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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅱ
8/11

4

 それからはホテルにチェックインし、室内のプールで泳いだ。沖縄に来て、名古屋での喧騒を忘れることができている気がする。私以外にも1人旅の女性が2人いて、彼女たちと同室になった。

 夜になり、彼女たちと語り合って意気投合する。大学生の凛ちゃんは就職活動のことで悩みがあり、もはや就職活動する意味すら見失っているという。

「航空業界とか旅行業会をメインに受けてるんですけど、どこも一次面接で落ちちゃって……。なんかもう就活する意味すらわからないし、私も社会人になれるのか不安で」

そう話す凛ちゃんに、私はやりたいこととやりたくないことを訊いてみた。やりたいことは英語を使う仕事で、やりたくないことは営業やノルマのある仕事だとのこと。それなら留学経験を活かして留学したい人をサポートする仕事はどうかと訊いてみると、凛ちゃんは考えてみると言ってくれた。

 一方で30代半ばの梢さんは出世を同期に抜かれそうなことや、婚活がうまくいかないという悩みを話してくれる。私も拓也の前に付き合っていた人と別れてアプリをしたけれどうまくいかず、ヤケクソで参加したパーティーで拓也と知り合って付き合いだしたと話した。結局その拓也とも別れたので、こうして1人旅しているとも。

 拓也と別れた経緯を話し、「なんで世の中、こんなにクソ男が多いんだろうね?」と語り合った。ママが結婚ダメって言うからと婚約破棄するような男も、婚活パーティーで梢さんが35歳だと知るや否や失礼なことを言ってくる男も、梢さんみたいな人にはもったいない感じがする。梢さんならもっといい人と出会えそうなのに。私はそう思っていた。

 拓也の人となりを私から聞き、2人とも本気で怒ってくれたのだ。

「なにそいつ、クソ男じゃないですか! 浮気する人といづみさんが一緒にならなくて良かったです」

「そんな器のちっちゃい男、結婚しなくて正解ですよ」

見ず知らずの初対面だったけれど、彼女たちにこう言ってもらえて私の心は軽くなった。



 そうこうしているうちに旅行最終日となり、私は2人と連絡先を交換する。名古屋での日常から離れて、私は本当は何がしたかったのだろうと真剣に考えた。結婚したいのではなくて、海外に移住してみたいという自分の本当の気持ちに気づいたのだ。那覇空港で名古屋行きの飛行機を待つ間、私は海外留学についての資料請求をした。いくつか資料を取り寄せてみて、どこで何をしたいか考えてみようと決意する。

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