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第九話 異世界転移の研究者(2)

 カマルくん特製ポトフを食べた後、またも質問攻めが始まった。

 アークは満足らしく寝てしまった。

 何があってこの世界に来たの?異世界ってどんなところ?なんで冒険者登録しようと思ったの?とか。

 サオリも一生懸命答えてる。あんまり考える素振りを見せていないあたり、質問の予測がついているみたい。

 後から聞いた話、異世界の小説に、カマルくんから質問されることが大体書いてあったらしい。

 それもうこの世界にに来たことある人が書いてるよね??自分が経験してないと書けなくない?

「最後の質問いいか?このくらいにしないと俺が帰れなくなるし」

「あ、はい」

「この世界で何がしたい?エラーラさんが俺を呼んだってことは、何か手がかりを求めてるんだろ?」

 さすがカマルくん。察しがいい。

「日本へ帰りたいです。カマルさんは異世界転移を研究していらっしゃると聞いたので、何か知っていることがあれば教えて欲しいです」

 サオリの雰囲気が急に変わった。カマルくんに質問攻めされて少し困りながらも笑顔で答えたサオリじゃない。

 本気で帰りたいと思っていることがよくわかる。

 それを見たカマルくんも、少し真面目な顔になった。

「なるほど。ニホン……。それはさっき言ってたサオリさんの故郷だな。異世界に帰りたい、か。それについては俺もよくわからん。が……」

 カマルくんはうーん、と悩みだした。あいつに頼るのもなぁ、と。

「どうかしたの? 」

 一人悩むカマルくんに聞いてみる。

「いや、思い当たるやつが一人いるんですけど……でもなぁ……」

 あいつ紹介するのもなぁ、とまた悩みだした。カマルくんがそんなに悩む人、逆に気になるよ。

「教えてほしいです」

「いや、でも……」

「教えてください」

「あいつは……」

「お願いします」

「……わかったよ」

 カマルくんがサオリの押しに負けた。

「カトラーっていうところにエルブっていうやつがいるんだ。そいつも異世界転移の研究をしていて、もしかしたら俺よりも情報を持っているかもしれない。だけど、あいつは女遊びがすごいらしいんだよ……」

 なるほど。教えるのを渋っていたのはそれが理由か。確かに、そんな人のところにサオリ一人で行くのは危険だね。

「だから、俺も行くことにする」

「「え? 」」

 カマルくんの突然の同行宣言に、私は驚いた。だって宮廷の仕事があるはずだから。横を見るとサオリも驚いた顔をしている。

「俺、宮廷魔法使いやめて、今は研究に専念してるんですよ。だから、どこに行こうが俺の勝手です」

 私の疑問を汲んだようにカマルくんは答えた。

 辞めた話全然知らなかったよ……。

「え、でも、いいんですか? 」

「カトラーは隣町だしな。そう長い旅でもない。サオリがエラーラさんに借りた金を返し終えたら、すぐにでも行こう。それに俺も逆異世界転移に興味が湧いてきたし」

 カマルくんがニコッと笑った。困惑していたサオリの顔がぱぁぁぁっと明るくなっていく。

 これで決まりだね。二人で行くなら多分大丈夫。うん。サオリからお金を返してもらって、お別れかな。

「エラーラさん。他人事みたいにニコニコしてますけど、あなたも一緒に行くんですよ? 」

 出会ったばかりだけど寂しいなぁ〜なんて考えていたところに、カマルくんからの急な爆弾投下。え?私も行くの?

 サオリもエラーラさんも来てくれるなんて、心強いです!と言って、私が行く前提だ。

「私行くって言ってない……」

「拾った飼い主がついて行かないとは……。ここまで餌付け同然のことをしておいて急に手放すんですか? 」

 うぅ。反論のしようもない。渋々、私も同行することを了承した。

 もうすぐ門が閉まるということで、カマルくんは街へ帰っていった。カマルくんの持ってる情報は、また明日持ってくるらしい。

 特にやることもなかったので。私たちも寝ることにした。

 私は自分の寝室で、サオリは客室で寝ることにした。最初、サオリは床で寝ると言っていたけど、使ってないベッドがあるから使ってほしい、というと申し訳なさそうに了承してくれた。

 ベッドに入って今日あったことを思い返す。なんだか、長い一日だったな……。

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