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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅰ
4/11

4

 梢さんのもう1つの悩みは婚活がうまくいかないことらしい。33歳で婚約破棄をし(2歳上の相手はマザコンで、「ママが結婚ダメって言うから」と婚約破棄された。梢さんは弁護士を雇い、相手から慰謝料をいっぱいふんだくって婚活費用にしているという)、婚活パーティーや結婚相談所で結婚相手を探そうとするも、誰も好きにはなれないとのこと。相手の男性は子どもを望んでいるひとが多く、35歳の梢さんでは年齢で足切りされがちだそう。

 婚活パーティーでは同年代くらいの男性に「え、35歳? 売れ残りのおばさんじゃん。20代の若い子が良かった」と失礼な発言をされたこともあるという。

「なんで世の中、こんなにクソ男が多いんだろうね?」

いづみさんと梢さんはその話で盛り上がっていた。私も昨年同じサークルだった元恋人に「好きじゃなくなった」という理由で振られたことがあるので、気持ちはすごくわかる。定かではないけれど、元恋人には別に好きな女でもいたのだろう。今ならそう思える。

 私は大阪、いづみさんは名古屋、梢さんは東京からそれぞれ沖縄に1人旅に来ていた。それぞれ住んでいる場所も年齢も違うけれど、悩みを持つ者同士仲良くなるのに時間はかからなかったのだ。2泊3日の沖縄1人旅だったが、観光したり3人で語り合ったりしているうちにあっという間に時間が過ぎていく。私の就活の悩みも聞いてもらえて、気持ちが楽になった。



 沖縄旅行の最終日、私は2人とLINEを交換する。みんながそれぞれ帰ってからもLINEでやりとりしたり、遊んだりしようねと約束した。それからは那覇空港で友達や家族やアルバイト先にお土産を購入する。友達には好きなキャラクターのご当地グッズ、両親には沖縄そばの麺、春妃には琉球グラスでできたマグカップ、アルバイト先には個包装された紫芋タルトをそれぞれ買った。大阪に帰って、お土産にどういった反応が返ってくるか楽しみだ。そして就職する意味すら見失っていたけれど、2泊3日の沖縄1人旅でリフレッシュしてまた頑張ろうと前向きな気持ちになれた。



 大阪に帰り、再び就職活動を再開する。旅行会社も航空会社も受からなかったけれど、志望業界を学校事務に変えるとうまくいくようになったのだ。もともと希望していた客室乗務員やグランドスタッフの道は選ばなかったけれど、来年度から京都市内にある私立大学の国際交流課への就職が決まった。私には華やかすぎる業界は合わないと思うようになり、合う場所への就職が決まって良かったと思う。

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