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廃村場末の純金少女  作者: 朝倉春彦
Chapter2:大地に縛られし少女
20/23

1.1.0.廃都市 -1-

「案外、スムーズに来れちゃったね」

「当たり前だ。あんなんが日常なら、とっくに俺達は絶滅してるぜ」


 雨の中、ぬかるんだ廃道を歩いて暫くして…ようやくたどり着いた廃都市の光景を見て言葉を交わす。


「今日の目的地…といったところかな」

「そうだな。ハンドラーが俺達に何をさせる気かは知らないが」

「発掘作業じゃなかったっけ?前時代の遺物だか…」

「あぁ、そうなんだが…まずは、先発隊を探さねぇとな」


 "おい、都市についたの知ってんだろ?出迎えてくれたっていいじゃねぇの”


 都市に足を踏み入れて、最初にやることは【人の捜索】。話によればこの都市を見つけた連中が安全な場所を確保しているとのことだったが、妙なことにハンドラーからの通信が途絶えていた。


 "…ハンドラー?…おい、ハンドラー?”


「ハンドラーめ、返事を返さねぇ」

「なんか、一波乱ありそうだね」

「あぁ、あっても俺は何も出来ねぇぜ?この雨でレーザーガンの充電が溜まんないんだ」

「建物の中とかだったら…僕も無理だなぁ。まだ、自然と同化してないから」


 嫌な予感をひしひしと感じながら都市の中を歩き回る俺達。舞波の居た廃村ほど自然と同化していない廃墟達。一見すれば綺麗にして住めちまいそうな様子にみえるのだが…


「気をつけろよ。いつビルが崩れっかわからねぇ」

「そうだね」


 長年放置されていた建物程怖いものはないだろう。左右に見えるビルの柱に刻み込まれた深い日々を見て背筋を冷やす。まだ都市に入って少ししかたっていないが…先発隊の痕跡は、どこにも見当たらなかった。


「せめて死体が転がってりゃ、何かがあったって思えるのによ」

「縁起でもない。そんな状態なら、堂々と道の真ん中歩くかい?普通」

「端を歩いて崩落に巻き込まれたかねぇからな」


 舞波と軽口を交わす最中。ちょうど、俺が危惧していたことが目の前で起きる。


「……」「……」


 少しばかり地面が揺れたかと思えば、目の前…道路を渡った先に建っていた小さいビルがミシミシと音を立て、あっという間に崩落したのだ。


「く…」「…むぅ」


 あっという間の出来事。マスクを被っていなかった舞波は素早く俺の背に隠れたかと思えば、マスクをつけてひょっこり隣に戻ってくる。


「埃がすごいね!」

「雨でもお構い無しだわな」


 まだパラパラと音を立てている崩落現場を前に呑気な俺達。舞波はジッと崩落したビルの方を眺めると、何かを思いついたかのような素振りで俺の方に顔を向けた。


「どうかしたか?」

「いや、先に来てる人達…もしかしたら瓦礫の下なんじゃないかって思ってね」

「よくない想像だが…」


 舞波に言われて、周囲を見回して…崩落したビルがチマチマ目につくのを見て、俺は納得したように頷いて見せる。


「当たってるかもな」

「当たってたところで、僕たちにできることは無いけどね」

「あぁ」

「ハンドラーと連絡がつかないのも、何かあってそっちに回ってるからでしょ?」

「おそらく。でもよ、俺達以外に気配すらねぇんだぜ。何かがあるまでは、まだまだ先だ」

「歩けばいいのさ。ヤナギン、もしかして疲れちゃった?」

「全然」


 そういって、再び足を踏み出すと、上空に居座っていた分厚く黒い雲が僅かに移動し始めたような気がした。


「天気は回復傾向だね」


 同じことを思ったのだろう。舞波が空を見て機嫌よさげにそう呟くと、さっき付けたマスクを外して素顔を晒す。


「廃墟になった未来都市。なんだか楽しくなってきたよ」


 そういって俺の少し前を歩く舞波。俺は周囲への警戒を怠らず…それでも、舞波の言葉に苦笑いを浮かべつつ…俺たちはゆっくりと都市の中枢へと足を進めるのだった。


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