表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/59

ドラゴネシアに帰る前に

お読みいただきありがとうございます。

投稿してポイントが1000超えた事に驚きと感謝ばかりです。

そこで、ドラゴネシア領に行った後のヴェリカとダーレンの新婚生活を投稿していきます。

 ドラゴネシア領主のダーレンは、ヴェリカを奪還したばかりのその後、やらねばならない事後処理が意外にも多くてうんざりしていた。


 自分は妻となった女性との時間が少しでも欲しいというのに、ドラゴネシアから連れて来た四爺と呼ばれる側近共は、レティシアの父を入れた五爺となってドラゴネシア伯爵家の庭でパーティを開いて出来上がっている。

 そこでダーレンは弟分に自分の仕事を振り分けることにした。

 しかしリカエルは恋して一夜を共にした女性に袖にされたばかりだからか、ダーレンに対して反抗的で、愛が重い奴だとダーレンを罵るまでした。


「――女に凄いねって言って欲しいために、ドラゴネシアの馬車を使ってドラゴネシアに帰還する? 頭は大丈夫ですか?」


「ヴェリカの家は風雨を防げない有様でね、館の中身を今すぐに移動しなきゃいけなくなったんだ。あれは馬鹿みたいに大きい。大丈夫だろ?」


「――俺が昨夜ヴェリカを送り、その後に花嫁衣裳を持って行ってやった時も、屋敷は風雨を防げる状態でしたよ?」


「ああ。今朝壊したんだよ」


「ちょと待って。貴族街の貴族のタウンハウスを壊した? そんなことして、ドラゴネシアは、いや、あなたは大丈夫なんですか?」


「ああ。ちゃんと四爺じゃなく、王宮の近衛騎士達を連れて行った。砦落としの実技演習で嫁の実家が協力してくれた、という事でクラヴィス王には話を通してある。馬車も動かす許可は取ってあるから心配するな」


「心配どころか、このど阿呆が!!ドラゴネシアを落としたいクラヴィスの精鋭に、どうして砦落としなんて教えるかな。ドラゴネシア落としたいんですか!!」


「ハハハ。ギランはうちの子になりたいらしいから大丈夫だろ。それで、ついでで申し訳無いが、ヴェリカは着換えも何も無いからな、適当に必要なものも見繕って用意してくれないか?」


「捧げ物は自分で動いてこそでしょう? 俺に何だって頼り過ぎじゃない?」


「俺が動けないんだから仕方が無いだろ」


「あの腹黒と乳繰り合いたいからですか? 我らがドラゴネシアの王がこんなにもハニートラップに弱かったとは!!」


「アホ抜かせ。当主として俺がこっちにいるうちに、グラターナ侯爵家に引導を渡してやらなきゃだろうが」


「レティシアの婚約破棄を社交欄に広告出す手配は、俺が既に新聞社に手配済ですから大丈夫です」


「契約破棄について細かいことは、あっちと同じ爵位の俺が、あっちの当主に睨みを効かせながら話し合わねば、だろ。ヴェリカに必要なあれこれは彼女の親友の針子に協力を求めてくれ。その針子に店を持たせるための手配もお前に頼む」


 リカエルはきゅっと口を閉じると、軽く頭を下げた。

 完全に臣下の礼であることで、ダーレンが弟分の恋を自分も応援しているとリカエルは気がついてくれたのだとわかった。


「街に出るついでに、アランの借金の一本化も俺がしておきます。それで、一番利子が高く、取り立てが厳しい奴に売りつけてやりますよ」


 今度はダーレンの方がリカエルに臣下の礼を取りそうになった。

 ダーレンの表情に少々の驚きが現れていたからか、顔を上げたリカエルが小首を傾げる。


「こっちはもう手配済みでしたか?」


「いや。俺はグラターナ侯爵にレティシアへの慰謝料は勿論だが、アランとの縁切りか海軍への売り飛ばしを選択させようと思っていた。だが、そっちの方が陰険で怖い手だなって純粋に驚いたよ。君とヴェリカは発想が似ているな」


「何を言ってんですか。腹黒と同じ思考回路とは失敬な!!あなたの方がおっかないですよ。役立たずはぶち殺されて海に投げ捨てられる海軍行きの方がやばいですって。その提案は、暗にアランを殺せってグラターナ侯爵に言っているも同じですから」


「そうか? まあ、アランを殺してくれる甲斐性があったらグラターナ侯爵を見直してやるけどね。じゃ、俺は行ってくるから後は頼む」


 そうしてダーレンは心置きなくヴェリカを連れてドラゴネシアに帰るために、その日を入れて二日しかないというのに王都内を動き回った。

 この時にヴェリカを王都の劇場や、それなりの上流貴族の夜会に連れ出していればと、その時のダーレンが気がつくはずは無い。

 ダーレンは戦場の鬼かもしれないが、結婚生活については無知極まる初婚の花婿でしか無いのだから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ