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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅱ
5/11

1

 25歳で結婚する。それから子どもを設け、家族で仲良く暮らす。これは私、長坂(ながさか)いづみが昔から抱いていた夢だ。大学時代に何人か彼氏がいたことはあるけれど、2ヶ月とか3ヶ月で別れることが多く、長続きしたことはなかった。

 大学4回生から付き合っていた7歳年上の恋人と社会人1年目で別れ、ヤケクソで恋活パーティーに参加する。そこで出会った同い年の野元拓也(のもとたくや)と結婚前提で付き合い始め、私が25歳までに結婚したいと伝えて拓也も了承していた。結婚するために同棲ーーマンションの契約は私名義ーーも始める。しかしクリスマスにも、記念日にも、私の24歳の誕生日である3月5日にも、拓也からのプロポーズはなかったのだ。


 私は痺れを切らし、拓也に「拓也は私との将来をどう考えてるの? 私もう25歳になっちゃうよ」と訊いてみた。けれど拓也は急に激昂し、「なんで俺が何もかも全部いづみちゃんのタイミングに合わせなきゃいけないんだよ! もう付き合ってらんないし別れるわ」と言って同棲しているマンションから飛び出した。

 拓也が急に出て行ってしまい、私はパニックになる。気づくと大学時代の友達である深町俊乃(ふかまちとしの)に泣きながら電話していた。俊乃はすぐにマンションに来てくれ、2人でお酒を飲んで泣き明かす。

「拓也くんはまだ遊びたかったんだと思うけど、それなら25歳までに結婚したいっていういづみの希望を了承しなきゃ良かったのに! 何がしたいのかよくわからない」

俊乃は私の味方をしてくれ、一緒に怒ってくれた。男が裏切ったとしても、女友達は裏切らない。そう思うと私は心強い気持ちになる。

 頭を冷やし、俊乃がいる横で拓也に電話をかける。自分の気持ちばかり押し付けて、拓也の気持ちを考えていなかったことを謝罪した。しかし拓也の言い分は「いづみちゃんは俺と結婚したいんじゃなくて、結婚がしたいだけなんだろ? それなら俺である必要はないし、今すぐ結婚してくれるひとを探した方が良いんじゃない?」とのことで、拓也との仲を修復することはできない。電話口から「拓也くん、誰と電話してるの?」と女性の甘い声がしたので、きっと浮気相手のところにでもいるのだろう。拓也の浮気に気づかなかった私もバカだったけれど。

「いづみ、大丈夫だった?」

俊乃から声をかけられ、「やっぱりダメだった。しかも女の人の声したから、浮気相手のところにいると思う」と返す。浮気という言葉を聞き、俊乃は「浮気とかクソ男のすることじゃん。もう拓也くんは浮気相手にくれてやりな!」とさらに怒る。

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