1話 中庭とベンチ
短編で上げた作品
「宇ノ中さんと伊勢川さん」
の連載版になります。
キーン コーン、カーン コーン
終業の鐘が鳴り響き、ホームルームも終わり生徒が下校を始める。
教室でこの後の予定を話し合ったり、部活に行く生徒もいれば、バイトや塾などの用事でそそくさと帰る生徒も居る。
そんな中、女の子が一人中庭のベンチで座っている。
セミロングの銀髪で後ろ髪を少し結んだ、一見大人しい感じの女の子である。
暫くすると、もう一人の女の子が近づいてきて隣に座る。
隣に座った女の子は金髪にハーフツインで一見元気そうな感じの女の子。
銀髪セミロングの女の子が喋り始める。
「宇ノ中さんは何時も此処に来るよね」
金髪ハーフツインの女の子がそれに答える。
「うん、伊勢川さんが何時も此処に居るからね」
銀髪セミロングの女の子、伊勢川さんが続けて話す。
「クラスに残って駄弁ったりしないの?」
金髪ハーフツインの女の子、宇ノ中さんが答える。
「クラス内に友達居ないからね~」
言いづらいことをさらっと話す宇ノ中さん。
「伊勢川さんこそ、友達とかと遊びに行かないの?」
宇ノ中さんがそう聞き返す。
「……私も居ないし」
宇ノ中さんの方を見ず、伊勢川さんは前を見ながら話す。
「だよね~」
宇ノ中さんも前を見ながらそう返す。
この高校に入学してはや1ヶ月、未だに友達が居ない。
「うちの高校って近隣の中学からの生徒が多くて、すでに友達として出来上がった人ばかりだよね」
伊勢川さんがそう話す。
「そうだよね」
「うちらみたいな別の地域から来た人は別の星から来たか、違う世界から来た人みたいに蚊帳の外って感じで入りづらいし~」
宇ノ中さんは同意して頷きながら話す。
「宇ノ中さんは県外から通っているんだっけ」
伊勢川さんは前を見ながら、宇ノ中さんに話しかける。
「うん、ちょっと遠いから送り迎えしてもらっているんだ」
宇ノ中さんがそれに答える。
「送り迎えってお嬢様か何かかな?」
伊勢川さんが問いかける。
「うーん、お嬢様では無いかな」
宇ノ中さんは口元に指を当てて返答する。
「バスとか電車とかは使わないの?」
伊勢川さんは続けて質問する。
「ちょっと遠くてバスとか電車が通ってないんだよね~」
宇ノ中さんは空を見上げながら腕組みして唸っている。
「大変だね」
伊勢川さんも空を見上げ返事する。
「ねぇ、伊勢川さん」
「私が宇宙人だって言ったらどうする?」
ニヤけた顔で宇ノ中さんが少し悪戯っぽく聞く。
「いきなり唐突に突然だね」
「まぁ、女子高生の会話なんて宇宙人みたいなものでしょ」
伊勢川さんは驚いた顔もせず、手慣れた感じで返す。
「確かに〜」
宇ノ中さんが同意する。
少し間が空いた後、
「じゃあ」
「私が異世界人だって言ったらどうする?」
先程の宇ノ中さんへの返しみたいに少しニヤけた顔で聞く。
宇ノ中さんも少し間が空いた後
「おじさんとかから見たら、女子高生なんて異世界人みたいなものでしょ」
上手いこと返したでしょう、みたいな顔で宇ノ中さんが返す。
「ふふふっ」
伊勢川さんが笑う。
「あははっ」
宇ノ中さんも笑う。
「あ」
宇ノ中さんがそう言うと、ベンチから立ち上がる。
「迎えが来たみたい」
「じゃあ、またね伊勢川さん」
宇ノ中さんは手を振り中庭の方へ駆けていき、
着陸したUFOに乗って帰って行った。
「……」
「……あれで隠しているつもりなのかな」
伊勢川さんは少し半笑いでUFOが飛んでいった空を見上げた。
「まぁ、私も似たようなものだし」
「帰りますか」
そう言って右手を前に出すと魔法陣が現れ、召喚された転移ゲートに入り伊勢川さんは帰って行った。




