに納豆とか、なかなか攻めたお昼だね」
宇ノ中さんのとうもろこしを見て、伊勢川さんが呟く。
「でしょ〜」
宇ノ中さんはドヤ顔で満面の笑みだ。
「ねぇ伊勢川さん」
納豆を持った宇ノ中さんが伊勢川さんを見て
「納豆って宇宙人なんだよ」
と言い放つ。
「……何言ってるか分からない(二回目)」
伊勢川さんがクールに返す。
「納豆菌はね〜、宇宙から来たらしいんだ」
「だから、納豆は宇宙人!」
再び謎理論を繰り出す宇ノ中さん。
「それで本当に来たかどうかは分からない、と」
伊勢川さんが先読みして答える。
「そう!」
嬉しそうにドヤ顔する宇ノ中さん。
「伊勢川さんはパン一個だけ?」
伊勢川さんのパンを見て宇ノ中さんが質問する。
「大丈夫、まだある」
ゴソゴソともう一つパンを取り出す伊勢川さん。
「あんぱんニ個か〜」
伊勢川さんのパンを見てそう言う宇ノ中さん。
「ふっ」
「こっちのあんパンは粒あん」
「こっちのあんパンはこしあん!」
「だから別物なの」
伊勢川さんも謎理論でドヤ顔し始める。
「お〜、美味しそうだね」
笑顔で答える宇ノ中さん。
今日も平和にお昼の時間が過ぎる。




