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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅲ
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1

 新卒で入社して10年以上経つのに、出世できないこと。33歳の時に婚約破棄し、2年間婚活しても未だ35歳独身であること。これが私、赤池梢(あかいけこずえ)の悩み事だ。


 仕事については同期の伊沢勇(いざわいさむ)は他部署でチーフとして活躍しており、もう1人の同期である亀野奈津美(かめのなつみ)もそろそろ役職につくだろうという噂が出ている。しかし私は未だに出世できない。大きなミスをしたことはないけれど、大いに活躍したわけでもないので、しがない一般社員のままだ。仕事が続かない人にはなりたくないので今の職場にしがみついていたけれど、実は今の仕事が合っていないのではないかとすら思っている。しかし今から転職活動しようにも、スキルなし・資格なしの35歳を誰が採用するのかという話だ。出世できなくてもいいから今の職場に居続けるか、転職してみるか。その2択で揺れ動いている。


 結婚については、33歳の時に婚約破棄を経験した。元婚約者はいわゆるマザコンで母親の影響を受けやすく、別れ話の時も「ママが結婚ダメって言うから」と言っていたのを思い出す。そんな理由で婚約破棄されても納得できないので、弁護士を経由して元婚約者に慰謝料を請求した。すると元婚約者も弁護士を立ててきて、「赤池氏にも問題があり、正当な理由での婚約破棄なので、慰謝料の支払いには応じられない」と回答(回答書には虚偽の内容が記載されており、元婚約者と母親が結託しているのが明らかだった)があったのだ。

 しかし私が相手とのLINEのやりとりという証拠--相手が「ママが結婚ダメって言うんだ。だから結婚やめたい」と言っていた--を持っておりそれを元に反論すると、一転して支払いに応じると言ってきた。そこで元婚約者から慰謝料をたんまりもらい、慰謝料を婚活費用に充てたのである。大手結婚相談所に登録し、婚活パーティーにも足繁く通った。マッチングアプリは時間の無駄になりそうなので、最初から除外する。

 そこで早速婚活を始めてみるも、なかなかうまくいかない。子どもがほしくて婚活している男性が多く、私が35歳と知ると難色を示されることがよくあった。男性が回転寿司のように席移動する半個室の婚活パーティーでは、同年代の男性から「え、35歳? 売れ残りのおばさんじゃん。20代の若い子が良かった」と面と向かって言われたこともある。そのパーティーは27歳から37歳ぐらいまでが対象なので、35歳の私と結婚するくらいなら20代の若い女性の方が良いという気持ちも頷ける。

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