12話 ゾンビと射撃
「えとね」
「ゾンビと戦うの」
宇ノ中さんは真面目な顔で真っ直ぐ前を見つめる。
「え?」
いつもは冷静な伊勢川さんが珍しく驚く。
「ゾンビって死霊、アンデッドの事だよね?」
そう言って宇ノ中さんを見つめる。
「うん、そうだね〜」
明るく宇ノ中さんが返事する。
「確かにこの世界の文献では、ゾンビの大量発生がままありその際にはホームセンターかショッピングモールに立てこもると聞いた事がある」
伊勢川さんが大真面目に分析を始める。
「と、言うことはこのショッピングモールはもう死霊に囲まれている事になる」
「アンデッドの弱点は聖なる力か、炎」
「私は浄化系は余り得意ではないから使うなら炎ね」
「いざとなればこの間使った地獄の業火で……」
顎に手を当ててブツブツと対策を考えている伊勢川さん。
「ふっふっふっ」
「一番効くのはこれ」
「銃だよ」
宇ノ中さんが亜空間収納から光線銃を取り出しポーズを決める。
「ほぅ」
「銃か……」
大真面目に反応する伊勢川さんに宇ノ中さんがツッコミを入れる。
「いや、本当に戦うわけではないよっ!」
「ん」
「どゆこと?」
伊勢川さんが首をかしげて聞き返す。
再びゲームセンターに戻って来た宇ノ中さんと伊勢川さん。
「じゃん」
「これです」
大画面に銃の付いた筐体の前で手を広げる宇ノ中さん。
「……これは?」
伊勢川さんが宇ノ中さんを見る。
「これは言うなればゾンビ退治シミュレーター?」
「ゾンビを銃で倒すゲームかな」
宇ノ中さんが筐体に付いた銃を手に取り説明する。
「ぁあ、成程」
「対アンデッド用訓練って事かな」
伊勢川さんがそう言って腑に落ちる。
「これやってみたかったんだよね〜」
宇ノ中さんが嬉しそうに伊勢川さんに話す。
「ほら宇宙にゾンビってなかなか居ないから」
宇ノ中さんは伊勢川さんを見ながら説明する。
「確かに宇宙ゾンビは文献でも殆ど見たことか無いかな」
なんだか納得する伊勢川さん。
「まぁ、私の射撃をとくとご覧あれ」
宇ノ中さんがそう言ってゲームを始める。
デデデデデーン
と効果音が流れゲームが始まる。
ゔボアぁぁぁあ
グぁぉぁあぎゃ
きしゃぁぁあ
沢山のゾンビが画面に現れ襲いかかって来る。
タン!タタタン!
バン!
ダダダダ!
宇ノ中さんは華麗な銃捌きでゾンビを次々と倒して行く。
「へぇ〜、凄い」
宇ノ中さんの射撃テクニックに、後ろで見ている伊勢川さんは感心する。
グギョン!
ウびょん!
ちょぇぇぇぇ!
宇ノ中さんは出てくるゾンビをことごとく倒して行き、
テレレレーン!
見事にゲームをクリアする。
パチパチ
後ろで見ていた伊勢川さんは自然と拍手していた。
「凄い、銃の使い方上手なんだね」
伊勢川さんは宇ノ中さんを称える。
「あー、楽しかった」
「昔から銃の使い方はおじいちゃんから習っていたから」
「こういう訓練ゲームは得意なんだ〜」
筐体の銃を構えて決めポーズを取る宇ノ中さん。
「だから光線銃使っているんだね」
宇ノ中さんの決めポーズを見ながら伊勢川さんがそう言う。
「うん、この光線銃もおじいちゃんから貰った物なんだ」
再び亜空間収納から光線銃を取り出して見せる宇ノ中さん。
「そう言えばそのアイテムボックスも、おじいちゃんから貰ったって言っていたね」
宇ノ中さんの亜空間収納を見ながら伊勢川さんが問いかける。
「この亜空間収納の中におじいちゃんの物が結構入っていて」
「それも全部一緒に私にくれたんだ」
光線銃をしまいながら話す宇ノ中さん。
「そっか、おじいちゃんの思い出なんだね」
静かに微笑む伊勢川さん。
「うん」
微笑み返す宇ノ中さん。
「あ〜、いっぱい動いたらまたお腹減ってきちゃった」
お腹をさすりながら宇ノ中さんが伊勢川さんを見る。
「じゃあ、何か食べて帰る?」
伊勢川さんが宇ノ中さんを見ながら話す。
「さっきはたこ焼きだったから〜」
「今度は伊勢川さんの食べたいもの!」
「何かある〜?」
宇ノ中さんは伊勢川さんに質問する。
「……そうね」
「なら、大あんまき」
じゅるりと垂れそうな涎を拭い答える伊勢川さん。
「よし、お店にレッツゴー」
そう言って宇ノ中さんと伊勢川さんは美味しく大あんまきを食べながら帰っていき、うっすらと赤く染まった夕日が二人を照らしていた。




