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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅱ
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2

 ちなみにまだインスタグラムでお互いにフォローし合っているのだけれど、拓也はマンションから飛び出した後も呑気にストーリーを更新していた。「彼女と別れて、職場の女性が話聞くよって言ってくれたからその人の家にいる」と書いている。女性の姿こそ写っていないものの、女性宅の猫と戯れる拓也の様子がわかった。私が見るのをわかっていて、こういった内容を投稿しているのだ。

 さっそく俊乃に拓也のストーリーを見せると、「やっぱりこんなクソ男やめといて正解だわ、結婚しても浮気すると思う」と言ってくれた。翌朝、俊乃が先に私のマンションから出勤し、私も会社に向かう。なんとか会社にたどり着き、仕事をこなすも、ミスを連発してしまった。

「長坂さん今日疲れてるみたいだし、定時で帰っていいよ」

上司の言葉に甘えて、今日は定時で退勤する。いけないとわかっていても、拓也のインスタグラムを見てしまう。新しく投稿されており、例の職場の女性から告白されて付き合い始めたそう。別れた後なのでお好きにどうぞというのが本音だけれど、私と付き合っていた時から拓也はこの彼女にアプローチされていたーー当初、断っても何度もアプローチされて困っていると拓也から相談を受けていた。だからまさか靡くなんて思っていなかったーーので良いイメージはない。


 独り身になったからにはハメを外したい。そう思い、名古屋の繁華街に立ち寄った。注意力が欠けているのもあり、私は大通りで盛大に転んでしまう。周りからはクスクスと笑い声もし、穴があったら入りたい気持ちだ。そんなとき、大学の同級生だった田崎美希生(たさきみきお)が「大丈夫か……って長坂?」と手を差し伸べてくれた。「さてはその顔、男と何かあったな?」と田崎くんに訊かれる。

「ここじゃあれだし、話せる場所にでも行こうか」

田崎くんは私の手を引き、ファミリーレストランに連れて行ってくれた。

「俺が奢るし、なんでも好きなの食べていいよ」

お言葉に甘えて私はずっと食べてみたかったバケツプリンを注文する。もうダイエットとかする必要ないし、今日くらいハメを外したって良いじゃん。そんな気持ちからだ。一方で田崎くんはコーヒーのみだったけれど、「さては長坂、彼氏と別れたとか?」と言い当ててきた。

「そう。なんでそれを……」と私は驚いたけれど、泣きながら一通り話す。25歳までに結婚したいと話して同棲したのにプロポーズがなく、結婚についての考えを訊くと激昂されて別れると言われたこと。マンションを飛び出して、浮気相手と思われる職場の女性のマンションに行っていたこと。それをインスタのストーリーに書かれたこと。そしていま、拓也とその女性が付き合い出したこと。

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