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廃村場末の純金少女  作者: 朝倉春彦
Chapter2:大地に縛られし少女
22/23

1.1.2.廃都市 -3-

 "合ってるぜ。随分と忙しそうじゃねぇの”


 ハンドラーからの連絡にホッとしつつ、憎まれ口を叩く俺。ハンドラーはそんな俺の返答を鼻で笑うと、いつものように乗ってこず、機械的な電子音を脳に響かせた。


 #>ドコニイル?ソコハ、マダ入リ口カ


 ”あぁ、デカブツとやりあったせいでな。アンタも俺の眼を通してみてたろ?”


 #>アァ、ソッチノコトハ、モウイイ。金ニナッタ


 "こっちのことは金にすらならなそうな言い草だな”


 #>カモナ。ソコカラ真ッスグ、大通リヲ進メ。タワーガ見エル


 ハンドラーは俺の軽口に反応せず、淡々と話を進めていく。ハンドラーに言われて、俺達の歩いてきた通りをチラリと見やれば、外は再び分厚い雲に覆われて、ポツリポツリと雨が落ちてきた。


 "タワーねぇ”


 #>着イタラ連絡シロ


 "待ってくれ。何があったかだけ教えてくれよ”


 一方的に通信を切ろうとしたハンドラーに問いただすと、若干の静寂の後で、電子音が不規則に聞こえ始める。


 #>【ソーサ】ノ大群ダ。8割消耗。タワーヘ急ゲ


 手短に発された言葉。俺は口笛を吹いて、腰にぶら下げたレーザーガンを取り出した。さっきの日差しで充電はされたが…満タンにはならず、8割少々といったところ。レーザーガン以外に得物がない今、ハンドラーの指示に従えばどうなるか…俺たちの未来が容易に想像できてしまう。


「ヤナギン。ハンドラーはなんて?」


 俺の様子を見て何かを察した様子の舞波が訪ねてくる。俺はレーザーガンをホルスターにしまい込んで立ち上がると、小さなため息の後で、ハンドラーの指示を舞波に告げた。


「通りを真っすぐ進み…見えてくるタワーへ行け…だとさ。先発隊がソーサの大群とやりあってるらしい」


 ・

 ・


「ソーサってことは、初めて会ったときに見たロボットだよね」

「そうだ。あの日見たのは狭い場所に向けて作られた小型な個体…」

「じゃ、ここにいるのはもっと大きい個体か」

「そういうこと。それの大群とやりあってんだ。どういうオチか想像できるだろ?」

「察せてしまったよ。でも…それじゃ、僕たちが行っても意味ないと思うんだけど?」

「あるんだなぁ…これが」


 再び元居た通りに戻って、まだ見えぬタワーへ向けて歩き始めた俺達。舞波の当然すぎる問いに、俺はガックリと肩を下げてこう答えた。


「ソーサの大群が、地下都市近くのこの場所に大勢居るんだぜ。となれば…」

「ここから先はもう…向こうの手に落ちている…と?」

「そうだ」

「……そういうなら、僕のところにも来たじゃないか。1体だけだけど」

「あぁ、1体だけな。通常は、ああやって【捨て駒】みたいなのが来て安全確認をするんだ。そこから、奴らは群れを成してやってきて、土地を確保する」

「ふむふむ?」

「それなりに金も物資もかかるんだろ。群れってのは、滅多に見ないんだ。ソーサの連中が仕切ってるビル群の近くくらいか。それがこんな所に居るんだぜ。悪いニュースだろう?」


 余り説明が上手くないきがするが…それでも舞波は俺の言いたいことを理解してくれたようだ。コクコクと頷いた舞波は、すっと眼前に手を上げて俺の言葉をまとめてくれる。


「僕たち…いや、あの地下都市にいる者たちの陣地は…もはやあの周りしかないと」

「そうだ」

「彼らが多くの土地を支配下に置いていたとなれば…あの場所にもやってくるだろうね」

「そうだ」

「そうしたら…戦争というよりは、蹂躙が始まってしまいそうだな」

「そうなるだろうよ」

「確かに悪いニュースだ」


 舞波はそういって、くるくると手を回す。何かを考えながら話している様子の舞波…彼女はくるくる回していた手をピタリと止めると、マスクに覆われた顔をこちらに向けて、こう首を傾げて見せた。


「ハンドラーはなぜそれをこの期に及んで知らなかったのかな?」



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