表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅲ
11/11

3

 ある日、マイケルさんの担当者から私宛に連絡が来る。内容としては、やはり子どもがほしいのでもう少し若い人がいいという理由で仮交際を終了してほしいというものだった。結局はみんな、子どもがほしくて婚活しているのね。私はそう思っていたが、やはり35歳という年齢が足枷になっていることを痛感する。

 そうは言っていられないので、気を取り直して5歳上の森山(もりやま)さんを紹介してもらった。森山さんと初めて会うことになり、ホテルのラウンジにあるカフェでお茶することになる。話してみて、悪い人ではないし将来設計もしっかりしている。子どもはどちらでも良いとのことで、子どもができなかったとしても2人で暮らせたらそれで良いとのことだった。

 それでもどこか、私と合わない気がした。何が合わないのかと訊かれても言語化できるほどではない。しかし合わないものは合わないのだ。結局森山さんも同じことを思っていたのか、お見合い終了後に「赤池さんは真面目すぎて合わない」というお断りの連絡が来た。35歳という年齢はともかく、真面目すぎて合わないと言われたら何をどう改善したら良いかわからなくなる。真面目は悪いことなのだろうか、と人格否定されたような気分だ。

 子どもがほしいんじゃなくて、好きな人とあたたかい家庭を築きたい。ただそれだけなのに、なんでこうもうまくいかないのか。そう思うと心が落ち込む日々が続く。とうとう「婚活疲れ」という言葉をGoogleで検索してしまった。婚活に疲れたらどうするべきか知りたかったからだ。

 婚活疲れにおける対処法としてよくあるのが、いったん婚活から離れろということだ。休めと言うけど時間の浪費はしたくない。でもこのまま続けて良いのだろうか。迷いはあったけれど、とりあえず1ヶ月だけ婚活から離れることにした。結婚相談所も1ヶ月だけ休会することにし、その申請を行う。

 婚活を休むからには好きなことをしよう。そう思い、私は貯金していたボーナスを捻出してゴールデンウィークに沖縄旅行に行くことにした。後はいつも通り淡々と仕事をこなし、いよいよゴールデンウィークがやってくる。この時だけは東京での日常から離れて、沖縄でのんびりすることにしよう。

 沖縄では海を見たり、ブルーシールアイスを食べたりして過ごす。水族館にも行き、心の疲れがなくなっていくのを感じた。東京のひとたちとは違って、沖縄のひとたちはせかせかしていなかったのだ。

 ホテルにチェックインし、1人旅に来ていた女性2人と相部屋になる。大阪から来た大学生の凛ちゃんは就活で悩みがあり、名古屋から来た社会人のいづみちゃんは恋愛のことで悩みを抱えているようだ。どうしてクソ男が多いのかという話で盛り上がり、彼女たちとLINE交換した。

 観光したり部屋で雑談したりするうちに、沖縄から東京に帰る日が来る。東京に着いたら結婚相談所の再会と、違う職場も見てみようという気持ちになった。若い2人に年齢なんて関係ないですよと言ってもらえて、救われたような気分だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ