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3話 絶望の中の光

 どのくらい気を失っていたのだろう?


 『ガシッ! ガシッ!』うるさい鈍い音で目が覚めた。


 ここがあの世なのか? 真っ暗な視界であたりを見まわす。


 体にわずかに違和感を覚える。


 「うああぁぁぁあ」

 僕の絶叫した。

 周りではたくさんの魔獣達が僕の体に噛り付いている。


 ここはあの世ではなかった。まだ崖底で僕は生きているようだ。

 どうなっているんだ? 僕は混乱した。


 生きていることは素直に嬉しかった。しかし、なぜこの魔獣の群れの中、捕食されずに生き延びているのだ?


 どの魔獣も一度は名前を聞いたことがある凶暴な魔獣だらけだ。

 その魔獣の様子を見ていると何かおかしい。


 僕の体に噛り付き、爪を立て、魔法で攻撃してくる魔獣もいるが僕は全く痛みを感じていない。

 それどころか触られている感覚もほとんど無い。


「そうか……これのおかげか」


 僕は気づいた。意識が途切れる間際、首にかけた【石化の首飾り】に。

 さすが幻のアイテムだ。ホントにゴーレムと同じように装備した者の体を石化させれるんだな。


 とっさに身に着けた【石化の首飾り】のおかげでなんとか一命をとりとめた僕だった。


 「ひとまずよかった……運が良いのか悪いのか」


 ありがたいことに石化のおかげか、体の痛みは感じない。

 久しぶりの獲物であろう僕に代わる代わる魔獣が攻撃を仕掛けてる。

 普段の僕なら一撃であの世行きであろう強烈な攻撃だ。


 「そんなに攻撃しても無駄なのにな……」


 石化した僕はぼんやりと魔獣を眺めていた。


 さて、これからどうしようか?


 『石化解除』と念じれば石化は解けるだろう。しかし、ここで石化を解除したら一瞬で魔獣の餌食だ。どうしたものか……


 僕を捕食することを諦めていなくなってくれればいいのだが魔獣を増える一方だ。

 それに魔獣がいなくなってもこの足ではもう歩けない。もうダンジョンから出ることは難しい。


 「……時間はたくさんある。とりあえず、この魔獣達を【鑑定】でもしてみるかな」


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 オーガ レベル45


 ガーゴイル レベル52


 ケルベロス レベル60


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 「はぁー、どれも凄いレベルだ……」


 さすがA級ダンジョンの魔獣だ。当然僕が敵う相手ではない。


 「ん……?そういえば今【鑑定】やけに早く分析できたな……」


 今まで【鑑定】は10分近くかかって、やっと1体の鑑定ができるだけだった。とても実戦では使えるものではない。

 僕は更に周りを見渡す。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ガーゴイル レベル39


 バシリスク レベル42


 オーガ レベル43


 ………………


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 「すごい、次々に【鑑定】ができる……」


 いったいどうしたのだろうか? 気を失っている間になにがあった?


 僕は自分自身を【鑑定】した。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ペルーサ レベル25


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 「えっ!? 僕がレベル25?」


 数週間前まで魔獣も見たことない、平和な暮らしをしてきた戦いとは無縁だった。

 このダンジョンに来てからも荷物運びだけで戦闘などしていない僕はずっとレベル1だった。

 それが今はレベル25。これは隊長だったゴンザレスやフレアに匹敵するレベルだ。


 「……どういうことだ?」


 僕は混乱していた。当然、その最中も魔獣達は攻撃の手を止めることはない。


 『ガシッ ガシッ』


 オーガが僕を踏みつける。石化している僕には効かないのだが、その時……


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 ペルーサ レベル26


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 「!! レベルが上がった!?」


 魔獣の攻撃を受け、レベルが上がるのを確認する。


 「そうか……」


 僕はようやく理解した。


 この【石化の首飾り】のおかげで鉄壁の石化をしている最中に受ける魔獣からの攻撃、コレが『戦闘』としてカウントされ、経験値が溜まるようだ。


 【石化の首飾り】がいつまで耐えられるのかは分からない。


 しかし、もう助からないと絶望していた中、1つの光が見えた。

お読みいただきありがとうございます。

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