猫の裁判長の嘆き
猫の裁判長は、書面に目を通しため息をついていた。
嘆かわしい!実に嘆かわしい!
野良猫を何だと思っているのだ!
野良猫はゴミではない!
人間たちは、傲慢である。
致し方ない、裁判を!
猫の裁判長は、ギロリと黄色い目を動かし猫の事務官に指示を出した。
はい、直ぐに裁判の準備を!
猫の事務官は、長く垂れ下がったメガネチェーンを揺らしながら、慌ただしく部屋を出ていった。
猫の裁判長はゆっくりと裁判の黒い服に着替え、長い廊下をギシギシと歩き、法廷へ向かう。
部屋に入ると、先ほどの猫の事務官が右に行ったり左に行ったりしながら書類やなにやらを配ったり床に落としたりしバラバラに散らばった書類を側にいる猫の書記官と拾い集めたりして準備が慌ただしくされていた。
猫の裁判長が席に着くと、猫の事務官、猫の書記官、猫の民生委員たちが各々の席へ座りぺちゃくちゃと話声が騒がしい。
猫のガベルをカンカン打ち猫の裁判長は叫んだ
静粛に!静粛に!
皆、話すのをやめて静かになった。
今から猫の裁判を開廷する。
猫の事務官議題となる文章を読みなさい。
猫の事務官は、立ち上がり、メガネの位置をなおしながら書類を持ち上げか弱い声で読み始める。
山の寺8丁目567番地に住んでいる田之上家において、5年前から猫の多頭飼育が発生しています。
猫は、なかと外が出入り自由になっており、飼い主がエサだけを与え、不妊手術をしないため、
最初は2~3匹だった猫が今では45匹まで増えてしまい、多頭飼育崩壊の状態に陥っている。
しかも現在身ごもっている妊婦猫が多数いるとの報告を受けました。
ねこたちは空腹でゴミ置場のゴミを漁りますが、近所の住人たちは、棒やホウキでねこたちを叩き暴言をはいて、、猫のなかには負傷したものもいるもよう、、
罪名罰上 飼い主による無責任飼育による多頭飼育崩壊
近隣住人による暴言、暴行罪
法廷のあちらこちらで、猫の民生委員たちのどよめきとすすり泣く声が聞こえ始める。
読み上げた猫の事務官も涙をハンカチで拭きながら、鼻をかんでいる。
猫の書記官もタイプライターを打ちながら目に涙をためている。
猫の民生委員の一人が呼ばれ証言台に立たされた。
私たちと
同じ猫の同胞たちが、お腹をすかしてノミやダニだらけになりながら、
飲み水も与えられず、飼い主からはたまに安いキャットフードか残飯が与えられますが、一部の猫しか食べられず、
必死に生き抜いております。
どうか、ねこたちを助けてあげてください。
周囲からは怒りにみちたねこたちの声が次々とわきあがっていた。
猫を馬鹿にしている!
我々は、野生動物ではないのだぞ!
人間は、何をしているのだ!
人間が我々猫を野良猫にしたのだぞ!
ふざけるな!
我々は、人間の側で生きる動物であり、保護され生きる動物なはずだ!
外の何処にトイレがあるのだ!
私たちを苦しめていることに、人間たちは気がつかなければいけない。




