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familie  作者: 遠藤 敦子
familie Ⅰ
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1

 【件名:選考結果のお知らせ

古谷(ふるたに) (りん) 様

株式会社ハッピー航空、採用担当の鈴木(すずき)と申します。

この度は、多数の企業の中から弊社の新卒採用求人にご応募いただき誠にありがとうございます。

厳正に選考を行った結果、誠に残念ではございますが、ご希望に添いかねる結果となりました。

ご期待に沿えず大変恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願い申し上げます。

尚、お預かりした応募書類につきましては、履歴書に書かれておりました住所宛に返送させて頂きます。

古谷様のより一層のご健勝とご活躍を心よりお祈り申し上げます。】


 不採用通知メールが来て、私は「またか……」とため息をつく。周りと同じように就職活動に励んでいるけれど、何しろ面接が苦手なのでいつも一次面接で落ちてしまう。周りの友達はトントン拍子に進んでうまくいっているのに、なんで私だけ……? そんな気持ちになることもある。就職できなければキャバクラもしくは風俗店で働くか、いっそのことフリーターになるしかないのだろうかと思い詰めてしまった。

 あまりにも上手くいかなさすぎて、大学の就職課に駆け込む。

「いつも一次面接で落ちて、何がダメなのかわからなくなってしまって……。もういっそのこと就職が無理ならキャバか風俗で働くしかないのかなって……」

私は話しているうちに泣いてしまった。不採用通知をもらう度、どこにも必要とされていない気がしたのだ。

「なるほど……気持ちはよくわかりました。古谷さんは面接で緊張してしまいやすい方なんですかね? それで言いたいことが伝えきれていないのかもしれませんね。もし良かったら面接練習とかもやってますので、時間が合えば来られますか?」

女性担当者は私にティッシュをくれ、気持ちに寄り添ってくれる。自分で言うのも語弊があるけれど、私は21年間生きてきて大きな挫折をしたことがなかった。中学受験をして以来、高校も大学もエスカレーター式で進学し、部活も文化部なのでゆるく生きていたと思う。そのツケがいま、就活で来てしまったのだろう。

「ありがとうございます。また時間が合えば、ぜひ面接練習しに来ます」

私はそう言って部屋から出る。学内ポータルにてオンラインで面接練習の予約を入れた。

 就職課で面接練習を始めて以来、以前ほど緊張はしなくなったものの、それでもなかなか一次面接を通過するのが難しい。何社かは通ったけれど、私が行きたいと思っていた企業の一次面接は通過できなかった。

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