第十話 旅の準備
次の日から、サオリは冒険者ギルドの依頼をこなし始めた。
最初は薬草摘みから。これは私も一緒にいった。薬草摘みに行ったことを忘れてたもんね。
カマルくんもなんだかんだ手伝ってくれている。
なぜかって?サオリに敵を倒す術がなかったんだよね。一応剣術ができるみたいだけど、剣を買うお金もサオリにはないわけで。私が出してもサオリの借金が増えるだけだから、魔法を教えることになった。
最初は私も教えてたんだけど……。
エラーラさんの教え方は全くわからないです。(カマルくん)
エラーラさんは天才肌ですね。(サオリ)
というふうに酷評だったので、眺めて、たまーに助言をするだけになった。
なので、私の仕事はサオリの成長を見守ることと、家事(料理以外)となった。
料理はみんなに振る舞ったけど、カマルくんが笑顔で僕が作ります!と申し出てくれたので、そちらに任せることになった。
たまにサオリが異世界の料理を出してくれる。食材が似てるから覚えてるものは作れるらしい。すごく美味しい。
それから、私とカマルくんは冒険者登録をすることになった。これは旅の準備だ。別に一回くらいなら門をくぐるのにお金払っても問題ないかなと思ったけど、何度も往復することになるかもしれないし、お金稼ぎができるからいいだろうということで、了承した。
血判はカマルくんにやってもらった。すごいよ。人の指に躊躇なく針を刺せる人って。
サオリも一緒にいたんだけど、別のことにびっくりしていた。
「人を刺した針を使い回すんですか……?衛生面……」
って言ってた。なんでも、血を媒介して感染する病気があるらしい。異世界では、感染を防ぐために針は使い捨てなんだそう。
なにそれ怖い。もう血判やりたくない。
まぁ、それは置いておいて。アイアンランクのみはパーティを組めないらしいので、私とカマルくんはさっさとカッパーランクに上がることを目標に、サオリは魔法になれることを目標に各自で依頼をこなした。
結果、私とカマルくんはなんとギルド最速でカッパーランクに昇格した。まぁ、スライムとかゴブリンとかの討伐で、そんなに難しいものじゃなかったしね。
ここで私たちはパーティを作った。パーティ名が必要だったから、サオリの提案で【サクラ】となった。異世界の花らしい。
「桜は私を元気にしてくれる花なんです」
とのこと。
他の案もなかったのですんなり決まった。
その後、サオリも遅れてカッパーランクに昇格。この頃には魔法にも慣れて、火、水、土、風、雷魔法の基本的な技は全て習得していた。無詠唱で。
魔法の練習を始めたばかりの頃は詠唱をするものなんだけど……これに関しては私が最初から無詠唱を教えてしまったのも悪いかな。けど、普通は無詠唱で教えたからって、習得できるものじゃない。
宮廷魔法使いになってから教えられるようなもので、魔法学院なんかでは教えてくれないらしい。私は学校とか通ってなかったからよくわからないけど。宮廷魔法使いになる頃には無詠唱魔法を扱えてたし。
サオリは異世界の小説に無詠唱のやり方書いてあったんで、と少し照れていた。
異世界の小説の内容は本当にすごい。本当にこの世界に来たことがある人が書いたとしか思えない。
けどそれにだいぶ慣れてきている自分がいる。サオリがこの世界では難しいことを難なくこなし始めたら、あ、異世界の小説の知識だなってわかるようになってきたもん。
サオリがカッパーランクに昇格してから一月くらいたったころ。サオリはついに借金を全額返済した。
その頃には私とカマルくんは1番上のプラチナランク、サオリはカッパーランクから一つ上のシルバーランクに昇格していた。
サオリがカッパーランクに昇格した時に、カマルくんと相談してサオリ用の剣を作ったんだけど、シルバーランクに昇格した頃には、その剣に魔力を乗せて剣術と魔術を融合させた技を身につけていた。
もう怖くて聞けないけど、多分異世界の小説で学んだんだと思う。うん。
「一週間後、カトラーに向けて出発しよう。それぞれ、準備しておくこと」
サオリのシルバーランク昇格祝い兼借金返済祝いのパーティ中、カマルくんが言った。
初めて出会った日から二ヶ月とちょっとくらい。ついに旅に出る準備ができた。




