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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅱ
7/11

3

 田崎くんは一通り私の話を聞いてくれ、「今日は長坂も帰りたくないだろうしうち来る?」と訊いてきた。さすがに彼女か奥さんいたら悪いよと断るも、俺は彼女なし独身だから問題ないよとのこと。お言葉に甘えて、田崎くんの家に泊まることにした。もともと明日は有給休暇を取っていたのもあったからだ。

 田崎くんの家に着き、「膝から血出てる。さっきこけたときのケガ?」と訊かれる。多分そうだと思うと答えると、田崎くんは律儀にも手当てしてくれた。

「それくらい自分でやるしいいよ」

私は断ったけれど、田崎くんは「俺がそうしたいからしてるだけ」とのこと。それからは田崎くんと紅茶を飲みながら語り合う。飲み終わったコップを洗い場に持って行こうとした時、田崎くんに後ろから抱きつかれる。そして、耳元でこう囁いた。

「俺、実は長坂のことずっと好きだったんだ」

その後も田崎くんからのスキンシップが続き、私も嫌ではなかったので受け入れる。田崎くんに隅から隅まで触れられ、女としてどこか自信が持てた気がした。田崎くんが沈み込んできた際も嫌だとは思わず、むしろ心地良かったのだ。

 終わった後は田崎くんと同じベッドで寝る。しかしいつまでも長居するのは良くないという気持ちもあり、翌朝私はテーブルにメモを残して始発の電車で自宅に帰った。拓也がいなくなった分、家は広くて快適だ。しかし冷静になって考えてみると、私は本当にこうしたかったのだろうかと考えてしまった。田崎くんのことは嫌いではなかったけれど、付き合ってもいないひととこんなことして良かったのだろうかと。


 ふと思い立ち、私はスマホのアプリで貯金残高を確認する。拓也と結婚するために貯金を頑張っていたので、周りの友達よりは貯金がある方だと思う。その拓也もいなくなり、結婚する予定もなくなったので、パーっと使うことに決めた。どうせなら旅行しようと思い、ゴールデンウィークに沖縄に1人旅しようと決意する。私は韓国の男性5人グループ・シャインのファンなのだが、拓也と付き合っていた頃はいわゆる推し活ができなかったので(私に男性の推しがいるのを拓也は良く思っていなかった)、シャインのミュージックビデオが撮影された沖縄に行こうという気持ちだ。


 ゴールデンウィークになり、私は名古屋から沖縄に出発する。シャインの新曲のミュージックビデオが撮影された場所を巡った。最初にビーチへ行き、それからミュージックビデオにも出てきたカフェに向かう。メンバーが座っていた場所に座り、彼らが食べたというクラムチャウダーを注文した。

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