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廃村場末の純金少女  作者: 朝倉春彦
Chapter2:大地に縛られし少女
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1.0.6.外界の開拓者 -4-

「なんとなく、こんな気はしてたんだ」

「雨だねぇ…どうしようもなく雨だ。それに霧が深い。大丈夫なの?迷ったりしないかな」

「大丈夫だ。その辺は…俺の脳内にこびりついた奴がしっかりしてるんでな」

「そう。ところで…乗り物は無いのかい?車とか、飛行機とか…そういうの」

「無い。その手の機械は全部お上の方々が持って行った。歩くしかないぜ」

「ふーん、彼ら、随分良い趣味してるんだね」


 明くる日。俺は約束通り舞波を迎えに行って…地上へ出てきた。地下の蒸し具合と、ヤケにマスクが曇ることから天気はお察しだったが…外はジメジメした雨模様。エレベーターを覆う小屋の中から、悲しい空模様を見てため息をつくと、付いてきた舞波も似たようなため息をついていた。


 #>少シハ素直ニ褒メルコトハデキナイノカ


 "無理なの分かってんだろ。で?何処へ向かえばいい?”


 #>南ダ。先行隊ガ新タナ都市ヲ見ツケタ


“どんだけ遠いのよ?”


 #>山ノ上ノ廃村ヲ往復スル程度カ


 "遠いねぇ…”


 地上まで出てきたところで、ようやく今日の仕事が割り振られる。俺はハンドラーから支持を受けて、俺たちが向かうべき方向に目を向けると、その道は、すっかりぬかるんでいて…あと少しで川になりそうだった。


「最初からキツイ仕事振りやがる。舞波、そっちにずっと歩くのが今日の仕事だ」

「…川を歩けと?」

「そ、普段は砂利道なんだがな。ま…デカい水たまり…ブーツに染みねぇから安心しな」

「ふむ…それなら大分楽だけど。しかし凄いねこの防護服。こんな薄手なのに機能十分だ」


 舞波はそういいながら、俺より先に小屋を出て俺の方へ振り返り、空から落ちてくる雨を手のひらで受けて首を傾げて見せる。今の彼女の恰好は、まんま俺と同じ。防護服にマスク姿…可愛げの一つもない恰好をした彼女の仕草に、俺はクスッとマスクの中で笑って見せると、舞波に続いて小屋の外へと足を踏み出した。


「この水も危ないんだろうね」

「勿論。俺が素肌で触れれば…少し経たねぇ間に体壊すだろうな」


 言葉を交わしつつ、まだ見えぬ目的地の方へと足を動かす俺達。


「あの部屋で何度も雨の日を過ごしてたんだけど、何の影響も無かったけどね」

「ありゃ、あの体だったからだろう?今は素体…俺と同じ体質なはずだぜ」

「そうかな。僕、昨日、何も飲み食いしていなければ…寝てすらいないんだけどね」


 歩きだして早速。舞波の口からとんでもないことが告げられる。昨日、ローザの店に行ったついでに、舞波のもとを訪れてその辺を工面できる程度の金は落としてきたはずなのだが…


「……マジかよ」

「大マジさ。僕、どうも人じゃないとしか思えなくってね」


 呆気に取られる俺に、飄々とした様子の舞波。


「だから、昨日貰ったお金。ヤナギンに返すよ」


 彼女はポンポン!と防護服のポケットを叩いてそういうと、俺はいよいよ気の抜けた返答しか返せない。


「…あぁ、そいつはありがたいが…」


 どことなく締まらない感じ。なんとなく、ダサい気がする感覚。そんな感覚に包まれながら、雨の外界を歩いていると、不意に道脇の茂みがガサガサと音を立て始めた。


「……?」「……」


 雨とも風とも違う、何かがいるとハッキリ分かる音。舞波は僅かに身を縮ませて俺の腕に寄り添ってきて…俺は音の方をジッと見つめて、音の主が何なのかを探ろうとする。


「ねぇ、ヤナギン。この世界にも、人と対峙する動物がいたりするのかい?」

「そういうと、舞波の世界は、人と友好的な動物が居たみたいな言い分じゃねぇの」

「……」「……」


 ガサガサと音が聞こえる中で、噛み合わない常識。舞波は俺の答えを聞いて、更に俺への依存度を高め…俺は腰に下げたレーザーガンに手を伸ばした。


「舞波、ちょっとだけ俺の後ろに居てくれないか」


 そういって舞波を俺の背中側に誘うと…


 キシャァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


 金切声の様な、甲高い叫び声がマスク越しに耳を劈き、俺達の体躯の5倍以上はあるであろう巨大な四足歩行動物が茂みから姿を表した。


お読み頂きありがとうございます!

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