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第十一話 出発と初めての討伐

 昇格祝いパーティから一週間。ついに旅に出る日が来た。

「カトラーまでは一週間ほどかかる。ゆっくり歩いていこう」

 カマルくんの号令で、旅は始まった。

 隣町だからそう遠くはない。けど王都であるこの場所からカトラーまで行く人は少なくて馬車がないから、歩いて行くしかない。馬車とかで行けたら三日ほどで到着するんだけどね。

『おい、寝心地が悪い。もっとマシな歩き方をせんか』

 流石にアークを一人にすることはできなかったので、私のカバンの中に収まっている。……文句の多い猫だこと。

「アーク様〜。俺が抱っこしますよ〜? 」

『いらん。お前には抱かれたくない。抱くついでに我のことを吸うではないか』

 できればカマルくんの申し出を受けて欲しかった。重いんだもん。

「そういえば、異世界転移って通常、何十人もの魔法使いが集まって儀式を行うものなんですよね?エラーラさんたちは携わったあるんですか? 」

 アークとカマルくんのやりとりを苦笑いで見ていたサオリが話を変えるように言った。

「ないな。俺はまだ下っ端と言えるくらいの年齢だし、携わるには魔力が足りん。エラーラさんならもしかしたらあるかもしれないが」

「ううん。私もないよ。何度か儀式が行われていたのは知ってるけど、研究分野がそもそも違うし。呼ばれたこともあるけど全部断った。ちょっと怖いなって」

「なるほど……。儀式がどんなものなのか見てみたいなぁ。エラーラさんって、なんの研究をしてるんですか? 」

「薬草と魔法生物だよ。そういえば言ったことなかったね」

 薬草採集には一緒に行ったものの、それ以外に研究に関わるような情報は確かになかったかもしれない。

 あんまり誇れるような研究でもないし……。

「てことは、エラーラさんは薬が作れるんですか? 」

「うん。ただ、ちょっと古い作り方だけどね」

 サオリに返すと、カマルくんが話しだした。

「エラーラさんはすごいんだぞ。古いなんて言ってるが、その作り方ができるのは今はエラーラさんしかいない。それに、ちゃんと新しいやり方で作ることもできる。あまり作っていないが」

 すごく褒めてくれる。けど長く生きてるから作れるだけであって、カマルくんと同じ人間として、同じ時期に生まれていたら絶対にできなかった。あと、この作り方ができる人は私だけじゃなく、私の師匠もいる。まだご存命だから。

 そんな話をしていると、アークがお腹が空いたと言いだした。

 ちょうどお昼時のようだったので、近くの休めそうなところで休憩を取ることにした。

 お昼ご飯は干し肉と硬いパン。遠出する時の定番だね。あんまりおいしくはない。

 サオリもなんとも微妙な顔をしている。カマルくんは……無だ。顔から感情というものが全て消え去っている。

 美味しいと思っている人はいないね。うん。

 ご飯を食べて、しばらく休憩した後、また歩き出した。


 しばらく歩くと、景色が草原から森に変わった。

 ここからは魔物が出るかもしれない。危険ゾーンだね。

「待て」

 前を歩いていたカマルくんが止まった。後ろでおしゃべりをしながら歩いてた私とサオリはぶつかりそうになる。

「どうかしました?……あ」

 サオリは何かに気がついたらしい。私も二人の視線を辿る。そこには、丸い鼻に短めの耳。体に鎧のようなものを付けた大きな何かが十体ほどいた。

「オークの群れだな」

「オーク……!本当に豚みたいなんだなぁ……」

「「ブタ?」」

 私とカマルくんの声が重なる。サオリは異世界の動物だと説明してくれた。飼育して食べるらしい。

 冒険者という職業がないと言っていた時の謎が解けた。肉を育てるのね。

 なるほど、と感心しているうちに私以外の二人は臨戦体制に入った。

「ここに居座られても迷惑だしな。さっさと片付けよう……大丈夫ですか?エラーラさん」

「あ、うん」

 私も杖を持ち、戦う準備を整えた。

 カマルくんが魔法を放ち、オークたちの気を引く。それと同時にサオリが剣でオークに切り掛かった。私とカマルくんでサオリを援護し、戦いは無事終了した。

「ふぅ。なんとかなりましたね」

「サオリさん、強くなったな! 」

 カマルくんの言う通りだ。今回は数が多かったが、オーク一体なら私とカマルくんの援護射撃なくても簡単に倒せそうだ。最初はゴブリンを倒すのにもだいぶ苦戦していたのに。冒険者の依頼をこなしているうちに慣れていったのかな。

 オークは分担して異空間収納に入れて、カトラーまで持って行って、向こうの冒険者ギルドに下ろしてお金にしようという話になった。

 こうして、パーティ【サクラ】としての初めての討伐は終了した。

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